異世界転生したらニンジャだった件(英題:『アナザー・ワールド・ニンジャ・ライフ』

「小説見ようよ」
「異世界転生したらすごくチート級だった件」

「もっと忍殺っぽいの」
「アナザー・ワールド・ニンジャ・ライフ」

(この物語はほぼ忍殺です。そういうのが苦手な方は読まないでください!)

(ニンジャになりたかった…カチグミになりたかった…)現代日本のとある地方都市。道路の側を1人の男が歩いている。リュックを背負うくたびれた服装の男の目にはクマが浮かび、土気色の顔や生気の無い表情とも相まって、ズンビーめいた印象を与えていた。

男、イトナミは疲れ切っていた。毎日の労働に。そして、終わりの無い苦しみの日々に。歯車めいた消耗品。ヒョウガキ・イラが産んだ社会の徒花。テレビのイヤミ・コメンテーターめいた言い方からそうなるだろう。つまりが、マケグミということだ。

「ブッダファック…」重篤なニンジャスレイヤーファン(ニンジャヘッズ)であるイトナミは自嘲気味に笑いながら呟いた。『持続可能な社会を』『差別の無い世界』『人に優しく』欺瞞に満ちたショドーが踊る実際空しいスローガンの書かれたポスターの脇を通り過ぎながら、イトナミは家路を急いだ。

だが、「ウワーッ高齢化社会!」不意に白い乗用車が歩道のイトナミに突進してきた!「アイエエエ!」乗っているのは高齢の老人だ!「グワーッ!!」砲弾めいて突っ込んできた車はイトナミを跳ね飛ばし、そのまま壁に叩きつけた!「アババーッ!」

(俺は…死ぬのか?)激痛と朦朧としていく意識の中でイトナミに今までの人生の記憶がソーマト・リコールする。孤独な学生時代。不良に虐められ続けた思い出。同僚に陥れられ劣悪な部署に飛ばされた夜。(嫌だ…!こんな結末だけは嫌だ…!)イトナミは心の中で叫び、手を伸ばした。

その先には、苔むした小さなジゾウがあった。アルカイックなスマイルを浮かべるジゾウに、イトナミは最後の力を振り絞り、祈った。「俺を…ニンジャに…してください…俺には、学も根性も…才能も…何も無いんです…どうか…俺を…ニンジャに…」視界が涙で滲む。イトナミは事切れた。

おお、イトナミの人生は、ここで終わってしまった!
ナムアミダブツ…!
ナムアミダブツ…!!
ナムアミダ010101110111001101011010010 010101110111001101011010010

◆◆◆
「アイエッ!?」イトナミが意識を取り戻すと、そこは広大な草原の上だった。空には輝く太陽。イトナミは目を擦る。ソーマト・リコールめいた幻を見ているのか?拳で自分の腹を殴ってみる。「…グワーッ!」痛い!だが、車で轢かれたはずの自分の身体には、傷一つ付いていない!

イトナミは困惑した。自分は死んだはずなのでは?周囲をさらに見渡す。見えるのは山や、川、中世ヨーロッパめいた町や城。そして、おお…見よ!山にはドラゴンめいた大型生物も見えるではないか!?「アイエエエ!?異世界転生!?異世界転生ナンデ!?」イトナミは状況を理解した。

イトナミはアニメ・コンテンツを嗜むほうである。実際トラックに轢殺され異世界転生を果たすという内容のアニメも見たことがあった。この不可解な状況。信じがたい事だが、認めざるを得ない。胡散臭いテレビ・プログラムのサプライズめいた気配も感じられない。

だが、ジゾウには『ニンジャにしてほしい』と願ったはずだ。何故、ニンジャにならずにイセカイ・リバイバルを果たしたのか?アニメめいた超常現象について考察するのは無駄なのかもしれない。イトナミはとにかく遠くに見える町を目指すことにした。「AAARGH!」その時だ!

