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面倒な生き物


夫は時々
「女ってめんどくさい」と
吐き捨てる様に言う。

その対象者が私だけなのか、ひっくるめて女なのかは聞いていない。
おそらくそれは両方で、15年揉め続けた彼なりの苦労というか、困憊(こんぱい)というか、その歴史 経験から溢れ出る本音なのだろう。

そして、今となっては私もその意見に大いに賛成だ。

女は面倒くさい。女は疲れる。

女とは見た目でなく、メスとしての生殖器を生まれながらに持ち合わせている存在の事で
「子供を産める肉体」に特化してみた場合。
つまり、そこにはホルモンと言うBIG WAVEがあって
当たり前だけど知らぬ間にその波に飲み込まれ、
時には溺れ掛けたりすることもある。

思春期からの毎月の生理、青年期、妊娠期、産後期、更年期。
人生の中でメス特有のホルモンが体内に放出され(あ、イメージです)
その結果、自分の肉体をコントロール出来なくなる。
肉体どころか、心もコントロール不能になり、自分が一体どこにいるのか?どこに行くのか?、驚くほど迷子になった。

突然、泣いたり喚いたり、急に塞ぎ込んだり死にたくなったり。

そんな時、必死に自分の理性を掻き集めた。
が、その理性はボロボロと指の隙間から抜け落ち
わずかに残った理性は、残念ながらあまり役に立たなかった。

かと思えば、ただただ楽しかったり、優しかったり。
自分でも気持ち悪いくらいハイになる。
そんな自分を俯瞰して見てる自分が、変な汗をかく。

とにかく忙しい。
感情のジェットコースターって、よく聞くけど
本当あれだ。

今、更年期の終わりかけ、か?
分からないけど、驚く程感情の起伏は減った。
と言うことは、メス特有のホルモンは残り少ないどころか、もうほぼないのだろう。

ちょっと残念だけど、でも有難い。
本当に楽なのだ。
囚われることも、深く悩むことも、ない。

人生を自分を他人を世界を
達観視出来る自由を手に入れた気分だ。

『なるようになる。』
『明日は明日の風が吹く。』
今はこの言葉が沁みる。

ホルモンに振り回されて40数年。
それを横で見ている男性陣。

「女ってめんどくさい」と吐き捨てた夫の感想は
今なら深く頷ける。

たが、めんどくさいにはめんどくさいの意味がある。
めんどくさいのおかげでバランスが取れている。
必要なめんどさい、だ。

生物学的にはそれをどうにかしようとしない。
そして心理的とは全く別問題。
もちろん、両者は深くリンクしており、心理的な要因から肉体に影響を来たす事が常ではあるけど
だけど、"それはそれ、これはこれ"と一旦分けなければ更に病む。

だけど、一緒くたにしがちなのも
めんどくさいの一つの理由なのかもな。

面倒だと言われる(メスその1)の私ではあるが
「お前もなー」と横目で小さく呟いてみる。

科学がどんなに進んでも
全く別の生き物の夫と、100%理解し合えない。

だから、面白いし
そして面倒なのだ。

#生物
#オスとメス

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