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ウチナータイムは沖縄らしさ??〜座談会企画⑤〜

ゴクツブシ(92年生まれ 神奈川県出身)

 「ウチナータイム」は本当にあるのだろうか──。進学を機に7年間ほど沖縄で暮らした私は、何度か「ウチナータイム」を感じたる出来事に出くわした。その度に「ウチナータイム」は本当にあるのか気になったが、失礼かと思い、周りの人に聞いてみたことはなかった。
 でも、やっぱり気になる……。そこで、あなたの沖縄のメンバーと話してみたいと思い、機会を設けてもらった。今回は、「ウチナータイム」について皆さんから伺った体験や考えをお届けする。

参加者メンバー
ゴクツブシ 
司会。
MAY 94年生まれ、那覇市首里出身。「近くて遠い、遠くて近い」を執筆。
HA 95年生まれ、豊見城市出身。「心地よい沖縄の言葉」を執筆。
西 94年生まれ、那覇市首里出身。あなたの沖縄・主宰。座談会構成。

ウチナータイムを感じたことある?

——初めまして、ゴクツブシと申します。今日は集まってくださり、ありがとうございます!
ちなみに、私は遅刻魔なんですが、皆さんは遅刻する人ですか?

MAY しない方だと思います。親が厳しかったんですよね。

HA 私もあまりしないですね。

西 私は、いつもちょっとの遅刻をしてしまう方で…。でも、5分くらいはセーフかなと思ってます。今日の座談会はちゃんと時間通りにきました!

——私は少し遅れてしまいました……。ごめんなさい……。
ではさっそく本題ですが、皆さんはウチナータイムってあると思いますか?

MAY どうなんだろう。私は遅刻しないのでわからないですが、あると言えばある、という感じでしょうか。沖縄に帰省して友達と集まると、誰かしらが待ち合わせ時間に集まらないことが多いですね。飲み会だと、だいたい待ち合わせ時間の30分後に集まり出す。だから、沖縄に帰省している時は、周りに合わせようと頑張って遅刻していました(笑)。

HA 確かにどうなんでしょう……。私も「ウチナータイムがある」って意識したことはないですね。でも、思い返してみると、沖縄で友達と集まる時、遅刻して何か文句を言ったり言われたりしたことはないかも。遅刻という概念がない、みたいな。そう言う意味では、ウチナータイムってあるんですかね。

西 私は、沖縄でも東京でも遅れる人なので何も言えないですね……。でも、友達同士で集まる場面だと誰かが後から来ることも多いと思うんです。だいたい私ですが(笑)。仕事だとどうなんですかね?

——以前沖縄で働いていたことがあるのですが、私の職場では遅刻する人がちらほらいました(笑)。私も時々遅刻してましたし……。ただ、みんながみんなというわけではないので、「ウチナータイムがある」とまでは言えないような…。

西 そうですよね。当たり前ですが、やっぱり人によるという感じですよね。

\他にはこんな声も!/
仲宗根優介さん(96年生まれ、沖縄市泡瀬出身)
私の職場では、遅刻する人はほとんどいなかったですよ。私自身も仕事で遅刻はしないです。でも、プライベートでは、周りの友達含めよく遅れます(笑)。だから、友達とは遅れること前提で待ち合わせています。飲み会だと、後から人が来るたびにみんなで乾杯し直すのが恒例です。そんな時に、ウチナータイムを感じますね。

県外からの「沖縄イメージ」

——ウチナータイムは、沖縄にいるとあるのかないのか微妙な感じがする。その一方で、県外の人からは、「沖縄の人は遅れる」というイメージで見られることもあると思います。皆さん県外にお住まいですが、そういう経験はありますか?

西 県外にいると、「沖縄の人って本当に遅れるの?」と聞かれることがよくありますね。県外の人は、「沖縄の人=時間にルーズ」というイメージがあるんだと思います。

MAY 私も、県外に出てから「沖縄の人だから遅れるんでしょ?」と見られることが何度かあって。絶対にそういう風に言われたくなかったので、いつも遅れないように心がけていました。

HA すごくわかります。初めてバイトの面接に行った時に、履歴書を見て「沖縄の人って遅刻するよね。あなたは?」って言われたことがあって。どうも、昔バイトをしていた沖縄の人がよく遅刻していたみたいで。めっちゃ失礼だなと思いつつも、その場では「さすがに仕事では遅れないですよ」と返しました。上京してすぐのことで、「県外の人からはこう見られるんだ」とショックを受けたのを覚えています。その時から、遅刻しないように気をつけるようになりました。

——私はよく遅刻してしまうので、その度に「ウチナータイムだからしょうがないね」って言われたら嫌な気持ちになるのかなと思いました。

MAY ただ、私は遅刻しないし、県外の人と話す時に沖縄の言葉もほとんど出ないタイプなので、「沖縄っぽくないよね」と言われることも多くて。それはそれでモヤモヤしています。遅刻しないことを肯定的に言ってくれているのはわかるのですが、「沖縄の人っぽくない」という言葉にはどこか引っ掛かりがあるんです。私にとってウチナーンチュであることは大事なアイデンティティですよね。

西 たしかに。県外の人が沖縄の人に対するイメージと違うと、「沖縄っぽくない」と言われる。自分が生まれ育った土地の文化や感覚を否定されている感じがしますよね。でも、本当は、いつも遅れる人やちょっと遅れる人、絶対に遅れない人など、いろんなグラデーションがある。周りとの関係性の中で、時間通りにきたり、遅れたりしていると思うんです。こうした沖縄で生活する人たちの空気や気持ちが、少しでもリアルに感じられるように伝わるといいですよね。そのために、「沖縄の人ってこうだよね」というイメージに対して、「そういう人もいるし、そうじゃない人もいるよ」と多様な沖縄の姿を伝え続ける。そうして、実際にそこで生きている人たちの感覚や感情をもっと知りたいと思ってもらえたらいいなと思います。あなたの沖縄でもそんな活動がしたいです。

——皆さん、大切なお話を聞かせてくれてありがとうございました!

\他にはこんな声も!/
仲宗根優介さん
私も、東京の大学に通っていたとき、待ち合わせに遅刻してしまって「沖縄の人だもんね」と言われたことが何度かあります。最初はイラッとしましたけど、遅刻が許されるならそれもいいのかと思うようになりました。そっちにはそっちの普通があるように、こっちにはこっちの普通がある。そうした生活の差が現れているだけだと考えてからは、県外の人から「沖縄の人だから」と言われても嫌な気持ちにならなくなりました。

座談会を終えて

 今回、実際に沖縄出身の方々に様々なお話を聞いて、案外、沖縄の方々は「自然に」、「ウチナータイム」を受け入れているのかなと感じた。が、「沖縄は時間にルーズで、県外は厳しい」というわけではなく、どちらかといえば「フォーマルな場かカジュアルな場か」によるところが大きく、それは県外と大して変わらないのでは?と遅刻魔の私は思った。
 一方で、出身を言うだけで他県民から「おおらか、のんびり屋」などのイメージを持たれ、「時間にルーズと思われてるから」時間通りに行動するよう努力する/させられる方がいるのは、沖縄だけなのではないか…。これはかなり、不当に過酷な人生じゃないかなと。自分に置き換えてみると、ちょっと想像を絶する。遅刻魔なんて、私のように全国にいるはずだから。

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