突如としてPOPしたのは、人?否!子供ほどの身長に緑色の身体!手には木の棍棒を持った異形の生物!おお…ナムサン!ゴブリンである!現れた5匹のゴブリンはイトナミに襲いかかった!「アイエエエ!?ゴブリン!?ゴブリンナンデ!?」ブザマに尻餅をつくイトナミ!

読者の方にイセカイ・リバイバルジャンルのファンの方がいれば、直ちに転生特典でゴブリン達を八つ裂きにすれば良いと考えるかもしれない!だが、イトナミはそんな特典も能力も手に入れた覚えは無い!まして彼は丸腰!マケグミの悲惨な健康状態でどうして戦えようか!?

イトナミはヤバレカバレだがカラテを構える!実際狂人めいた行いだ!だが、囲まれた彼には逃げるという選択肢は無いのだ。「ウオオーッ!イヤーッ!」手近なゴブリンに右ストレートを繰り出す!格闘技の経験や筋力も無い彼の攻撃は徒労に終わる…はずであった。

「アバーッ!」おお…だが、見よ!イトナミの右ストレートはゴブリンの棍棒を貫き、頭部を砲弾めいて千切り飛ばした!「AAARGH!?」残るゴブリン達は狼狽!「イヤーッ!」「アバーッ!」続くケリ・キックがもう一体のゴブリンの身体を両断!

イトナミの身体は、いつのまにか紫色のニンジャ装束に包まれていた。イトナミは、ゴブリン達にゆっくりと向き直り、オジギした。「ドーモ、ゴブリン=サン…」イトナミの目が妖しく光った。「…パヴァートです」オジギからコンマ1秒後、イトナミは、いや、パヴァートは跳んだ!

「イヤーッ!」「アバーッ!」パヴァートは3体目のゴブリンの脳天をチョップで叩き割る!「ア、アイエエエ!」不利を悟った残りのゴブリン2匹は逃げようとするが、「イヤーッ!」「「アバーッ!!」」放たれた2枚のスリケンが2匹のゴブリンの頭をトマトめいて破壊!キャバァーン!ポイント倍点!

たちまちのどかな草原の真ん中をスプラッタめいて惨殺されたゴブリンの死体が埋め尽くす!パヴァートはしばし血濡れの自分の両手を眺めた。そして、狂ったように笑い出した。「ウフ…ハハハ…!アハハハハ!ウワーッハッハッハ!!ニンジャだ!俺は!ニンジャだぞーッ!!」

「イヤーッ!」パヴァートはその場でケリ・キックを繰り出す!続いて左右の腕で連続パンチ!そして、スリケンを生成し、近場の木に投げ切り倒した!まさに、小説の中のニンジャが如し!全身にカラテが漲る!彼はまさに、長年願って止まなかったニンジャの力を手に入れたのだ!

(オジゾウ様、アリガトゴザイマス…!)彼は心の中でジゾウにドゲザした。だが、彼の心の中にはすぐに別の考えが浮かんだ。(そうだ…ジツ…俺のユニーク・ジツは?)重篤ニンジャヘッズである彼にとって、自分のユニーク・ジツが何であるかは無視できぬ問題である。

(カトン・ジツ?ブンシン・ジツ?良いジツだといいんだが…)ジツとは炎を出す、変身する、果てはテレポートを行うなど、魔法めいた能力のことだ。自分にはどのようなジツが与えられたのか?そもそもどのようにすればジツを使えるのか?パヴァートは考えながら何気なくゴブリンの死体を見た。

すると、見よ!パヴァートの視界のゴブリンの死体にメッセージウィンドウめいて文字が浮かんだではないか!『ゴブリンLV1 死亡』「こ、これは!」パヴァートは精神を集中する!『小鬼の一種。集団で襲いかかるが、1匹の力は大した事はない』さらなる情報が攻略本めいて追加!

