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2023.12.29XY Streaming Live「INITIUM」~for &Z~ 

「INITIUM」~for &Z~ を小説にしてみた。

 12月の手厳しいほどに冷たい風は厚手の外套を着ないことには防げなくなってきた。
 ここは渋谷。外国人観光客が異常に増えたかのように感じるのはコロナ禍を経たせいだろうか。インバウンドを当てにしたショップの戦略が、いやらしく所々透けて見える。
 アラサーにもなると仕事のない休みの日は貴重だ。有給を取って免罪符よろしく渋谷に遊びに来たミチルとレンは人混みを避けながらスクランブル交差点を越えていく。

「ねえねえ、今日さXYのライブがあるんだよ」
「XY?どんなアーティスト?」
 レンはまだXYを知らなかった。

「知らないの!?X JAPANのYOSHKIがプロデュースしたボーイズグループだよ」
「まじか!あのYOSHIKIが!?行きたすぎる!」
「そう言うと思ってさ、チケット買っておいたんだ」
ミチルは誇らしげに鞄からチケットを取り出した。

 SHIBUYA PLEASURE PLEASUREを訪れると既に長蛇の行列があった。ハイタッチが特典としてついたミュージックカード、そしてXYのKAIRI、KYOHEYが新しくプロデュースしたグッズを置いている物販は大盛況だった。

 ミチルは端的にレンに説明をする。XYがどれほど素晴らしいグループか。BANDとダンス&ボーカルの融合。急逝してしまったYOSHIの存在。これまでにない唯一無二のグループ。レンは元々XJAPANを敬愛していたこともあって、そのYOSHIKIが作ったというXYに興味津々になった。仕事に忙殺され音楽も最近までほとんど聴けなかったレンは、学生時代にハマっていたXのYOSHIKIがまた精力的に活動をしてることを知って嬉しくなった。オーディションを見ていなかったことが悔やまれる。

 ミチルは中でもP→★という存在がオーディション時に輝いていたことを伝えた。
「そっかぁ、すごく面白そうだな。けどまだデビューしたばっかりなんだろ?」
「うん、まだリリース自体は1曲しかないんだけどね。この間11月に初めての単独イベントでカヴァーも含めて8曲も持ち曲を披露してくれたんだよ。あ、レン、見てみて。あの子GAIくんのコスプレしてる。赤い髪めっちゃ可愛い〜!!あ、ほらほら、あっちはP→★くんのコスプレしてセーラー服着てる子がいる!!やばい〜可愛い〜!」

 小学生の男の子たちだろうか。頭から足先までアーティストのような風貌で可愛らしかった。
「本当に可愛いね。へえー、P→★くんってのは女の子なのか」
「違うよレン、P→★くんはセーラー服着たりスカート履いたりするけど、男の子なの」
「さすが令和はジェンダーレス」

 カウンターでレンはスミノフ、ミチルは生ビールを手にすると席についた。ここは昔映画館だったのだろうか。映画館そのままの席がとても柔らかく座りやすかった。
 ライブが始まる直前はいつだって心地よい緊張感に包まれる。
「&Zさんってみんなおしゃれでかっこいいんだよね」
「エンジン?なんだそれは」
「違う違う。ファンネーム。XYのファンは&Z(エンジー)って言うんだよ」
「へ〜、すごいな。確かにおしゃれな人が多い気がする」

「レン、はじまるよ」
会場のざわめきが止んだのと同時にピアノの音が鳴る。
「YOSHIKIさんの音と同期してるの」
XYという曲らしい。
「え、なんだ。このグループは」
初見で見たレンは驚きを隠せなかった。青春の青臭かったあの頃、よく聞いていたXJAPANのToshlを彷彿とさせるボーカル。高音も容赦なく叩きつけてくる。安定感があって全くずれないピッチもそうだし、声量がハンパない。
「ボーカルはJAYっていうの」
ミチルが誇らしげに呟く。

