見出し画像

C'mon, baby かつしか

昨晩、飼い犬が骨を咥えてはしゃごうとしていたのでダメだと叱った。
咥えていたのは寝室に置いてある小さい方の娘の骨箱である。
この骨箱はいつも寝室で川の字を作るように眠っている。
旅する時はリュックに入れて連れていく。

今日、外出先から帰宅し、暑さを鎮めてやれやれと言う感じで寝室に寝ころび、天井を見ていた。
妻は、別用で外出中であった。

今日かな、と静かに決心をして、テレビのリモコンを手に取った。

久しく目にする事を躊躇っていた娘の動く姿を見ようと、ここの所考えていたのである。

どの様な原因であれ、子を亡くした親にとって元気だった頃の子の写真、映像、声に触れる事は相当な勇気とエネルギーがいる事ではないかと思う。

もう居ないという現実を改めて知らねばならないから。

しかし、見ようと思った。
妻は見れないだろうから、留守中に見ようと考えていた。

レコーダーに撮りだめていた映像をスクロールして検索する。

運動会の映像が出て来た。
やたらと娘をアップで追いかけているカメラマンは私であった。

ダラダラと緩慢なカメラワークで記録された運動会。
そうだよな、こんな仕草、表情だったよなと思いながら映像を眺めた。

場面はダンスになり、嬉しそうに踊る児童たちの中心に娘が居た。
皆、15歳になったんだなと思った。
曲はDA PUMP のU.S.A.であった。


C'mon, baby かつしか,
C'mon, baby かつしか,

元気よく声を上げる姿があった。

満足げに踊り終えた場面で映像を止めた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?