(鑑定・ジツ、ということか…?)パヴァートは戦闘向けのジツでは無い事に一瞬落胆したが、すぐに思い直した。(いや…むしろ異世界だ…。情報を収集できるのは有利…)戦闘はカラテがあれば問題無い。彼はしばし歩き、小さな小川に差し掛かった。

彼は水面に映る自分の姿を見る。どう見てもニンジャだ。改めて実感していると、水面に『パヴァート LV2』というウィンドウが浮かぶ。(自分自身もこうすれば鑑定できるのか?それに、LV2?)パヴァートは先程殺したゴブリン達のことを思い出す。殺したゆえにLVが上がったのか?

そういえば、最後のゴブリンを殺した際に妙な効果音を聞いた気がする。「試してみるか」彼はニンジャ感覚を研ぎ澄まし、獲物を探した。まず見つけたのは『メタル亀 LV2』!剣すらも弾き返す硬い甲羅が自慢だが、ニンジャのカラテにはダンボール同然!パヴァートは助走を付けトビゲリを繰り出す!

「イヤーッ!」「アバーッ!」パヴァートのトビゲリが甲羅を貫通!メタル亀即死!キャバァーン!再びあの効果音!パヴァートは先程の小川に戻り、自身を鑑定!おお…見よ!LVが3に上がっているではないか!カラテや力がさらに漲る!なんというロールプレイングゲームめいた狩りか!

レベル上げという名の殺戮はさらに加速する!「イヤーッ!」「アバーッ!」長耳ウサギ無惨!キャバァーン!「イヤーッ!」「アバーッ!」大芋虫無惨!キャバァーン!「イヤーッ!」「アバーッ!」ゴールデンベア無惨!キャバァーン!「イヤーッ!」「アバーッ!」「イヤーッ!」「アバーッ!」

たちまち酸鼻を極めるジゴク・ブラッドプールが草原に出現した!そして、おお…ナムアミダブツ!そこに不幸にも通りかかったのは、オークの親子だ!「イヤーッ!」パヴァートはオークの親子の目の前に着地した!「アイエエエ!?」親オークと2匹の子オークは突如現れたニンジャに慄く!

そのままカラテを構えるパヴァートに親オークは懇願する!「や、ヤメテ…!私達は人を襲っていません…。薬草や野菜を売って生活をしているだけです…。人間とも取引を…」親オークは背負った野菜や人間の町に入るための通行証をパヴァートに示す!「…ほう」

「イヤーッ!」だがパヴァートは子供の1人に無造作にスリケンを投擲!「アバーッ!」即死!「アイエッ!?なぜ!非敵対…」「モブナンデ?」「え…」「経験値ナンデ?」「え…」「イヤーッ!」「アバーッ!」2匹目の子オークも即死!「アイエエエ!!」「イヤーッ!」「アバーッ!」

キャバァーン!レベルアップの効果音が鳴る!オークの一家を惨殺したパヴァートの心は弱者をカラテで蹂躙するニンジャ特有の悦びで満たされていた。「暴力フィーヒヒヒ!」邪悪なニンジャ・シャウトの後、パヴァートは跳んだ。自身の異世界ニンジャ生活を満喫するために。

『アナザー・ワールド・ニンジャライフ』
#1終わり 2に続く

『アナザー・ワールド・ニンジャライフ』#2

(これまでのあらすじ』現代日本でマケグミ生活を送っていた男性、イトナミは異世界転生を果たしニンジャとなった。パヴァートを名乗った彼はカラテによる暴力に目覚め、欲望の赴くままに行動を開始する。カラダニキヲツケテネ!

◆◆◆
(獣人フィーヒヒヒ!エルフフィーヒヒヒ!!)数分後、町に辿り着いたパヴァートは、大通りの中を歩きながら、間近で見る異種族の通行人女性に興奮していた。パヴァートはコミックを嗜むほうである。エルフや獣人などのジャンルを愛好する彼にとって、まさにここはニルヴァーナであった。

(早速激しく前後…、いや、ニンジャになったとはいえあからさまなのは良くない…。マモノは容易くファックできたが、街のガード(警備)はニンジャめいて強いかもしれない…。でもエルフが!獣人女性が!でも慎重さ重点な?でもファックしたい!アーッ!)