「ちょ、待てよ…」
さっき教えてもらったP→★というのだろうか。歌舞伎か?能か?俺は今何を見せられている?日本の古典芸能さえ混じっているようなダンスをかましてくる子がいる。妖艶でいてなんという目つきの鋭さ。多彩な表情に、こんなダンサーがいるのかとレンは眼を見張るばかりだった。

「レン次は新曲だよ。『Spiky Fashion』っていうの」
オリエンタルなアレンジが混ざったかと思うと、七色のライティングに包まれたステージに溢れんばかりの音のシャワーが降り注ぐ。
ダンス&ボーカルのシンメトリーに加えて、自在に突きつけてくるダンスの技のようなもの。ダンスに気を取られすぎていたが、さっきから自分を捉えて離さないこのリズム隊の重さはなんだ。
「待て、楽器隊すごくないか。ありがちなバックバンドかと思っていたが違うじゃないか。彼らこそ主役っぽくないか」
ララランララ ランララ ランララララー
 いつしかレンの脳はYOSHIKIの真新しいメロディに占領されていた。楽しい。なんてダンサブルなナンバーだ。
「マジですごいダンスだな。振り付けがすごい!」
「当たり前よ。マイケルジャクソンの振付師トラヴィス・ペインだもん」
「マイケルジャクソン…どおりで、YOSHIKIの人脈パねえッ」

 そうこう思っているうちにMCで自己紹介をしてくれたXYのメンバーたち。もうレンはXYを知りたくてたまらなくなった。だがP→★ってやつは可愛らしくて益々男か女か分からなくなった。
13人とも個性が強そうだと感じている間も無く、楽器隊の3人がステージに残った。息つく間もなくロック感満載の音楽が放たれる。
躍り出てきた子はKOSEIと教えてもらった。小さいが芯がありそうな子だ。
「ブレイクダンス?すまない、ダンスの知識がない。とにかくすごい。またP→★だ。P→★は何なんだ。あの踊りは凄すぎるだろ!え、待て、また綺麗な女性?違う、王子みたいな子だな」
「MITCHYよ。MITCHY王子って言われてるの」
またミチルが得意そうに大声で叫ぶ。さっきからなんか上から言われているようでレンはちょっとムッとするが、
「ミッチー王子?及川光博さんじゃないか」
「アラサーオヤジはこれだからったく」

 目に飛び込んでくる表現の連続はただただ楽しかった。MITCHYのバレエを基礎とした踊り。側宙というのだろうか。アクロバティックなダンスが美しかった。あれ? ヴァイオリン弾いてる青年、さっきベース弾いてなかったか?
「FURUTATSUはね、幼少期から高度な音楽教育を受けてるの。ご家族が音楽一家らしく英才教育を受けていたと聞いたわ。それであのヴァイオリンとベースの両刀使いよ。大谷翔平もびっくりだわ」
「くっ…SHOHEI OTANIもびっくりか」

なんという奥の深いグループなのだろう。
そして奏でられている楽器隊の重厚感溢れる音楽が自分に忘れかけていたロック魂みたいなものを呼び起こしている気がした。

さっきの元気な少年KOSEIくんが「Tears」と残し去った。
「え?今なんて?今なんて言った?」

赤い髪の青年がキーボードの前に立つ。GAIと言うのだそうだ。
もう一人いる。さっきのJAYだ。後ろから照らされる照明が眩しすぎて彼ら二人の表情が見えない。
GAIがキーボードの和音を慈しむように置いていく。

JAYが歌い出した瞬間、会場が息を呑むのが分かった。
俺が大好きだったあの曲じゃないか。

レンが辛かった時、何度もCDをリピート再生した曲だった。
Toshlの声によく似てる…JAYくんと言うのか。すごいな君は。転調のところ高音すぎて出ないだろ。って出るのか…君は、そうか…すごいな。すごいボーカリストがいるんだな。

