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山行記

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30年振りに山に目覚めた中年男の登山記録 己と山に問い続ける
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記事一覧

山行記その9西穂独標〜届きそうで届かない頂

夏のこと。 流行り病に罹患しかなり苦しんだ。外国で生まれた微小なるものが、人から人へと受…

山行記その8 大天井岳 〜crossroads〜

後悔は少しもないけれど、あの時違う道を選んでいたらどんな人生だっただろう。分岐点が訪れる…

山行記その7 常念岳〜人生の街〜

初めてその名を覚えた北アルプスの山は常念岳だった。この街の西側に連なる山脈のうち、ひとき…

山行記その6焼岳 〜いつか無に還る〜

焼岳は活火山である。 頂に近づくほど、音をたてて噴気が立ちのぼり、強い硫黄のにおいがたち…

山行記その5奥穂高岳〜自分の人生にイエスと言う〜

山頂はこの寒さで雪だそう。次に麓から見上げる時は白を反射して輝いているのだろうか。一瞬の…

山行記その4 前穂高岳 〜It's a wonderful life〜

節目の歳を迎えて思い立ち、幾座かの山行を目標と定めたのであるが、思うに任せぬものはやはり…

山行記その3北穂高岳〜タイムマシンにお願い〜

上高地から涸沢へ。 この道を友人たち3人で辿ったのはもう30年近く前のこと。大学4年生の夏だった。 随分と前のことで、断片的にしか思い出せない。荷物が重かったとか、景色がきれいだったとか。部分部分の記憶がなんとなく蘇るけれど、共に歩いたはずのこの道のことは、ほとんど覚えていない。 まるで初めて通る道みたいだ。 別に封印していたわけでもない。何故だか山に足が向かなかった。すぐ近くに山があって、まるで職場のようないつでも行けるような環境だったことも、何となく敬遠してしまう理由

山行記その2蝶ヶ岳〜そして私は蝶になり、夢の中へ飛んでゆくわ

随分と早い梅雨明け。 短い雨季の間、やまなみは雲に隠れ、雨が降るたびに雪解けが進む。次に…

山行記 その1燕岳〜白き女王は中年男に何を囁いたか〜

つづら折りの急な山道を、ゆっくりと下る。 標高が下がるとともに、沢の音が次第に大きくなる…

山行記 その0〜何故だかまた登ることにした〜

三十年ぶりに登山を再開することにしました。みたいなおじさんが一番遭難する確率が高いのだそ…