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男性が喫煙することのメリット3つ

*この記事はYouTubeクリニック「喫煙することのメリット3つ」の解説記事です。喫煙者に見て頂き、禁煙を推奨することを目的とし、「デメリット」ではなく「メリット」と表記いたしましたが、喫煙を推奨するものではありません。一見すると誤解を招く表記ですが、意図をご理解頂ければと思います。今回は紙巻きタバコのデータを用いますが、加熱式タバコでも同等量のニコチンを摂取され、他の有害物質は量は少ないもののリスクは低いとは言えない状況です。

現在20歳以上の男性の29%が習慣的な喫煙をしています(*1)その男性たちが享受できるメリットを今回は見ていきます。

1. 生存期間を短縮することができ、万病の苦しみを享受できます。
喫煙することで約10年短くすることができます。途中で喫煙をやめてしまうと以下のように寿命が伸びますので気をつけてください(*2)

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また、タバコの有害物質は気道・肺及び全身を巡る血液の中に溶け込み、血管内皮や臓器を損傷するので喫煙することにより様々な病気にかかることができ、あらゆる人の苦しみを味わうことできます。
タバコにより誘発される代表的な疾患はがんです。日本男性の4人に1人はがんで死亡しますが、中でも死亡数が全国1位の肺がんには喫煙で肺がん発症リスクは非喫煙者の40倍罹患しやすいと言われています。以下に示すのがなりやすいがんの図です。レベル1とは因果関係を推定するのに十分であるほど科学的証拠が揃っていることを示します。(*3)。

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がんだけではありません。もちろん煙が暴露される肺はボロボロになりますのでCOPD(慢性閉塞性肺疾患)という状況になります。簡単に言えば肺が壊れるので常に息苦しい状態になれます。いつもあなたのそばにある酸素が体に入ってきてくれなくなるので側にいる大切な人に急にそっぽをむかれる虚無感を味わうことができます。以下が簡単な図です(*4)

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タバコは血管内皮を障害します。喫煙だけでも「胸をえぐられるような」と表現される心筋梗塞のリスクは1.6倍になり高血圧合併で4.5倍、脂質異常症も合わせると16倍となります。また脳卒中のリスクも単独で1.5倍となり、特に「ハンマーで殴られたような頭痛」と表現されるくも膜下出血は2.9倍となります。これらは日本男性の死因のがんに次ぐ2位と3位であり、また麻痺などを残しやすいため残りの人生で不自由を感じることができます。

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この他にも糖尿病、慢性腎臓病、歯周病やうつ病などの重大疾患に罹患しやすくなりますが、ここで喫煙者の方に悲しいお知らせがあります。喫煙により認知症、特に脳血管型認知症及びアルツハイマー型認知症に罹患しやくなりますので、折角あらゆる疾患に罹患できたのに忘れてしまいます。ただ安心してください。その苦しみは介護者へそのまま、あるいは増幅されて引き継がれます。ご自身の苦行の意思を引き継がれて嬉しく思う気持ちもあると思いますが、気をつけて頂きたいのが1点あります。年々増加している養護者による高齢者虐待で苦行を結局ご自身に変換されるかもしれません。というのも虐待の最大の原因は「虐待者の介護疲れ・介護ストレス」です(*5)。御自身の最後が虐待とは、それはそれで生の苦行を受ける最後の試練として良いかもしれません。

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2.家族と苦しみを共有できます
男性の喫煙率は29%である一方、女性の喫煙率は8.1%であるため多くの家庭で受動喫煙の状況が生まれます。また乳幼児は非喫煙者であるため受動喫煙や3次喫煙(タバコを消した後にソファーなどに残留する化学物質を吸入すること。残留受動喫煙)に晒されます。受動喫煙・3次喫煙による年間死者数(肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群(SIDS)を試算)は約1万5千人/年(*6)となっていますので、かなりの影響を与えられることになります。(*7)

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3.経済的に国民を助けられます
タバコは多くの税金を納めていることは事実です。JTの発表によると年間2兆円程度は税として支払っていると主張しています(*8)以下は2017年度のタバコ税の内訳です。すごく税収に貢献していますね。

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このメリットを享受するためには2点、気をつけて頂きたいことがあります。それは「疾病になっても治療を受けない」「受動喫煙させない」ことです。JTとは別にタバコによる社会保障費が計算されています(*9)。こちらの損失を減らさない限りは「税を払っている」とはとても言えない状況ですので気をつけてください。(10*)

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またタバコ休憩による労働生産性の低下も税収にかなりのインパクトを残します。もし喫煙者としての権利を主張する場合は労働中は喫煙してはいけません。おおよそ労働時間中のタバコ休憩は35分/dayと試算されており、男性の29%(労働者人口3,229 万人)の喫煙率と男性の平均年収511万円で1日8時間、年間250日の労働条件で単純に計算すると個人年間18.2日分(約37.3万円/年)がタバコ休憩に消え、全体で3兆4833万円の経済損失を(男性だけで)生み出していることになりますので、かなりの税収減に繋がることが想定されます。もし「税金を多く払っているんだ」と主張されたい場合は是非気をつけてください。

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参照:日本禁煙学会 禁煙学第4版 https://amzn.to/31Go4zr

引用
(*1)平成30年「国民健康・栄養調査https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08789.html
(*2)A guide for tobacco users to quit (WHO)
https://www.who.int/tobacco/publications/smoking_cessation/9789241506939/en/
(*3)国立がん研究センターがん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/smoking/index.html
(*4) 独立行政法人 環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/about/02.html
(*5) 厚生労働省 平成30年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000196989_00002.html
(*6)たばこ対策の健康影響および経済影響の包括的評価に関する研究
平成27年度報告2016.
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-02-005.html
(*7)花巻市HP
https://www.city.hanamaki.iwate.jp/kenko_iryo_fukushi/oshirase/1009624.html
(*8)JT タバコ税の仕組み
https://www.jti.co.jp/tobacco/knowledge/tax/index.html#:~:text=%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E7%A8%8E%E9%A1%8D%E3%81%AE%E5%86%85%E8%A8%B3,%E8%B2%A2%E7%8C%AE%E3%82%92%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
(*9)受動喫煙防止等のたばこ対策の推進に関する研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201709004A
(10*)日本医師会 タバコが原因の損失
https://www.med.or.jp/forest/kinen/loss/



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