レンは自分でも気が付かないうちに泣いていた。ミチルも何かを思い出しているのだろうか。鼻を啜っていた。すると自分の更に隣の女性も泣いているじゃないか。ありがとう、ありがとうと言いながら…。

曲が終わると会場にはありがとうの声が響き渡る。XYにはXJAPANファン、YOSHIKIファンも多いと聞く。彼らの活動の再開を心から待ち望むファンが多いのだろう。JAYが奇跡を見せてくれたのか。

「レンあなた泣いてたでしょ」
「いやいや、ミチルこそ」

 ステージにまた楽器隊が戻ってきた。もうどこまでも俺を連れてってくれ。認めるよ。好きだった。俺は音楽が好きだったんだ。忘れていた。なぜ忘れてしまったんだ。

 楽器隊のドラムのKYOHEY、ギターのKAIRI、ベースのFURUTATSUがこれでもかと手持ちの武器を見せつけてくる。勝負を挑むように叩きつけるロックのインストゥルメンタル。
「いいBANDだ。すごい弾き手がいるじゃないか」
「レン、随分と上から目線じゃない。確かにその通りよ」
「色気がすごいな。こんな三人が出会えるバンドってズルくないか?顔がいいなしかし」
「そうよ、レン、あんたオヤジね。今はビジュがいいって言うのよ。それでね、ギターのKAIRIなんてファンの間でガチ恋同盟ってのがあるのよ。あとFURUTATSUはいつも萌え袖だからそれにちなんだファンクラブもあるってわけ」
「ビジュ…。あのKAIRIくん?女子たちの黄色い声めちゃデカくないか?」
「そうよ、ライブをする度にガチ恋勢が湧き出てくるのよ。泉のように」
「ほう。いや、色気のあるギターだ。俺も恋してしまいそうだ」
「バカね。レン」

 軽口を叩きながらも耳はしっかり音を楽しんでいる。
「上手いな」
自分は若い頃音楽に煩かった。あのバンドはリズムがよれてるとか、やれギターのクリーントーンが弱いだの評論家気取りで友と語り合った夜もある。
しかし、そんな自分に全く有無を言わせぬほど楽しませてくれる上手さが彼ら楽器隊にはあった。
 だからレンは苦し紛れにビジュ?のことばかり言っていた。

「それにしてもドラマーであんな顔がいいってズルくないか」
「KYOHEYよ。いい子よ。XYのリーダーだから。あの子ほど銀髪が似合う日本人は居ないと思うわ。何しろそして、YOSHIKIに選ばれたドラマーなんだから」
「ドラマーのYOSHIKIに…。うわぁ…そうだよなぁ…そりゃそうだ。すごいわけだ」

 黒いハットを被った青年が正面に躍り出た。そして、さっきの赤髪のGAIもまたキーボードの前に座る。
「待て、妙に女にモテてそうな顔の子だな。あの真ん中の子」
「そりゃそうよ、歌舞伎町のホストだったんだもんKARMAは」
「え?歌舞伎町?ホストがなんで…?」
 黙れと言わんばかりにピアノのイントロが流れる。聞いたことのあるイントロ。
「赤髪のGAIはさっき滅茶苦茶上手いダンスとラップやってたよな。なんでピアノもこんな上手いんだよ」
「天はできる子にはいくつもの宝物を与えるの。GAIの神ファンサはすごいわよ」

YOSHIKI feat. HYDE「Red Swan」が響き渡った。
会場には黄色い嬌声が響き渡る。
上手いな。ホストってこんなに歌えるもんだろうか。
いやホストのカラオケなんかじゃない。彼はアーティストじゃないか。伝えよう、届けようとしているのがこれでもかと心の真ん中に突き刺さってくる。

「KARMA、アーティストになったね」

 ミチルめ、また何目線だよ…でもオーディションから見ていたなら、想いもきっと初見の俺なんかより強かろう。レンは静かに歌に聞き入っていた。

続いて、YOSHIの楽曲「VOICE」が畳み掛けるようなツインボーカルで見せつけられる。レンもYOSHIの訃報をニュースで聴いて知っていた。隣でミチルは泣いていた。
「そうか。一緒にいるんだな。この子達はYOSHIくんとずっと」