パヴァートは悶える!ニンジャソウルが彼の人格にまで影響を与えているのだ!(待てよ、リアルオイランめいた産業ならこの世界にもある筈だ。カネさえ積めば…すぐにでもファック…、…カネ!?)そこでパヴァートは恐るべき事実に気付く!自分はこの世界の通貨を持っていない!

パヴァートは懐を探る!転生前に持っていたスマッホンや財布は全て無くなっている!「ブッダ、前後してください!」彼は自分を転生させたジゾウに悪態を吐いた。ニンジャもカネが無ければ生きていけぬ!カラテで他人から奪っても良いが、法を犯し1人で町や国家を敵に回すのは実際不利!

その時、彼のニンジャ聴力は興味深い会話を聞き取った!「山賊団?」「ああ、討伐した奴に10万Mだとさ」「夢のある話だね…」パヴァートは看板の前で会話をしていた2人の庶民の前に跳んだ。「「アイエッ!?」」「ドーモ、パヴァートです。今の話、詳しく聞かせてもらえませんか?」

◆◆◆
「ぐ、グワーッ!アバーッ!」両腕を引き千切られた山賊オヤブンが悲鳴を上げ後ずさる!「ドーモ。カイシャクドーモ」パヴァートは薄ら笑いを浮かべながら、首をケリ・キックでへし折った!「アバッ…!」即死!山賊のアジトは各所に死体が並ぶツキジめいた様相を呈していた。コワイ!

「「「アイエエエ!!!」」」生き残った山賊達はその場でドゲザした。「それは降伏のサインか?」「ハイ、ゴメンナサイ!」山賊の1人が言った。「年貢を…払えなくて…山賊やるしかなかったんです…」「ほう…?」パヴァートは目を細めた。

討伐ミッションに生かして連れて帰るという条件は無い。首を持ち帰った方が効率的である。だが、このまま討伐ミッションを完了した所で大金は手に入るが、使い切ればまた働かねばならないだけだ。ニンジャとなったのに、なぜ末端社員めいたことをせねばならぬのか?

その時、パヴァートの頭に邪悪なニンジャ・インスピレーションが浮かぶ!「フィヒヒ…良いでしょう…生かしてやらんこともない…だが、これからはこの私がオヤブンだ…私の兵隊になってもらおう…」「え…?」「ご安心を…テッポダマめいた捨て駒にするつもりはない」パヴァートは笑みを深めた。

「それに、憎いのでしょう?世の中の構造が。そして、自身を虐げる者達が。私に従えば、全てが手に入る…。カネも、セックスも欲しいままだ…。答えろ。私と来るか?」山賊達の選択肢は1つだった。「「「ヨロコンデー!!!」」」パヴァートは満足気に頷いた。

おお、何ということか!かくして賞金首であったはずの山賊団はパヴァートに掌握されてしまったのである!「フィーヒヒヒ!賢い選択ですね。では、手始めに、この辺りの情報を話してもらいましょう」パヴァートは行動を開始した。この異世界に、自身によるニンジャ世紀を創造するために。

◆◆◆
「アイエエエ!?襲撃!?襲撃ナンデ!?」1ヶ月後、パヴァートがかつて訪れた街。各所で上がる炎。その中を多くの人々が逃げ惑う。何が起こっているのか?「防衛重点!」街のガードはヤリを持ち、襲撃者の迎撃を試みる。だが、既に彼らは壊滅状態であった。

「フィーヒヒヒ!」「フィーヒヒヒヒ!」ガードの1人に紫色のマスクを付けた山賊達が殺到する!「「「囲んでコンボウで叩く!」」」「グワーッ!?」数秒後、ガードはネギトロめいた死体に変わっていた。サツバツ!「よし、西地区は制圧した。パヴァート=サンに連絡せよ!」

「その必要は無い」「アイエッ?パヴァート=サン!これはドーモ」山賊の1人がパヴァートにオジギした。「ドーモ。順調のようですね。略奪の方は?」「金目の物はこれから取り掛かります。エルフや獣人の美女は既に何名か捕らえています。フィーヒヒヒ!」「結構結構!フィーヒヒヒ!」

