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コシノジュンコ 原点から現点 ー あべのハルカス美術館(大阪・天王寺)

 大阪・天王寺駅に隣接する あべのハルカス。下層階はデパートの あべのハルカス近鉄本店、トップには あべのハルカス展望台 があります。16階が あべのハルカス美術館 で、大阪・岸和田出身のデザイナー、コシノジュンコ の展覧会が開催されていました。

 新年2024年1月の3連休のうち1日を使って大阪にやってきました。午前中は京都におり、お昼の時間帯に大阪へ移動。JR大阪環状線で天王寺駅に到着した時に窓から見えた あべのハルカス です。

 美術館がある16階へ行くには、デパートに入る手前のエレベーターが便利です。(デパートの中のエスカレーターを乗り継いでも16階まで上ることができますが…)


 16階のエレベーターホールを出て、最初に見えるのが美術館の出入口です。エレベーターを降りてきたほとんどの人は、この写真の左側奥にある あべのハルカス展望台入り口へ向かっていきますが、私はここでまっすぐに美術館入り口へ進みます。

 コシノジュンコ 原点から現点 のポスターです。左側の入り口でチケットのQRコードをかざして中に入ります。荷物が多い場合は、入って右側にコイン返却式のロッカーがあります。

 入り口近くにあるのが、高校時代には美術部に所属していたコシノジュンコ(当時、小篠順子)の作品です。この向かい側にはやはり高校時代に描いたヌードデッサンも掲げられていました。

 文化服装学院に在籍していた当時、同期の学生、高田賢三などと撮った写真と、学院の出版局が始めたファッション誌『装苑』が主催する新人デザイナーの登竜門、装苑賞を受賞した作品の写真です。写真は白黒なのですが…

 すぐとなりに、コバルトブルーのゆったりとしたコートの現物がありました。1960年第7回装苑賞を最年少19歳で受賞した作品ということです。

 1960年代から80年代にかけての写真の隣には、1970年に開催された大阪万国博覧会のためにデザインしたユニフォームもありました。

 対極(CONTRAST)をコンセプトとしたエリアです。赤と黒を重ね合わせたドレス、マルとシカクの器の重ね合わせがありました。

 POROPORO
 丸い円を重ねたドレスの作品群です。
 一部の作品は16階の窓から見える大阪の街が背景になっていました。

 1996年にキューバでファッションショーを開催し、そこで披露された4人がつながったスカートです。

 コシノジュンコが2012年から手掛けている和太鼓パフォーマンス集団DRUM TAO の舞台衣装です。

 ジャポニズムをコンセプトとしたエリア。コシノジュンコは彬派400年記念祭の呼びかけ人の一人として活動していました。2015年には京都国立博物館で「彬派 京都を彩る」を開催し、オープニングイベントとして「能とモード」をテーマにファッションショーを行ったということです。さらに2017年と2018年にはパリで着物に現代のデザインを織り交ぜた展覧会や能をテーマとしたショーを開いています。よく見ると左側には格闘家、武尊のガウンも…

 壁にはいくつものペインティング作品も…。原点である高校の美術部時代を振り返り描いた作品ということでした。この一角には「緊張」、Tension というタイトルの作品が並べられていました。

 2020年11月に東京の GINZA SIX で開催された「能+ファッション ”継承される伝統と現代の融合”」 などの衣装です。

 会場を出てあらためて美術館の前をみてみると、ディスプレーには主催団体の一つ、テレビ局MBSが放送する深夜番組「よんタメ」が流れていて、その中でコシノジュンコが紹介されていました。



 この展覧会は2年前の2022年4月~5月に大分県立美術館で開催されていました(当時、美術館も力を入れていたようで、この展覧会にあわせて常設している室内のパブリックアートを取り外して対応していました、注1)。それが巡回展としてコシノジュンコさんの地元の大阪にやってきたものです。

 高校の美術部時代、文化服装学院に在籍している当時の装苑賞受賞が「原点」。途中の「対極」を経て、DRUM TAO,ジャポニズムの「現点」につながるという構成になっているのだと感じました。

 あべのハルカス美術館ではこの展覧会が1月21日まで開かれます。2月には場所を新潟県立万代橋美術館へ移して開催する予定ということです。地震の影響が新潟にも及んでいますが、北陸地方を含め早く地震が落ち着いて復興が進み、展覧会も予定通りに開催できることを願っています。



(注1)2022年にコシノジュンコ展が開かれた 大分県立美術館 にはいくつかのパブリックアートが展示されています。

 大分県立美術館1階アトリウムには須藤玲子さんによる「ユーラシアの庭 水分峠みずわけとうげの水草」が常設展示されています。最初に訪れた時にはこの作品に圧倒された記憶があります(写真は2022年3月)。

「コシノジュンコ 原点から現点」の開催期間中はその展示物が取り外されていました。美術館の方によると元々、折りたたむことができる作品で、取り付けたり外したりはそれほど難しくないということで…(写真は2022年5月、上の3月の写真とは反対側から撮っています。)

 ポスターが邪魔されずに見ることができるようになっていました。このポスターも展覧会の象徴的な作品だと私は思っています(写真は2022年5月)。

 そして、ポスターの内側はちょうど POROPORO が展示されているエリアで、外からの光が違和感なく差し込んでくるという効果もありました(写真は2022年5月)。

 展覧会が終わってから大分県立美術館へ行った時には、「水分峠の水草」はまた吊り下げられていて、元に戻っていました。


 今回の大阪展で展示されていた「ビスチェ」は大分県の伝統工芸とのコラボレーションということですし、DRUM TAOは大分県竹田市に拠点を置いています。大分県とのつながりが強く、それでコシノジュンコ展の最初の開催地が大分になったように思います。

今回、展示されていた「ビスチェ」


(2024年1月10日、大阪へは1月7日に行ってきました)


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