 大切に抱きしめるように歌い上げるGAIとKARMA。
次の曲もBANDの手から躍り出てくる。
「あ、私この曲知らない。新曲かな?」
ガチファンのミチルも知らない楽曲なのだろうか。名前もなさそうだ。
レンは汗だくになりながらヘドバンをしていた。
「椅子が邪魔だな!!」
音に酔うのはこんなにも気持ちいいんだった。アラサー二人が音に狂い踊る中、会場のボルテージもガンガンに上がっていく。

「YG」
 GAIかな、KARMAか。どっちだ。ボーカルが叫ぶ。

「YOSHIくんと作った曲だ!!GAIくんがリアレンジしたの!しれっとファンも知らない間にYGとかつけられてて!!名前の由来はまだ知らないけど!!」
 ミチルは楽器隊の音に負けじと叫んだ。

 13人が面白い絵を披露するトークコーナーは楽しかった。あの子たちは様々な才能を持ち得ているが、絵心はどうやらないようだ。
 ダンスボーカルの7人が残った。黄色?黄緑色?綺麗な髪色の眼差しの強い男の子がMCをする。頭上を指差しながら天にいる仲間をー。
そうか。YOSHIくんをリスペクトしているんだ。
「COBAIN」
7人のステージが繰り広げられる。え?待て待て。JAYもKARMAもすごいが、この子もいいボーカルじゃないか。
「KICEくんはね、カッコいいわよ。あのYOSHIKIさんが『君かっこいいね』って言ったくらいだから」
「KICE。コミカルでシニカルでありながら優しい歌声だな。あ、声が高いからか。いい声だなぁ」
 会場全体がKICEの歌を楽しみ、ダンスチームのOKサインに心まで踊らせているようだった。

 元気のいい黒髪の男の子が前に躍り出てくるとシンプルに会場に問いかける。
「皆さん、今日、今から一番元気よく声出してくれますか?」
会場のテンションも最高潮になる。「DIAMONDS」

「RAIAは、化けたのよ。こうなるって分かってたんだわ。本当にYOSHIKIさんってすごい。一生ついていく」
 隣で念仏のようにミチルが呟いている。
ほう、RAIAくんか。飄々とステージで踊り狂う姿が、あどけない少年のようでいて、骨格が既に青年のそれとなった狭間を見せられているようで、そこに今しかない輝きがある。貴重な。とても美しい。俺らが歳を取ってしまってどこかに置き忘れて来てしまった何か…。それをRAIAくんが思い出させてくれるようだった。
 JAYを筆頭に、ボーカルチームも彩りを添え、飽きさせないステージングが続く。
 すごいな、XYというグループは。

「女神のスマイリーング」
 不意に曲の合間に美しいメロディの歌声が響き渡る。

「あの青年、どエラい綺麗な頭身だな!モデル?」
「HAYATO。彼はねどんどん来るわよ。MCやるとね関西弁出てかなりいい味出すのよ」
「HAYATOくんもめちゃくちゃ歌上手いしものすごい華のある子だな」
「オーディション初期は彼の独壇場だったわよ。彼はね、あと一つ何かきっかけを掴めばまたXYのでかい柱になるわ」
「お前、ガラスの仮面の月影先生みたいだな」
「また古いネタね。Z世代には通じないわよ。もちろんXYのメンバーもちんぷんかんぷんだわ」
「若いんだなXYは」

 不意に、レンは端にいる子に目が釘付けになる。さっき、トークで訛りのある喋りをしていた子だ。
「あの子は?」
「KANJI。鹿児島県出身。訛りがいいのよ。純真で真っ直ぐな子なの。あれよ。あの目がいいの」
 
