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暁闇

暁闇を観た。
開始早々から鳴り響くギターの音が、 本当に良かった。
引き伸ばしたような間が所々あり、
流れる音楽も相まって、登場人物の心情や、
その場の空気感をより鮮明にしていたと思う。
一人一人がそれぞれ、何かしらの欲に飢えていて、
それぞれが、ただ純粋に抱きしめられることや、
抱きしめることを、望んでいただけにもみえた。
音楽もキスも本もリストカットもセックスも花火もあの屋上の景色も、一時的でしかない。
日常における個々の救いとして、
それらがどんなに美しく映っても、
どうしても埋まらないものがどこかにあって、
あの子たちはどうやったって、自分で自分を
抱きしめてあげられないのだろうなと思った。
だからこそ、あの3人のあの空間、あの夏の時間は
夢であり、あの夢の中でしか交われなかったのだと思う。
どこまでも孤独で、どこまでも悲しくて苦しかった。
それでも、あの夢から覚めたことで、
あの子たちがいつか、誰かを心から抱きしめられるように、誰かから心から抱きしめて貰えるようになるといいと思った。
そうして、自分自身の抱きしめ方を知ってくれたらいいと思う。
私も、私を正しく抱きしめてあげたいと
そう願えるような映画だった。

暁闇
"月の落ちたあと、日が昇るまでの闇"


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