(詩) 「沈吟」




闇を次第に深めてゆく
一つの時代 ひとつの季節に
渦巻く怒号 暗い音響を彼方に聞く

透明とは 死の いいではない
遠い記憶の内側にだけ息づいている
一輪の淡い花の輪郭
横たわる川に その冷えきった水に
誰が灯を落とすのだろう
純粋なままに 静かに燃える灯を

季節の境界の谷底を腐臭が包み
道を失くした膨大な影が うごめいている
闇が光に照らされてからは