 KANJIの顔立ちの綺麗さに目がいく。なんという黄金比だろうか。俺もあんな顔で生まれていたら。…どうでもいいことが浮かぶ。
「KANJIくんか。いい光を放ってるな」
「レンのくせによく気が付いたわね。あの子のポテンシャルはこんなもんじゃないわよ。まだダンス初めたばかりって言うのに、このXYの中に居て輝きを放ってるから」
「え、ダンスはじめたばっかり?そうなのか!?KOSEIくんやP→★くんはダンス歴長いんだろ。KANJIくん何の遜色もないじゃないか」
「初見のレンにそう見えるなら本当に安心したわ。KANJIくんの努力と根性は半端じゃないわよ。初心者にしてあのP→★くんたちに追いつこうとしてるんだから」
「おま、また月影先生…」

 楽曲が終わると再びBANDメンバーが加わり、メンバーがステージに一列に並んだ。可愛いP→★くんがMCをKOSEIに振る。KOSEIくんはハングルが上手いな。
と、思いきや、彼は言葉を詰まらせてしまう。想いが溢れたのだろうか。
P→★くんがマイクで合いの手を入れる。
「KOSEIはいつもXYがどうしたらよくなるかを考えていて」

 まだ、10代の少年なのか。どんな想いを持ってこのステージに立っているのだろうか。素人の俺には想像もできない苦労や苦難もあったのかもしれない。

XYを鼓舞するような温かいファンからの声援。それに背中を押されるかのように最後の楽曲が響き渡る。
俺も知っている楽曲。YOSHIKI作詞作曲の真髄。「Crazy Love」

俺はきっと今、壮大な映画を一本観終えた。
心の琴線に触れてくる一挙一頭足。そこにJAYの素晴らしい歌と、GAIとKICEの美味しすぎる掛け合い。YOSHIKIはすごいな。ここまで見えて作ってるんだもんな。

「レンあんた今、壮大な映画を観たって思っているでしょ」
「なんでわかるんだよ。最高だったよ」
「XYはね。くるわよ。MVが揃ったらね。今日の全ての楽曲がネット上に披露されてご覧なさいよ。世界がほっとくはずないわ」

 今日のライブよりもキャパを遥かに超えた2024年6月29日に決定したZepp Diver Cityでの1stワンマンライブ。
 運営はそれまで売り出していく戦略があるのだろう。古参のファンがじっと耐えつつ見守ってきたXYのプロモーションがいよいよ本格的になるという表明でもあるはずだ。

「ミチル。今日はさ、ありがとう。これはやばかったわ。XYは最高のアーティストだったよ。さすがXJAPANのYOSHIKIが生んだ子供たちだ」
「そうなのよ。子供たちはさ、父の背中を大切に思っててさ、追いつこうと必死なのよ。いいもんよ。師弟愛って。涙が出ちゃう」
「YOSHIKIの楽曲もこうやって受け継がれていくのかもな」
「楽曲は色褪せないね。何年経っても。音楽はすぐに私たちをあの頃に連れ戻してくれる。忘れちゃいけない大切なあの頃にね」

「そうだな。俺もまた何かに挑戦したくなったよ」
「いいね。私もそうなの。多いわよ。XYの子達に触発されてもう一度何かに挑戦し始める人」

 ミチルとレンはふと立ち止まってビルを見上げた。
 渋谷のスクランブル交差点にはいくつもの大画面を同時に使った最新型の広告が流れていた。
 
 XYの子達もいつかこうして渋谷の街を飾る日も遠くないだろう。
それを楽しみに、俺は今からまた頑張ろう。
そうだ。不可能なんてない。心が本気になりさえすれば。
XYのあの子たちのように。

 12月の寒空の下でレンは強く思った。そうか忘れていたが年末か。
2023年最後にいいものを観た。悪くない。生きていくって悪くないな。

 レンは渋谷のビルの頭上の明るすぎる夜空に、小さな星がひとつ見えた気がした。

~fin~


XY。彼らの快進撃は今から始まる。











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