山賊とパヴァートは笑い合う!この1ヶ月で、パヴァートが率いる山賊組織『カ・クラン』はパヴァートのカラテによる暴力で近隣の山賊組織や違法組織などを次々に吸収、一大勢力となっていた。徹底的な自我の研修と暗黒レベル上げにより統率の取れた精鋭と化していたのである。

街の各所にはカ・クランのノボリが各所にはためく!ノボリには「カ・クラン」「全てを奪います」「ファックしたい」「男でもアブナイ」の威圧的な文字!「アイエエエ!」そして、街の中央にはアラレモナイ姿に剥かれた獣人やエルフの女性が拘束されている!

パヴァートは満足気に笑う!「フィーヒヒヒ!では、そろそろ肉体的に楽しませてもらうとしよう」パヴァートは広場に向かおうとする。だがその時、山賊の1人が息を切らせ走ってきた。「パヴァート=サン!重点連絡な!」「…何です。これからオタノシミなのですが?」

「いえ、そのう…。まだあまりよく把握していないのですが…。お忍びで来ていたエルフの若い姫が?領主の館に?隠れて?制圧に手間取っているようで…フィヒヒ…」「ほう、なんと!良い情報な!では私が向かいましょう。姫とは重点!フィーヒヒヒ!」「ご武運を!フィーヒヒヒ!」

パヴァートは恐るべき速度で領主の館に辿り着く。彼の性的執念は、瞬時に姫の居場所を割り出した。小窓から映るのはネグリジェ姿の年若いエルフの少女。そのバストは豊満であった。「就寝中…の、襲撃?着替える暇も無かった…?」パヴァートは状況を推理した。

「まったく、なんてふしだらなタイミングだ!いけないぞエルフ姫=サン!そんなことでは!フィーヒヒヒ!」そのままパヴァートはチョップで小窓の鍵を壊し身体をくねらせスライムめいて室内に侵入!「紳士的に入室重点!」「アイエエエ!何者ですか!?」不気味な侵入者に気付いた姫が悲鳴を上げる!

「ドーモ、はじめまして。パヴァートです。エルフの姫フィーヒヒヒ!」パヴァートは身体をクネクネと捩らせながらアイサツをした!「アイエエエ!賊です!誰か!」姫の声と共にドアが開き、護衛の騎士5名がエントリー!「「「ザッケンナ変態コラー!!」」」平均レベルは20!ベテランである!

だが、パヴァートのレベルは略奪やモンスター殺戮トレーニングにより既に80に達しているのだ!カラテとレベルをかけて100倍!「イヤーッ!」「グワーッ!」パヴァートのチョップが先頭の騎士の鎧をアルミ缶めいて引き裂く!首を切られ即死!

「オメーン!」2人目の騎士が剣を構え上段で斬りかかる!「イヤーッ!」「アバーッ!?」だが、パヴァートのケリ・キックが胴体を両断!即死!「オドー!」3人目の騎士が水平に斬りかかる!「イヤーッ!」「アバーッ!?」だが、パヴァートのポン・パンチが胴体を貫通!即死!

「オコテー!」「オツキー!」パヴァートを強敵と判断した残り2名の騎士はそれぞれ突き攻撃と手への斬撃を繰り出す!同時攻撃だ!だが、パヴァートはスリケンを2枚投擲!投擲されたスリケンは自販機に投入されるコインめいて騎士ヘルムの隙間を通り、頭部を破壊!「「アバーッ!?」」タツジン!

「アイエーエエエ!」護衛が全滅し、恐れ慄いた姫はしめやかに失禁!そのまま天蓋付きのベッドの中に隠れる!「フィヒヒ…自らベッドに行くとは…。だ、だが、スタートするのはちょっと待たないか…。何しろ、し、紳士的に…強制前後を…フィーヒヒヒ!!」

パヴァートは懐から違法ヤクソウを取り出し吸引した。「フゥー…、遥かに良い…。では、姫よ、ファックします」準備を整えたパヴァートはベッドに向き直る!もはや姫の貞操はロウソク・ビフォア・ザ・ウィンドだ!「フィーヒヒヒ!」勢いよく天蓋を開く!だが!

「ドーモ、パヴァート=サン。ニンジャスレイヤーです」 「え」
「おちおち眠ることもできんなこの世界は…」
「え…」

そこにいたのはエルフの姫ではない!ベッドに寝そべる赤黒のニンジャなのだ!「あ、アババーッ!?」パヴァートは驚愕!そのニンジャこそはニンジャスレイヤー!ニンジャ抗争で妻子を殺された復讐の戦士!全ニンジャにとっての恐怖の具現!「な、ナンデ…ニンジャスレイヤーナンデ…」

「アイサツせよ!」狼狽えるパヴァートをニンジャスレイヤーは一括!「アイエッ?…ど、ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。パヴァートです。な、何故貴様がここにいる!?ここは異世界だぞ!?ナンデ!?」「状況判断だ!」「そんな!説明しろ!」「せぬ!」

パヴァートは鑑定・ジツでニンジャスレイヤーを見た。そこには『ニンジャスレイヤー カラテ10万』の文字!どう見てもニンジャスレイヤーだ!「い、イヤーッ!」パヴァートはニンジャスレイヤーに殴りかかる!もはやヤバレカバレ!だが、そんなものが通じるニンジャスレイヤーではない!

「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーのジゴクめいた中段突きがパヴァートの身体をワイヤー・アクションめいて壁に叩きつけた。「あ、アバッ…!」全身複雑骨折!パヴァートは吐血し、よろめきながら立ち上がる!「ち、畜生…ニンジャになれば…全てが手に入ると思ったのに…」

ニンジャスレイヤーはパヴァートを冷たい目でしばし見たのち、言った。「悪い夢から早く醒めることだな。イトナミ=サン」「え…?」「オヌシがニンジャになれば、私はすぐにでもオヌシを殺すゆえに」「な、何を言っている…?」ニンジャスレイヤーは訝るパヴァートに近付く。

「ハイクを詠め」「…ケモミミカワイイ、エルフカワイイ、インガオホー」「…イヤーッ!!」ニンジャスレイヤーのチョップがパヴァートの心臓を貫通した。「サヨナラ!」パヴァートはしめやかに爆発四散010し0101011サツバ0101コトダ0110101010101

◆◆◆
「アイエッ!?」次に目を覚ました時、パヴァートは、いや、イトナミはどこかの病院の病室に居た。身体が痛い。だが、自分は今度こそ爆発四散したのでは?訝っていると、女性の看護師が現れ声を上げた。「あ、イトナミさん、意識が戻っています!」

「俺は…いったい…」イトナミは看護師に言った。「貴方は交通事故に遭って意識を失ってたんですよ。幸い、命に関わる怪我では無かったですが」「え…?」イトナミは困惑した。夢だったのか?何もかもが。「リュックに入っていた本がクッションの代わりになったみたいです。この本なんですが…」

おお…見よ!それはニンジャスレイヤー物理書籍版の1巻!イトナミがお守りがわりにリュックに入れていた物だ!表紙のニンジャスレイヤーの目がイトナミを射抜く!「アイエエエ…!」イトナミは涙を流した。まだ生きろというのか!この夢も希望も無い世界で!ニンジャもいない世界で!

「ワアアーッ!!!」イトナミはさめざめと泣いた。子供のように泣いた。「庶子!ブッダ!前後してください!」「どうしたんですか!?イトナミさん!イトナミさん!」「ニンジャになれば…全て上手くいくと思っていたのに…!ニンジャになれば…幸せになれると思っていたのに…!」

号泣するイトナミとそれに困惑する看護師をよそに、窓から朝日が差し込んだ。朝日の光は、傍に置かれたニンジャスレイヤー物理書籍版1巻の表紙を眩く輝かせる。病室には、いつまでもイトナミの嗚咽が響いていた。

『アナザー・ワールド・ニンジャライフ』終わり

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