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takibi INT. 平向 早香さん / みと森のようちえん にじいろ / 02 森のようちえんと出会う

はじめに

自然にまつわる人とたき火を囲んで語らう「takibi INT.」。

自然ゆたかな土地に生まれた平向早香さん。保育士として働き始めた頃、自然と接しはじめた子どもたちのケガが減るのを目の当たりにし、自然との関わりの奥深さを意識し始めたのだそうです。(前回はこちら→01 当たり前だった自然だけど

その頃、日本には北欧発祥の「森のようちえん」という野外保育のスタイルが日本各地でも始まっていましたが、早香さんはまだそのことを知りません。でも、子どもと自然が関わることを仕事にしたいという気持ちは芽生えていました。早香さんは一体どんな風に「森のようちえん」と出会ったのでしょう。

2022.12追記:全文バージョンの公開につき、話題ごとのアップは03までとなりました。

みと森のようちえん にじいろ
2018年7月から親子活動としてスタート。2019年9月に週3回の預かり保育を開始。2020年4月からは週5回になり、7月には「NPO法人スポーツ&スタディクラブ」に加盟。8月には認可外保育施設になり無償化対象となるなど、2年間で基盤が整いつつある。活動の拠点を検討中。

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「森のようちえん」とのめぐり合わせ

Q:「森のようちえん」を知った衝撃はすごかったんだろうな、と想像してて。「森のようちえん」って概念とはどこで出会ったの?
(※友人関係なので、フランクな話し方です)

早香: 結婚して2人目を出産して、石岡の社宅に住んでたのね。そのときに子育て支援センターで出会った一人のママがいて。あまりしゃべってないんだけど、ほんとにインスピレーションで何かすっごい感じる、みたいなのをお互い感じて。で、連絡先を交換して改めて遊んだときに、私が「実は幼稚園とか保育園とかやりたいと思ってて、自然のなかで」って話をしたら、「そういうの立ち上げる人達いるけど、紹介する?」って言ってくれて。それが、今「みと森のようちえん にじいろにも」にも保育スタッフで来てくれている藤田陽子さんで、「やさと森のようちえん あおぞら」っていうところを立ち上げた人だったの。(※2021年から全年齢型で遊び学ぶ「やさと あおぞら♪」に方針変更)

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Q: その時点ではもう「森のようちえんやりたい」があったんだ?
早香:「森のようちえん」自体はあまり知らなくて、「自然と子どもが直接関わる幼稚園をやりたい」だったの。そこでたまたま繋がったのが森のようちえんだったっていうだけ。
Q: すごいよね。もうその時点で「そういう就職先を探すぞ」ではない。
早香: そうだね。なんかそもそも、わたしが新人で保育園に入ったとき園長に「私は将来園長になるのが夢なので」って言ってたらしくて(笑)
Q: 最初に?
早香: そう。「私は将来園長になります。なりたいんです」って話をしてたって言ってた。全然無いの、記憶に。私そんなこと言ったっけみたいな。

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Q: その頃を思い返してみると、確かにそうだったかもと思う?
早香: そうそう。いずれ自分の園を作りたいっていうのはあった。
Q: なんでなんで。自然と子どもの関係を認識する前だよね、それ。
早香:やっぱり自分のやりたい保育をやりたかったのかな。小学1年生くらいからずっと保育士になりたいと思ってて。
Q: なんでなんで
早香:自分より小さい隣の子をみてて、もうめちゃくちゃ褒められたんだよね。みんなに。まわりの大人に。「さやかは面倒見良いな」とかすごい言われて。私もこういう性格だから「あ、そう?」なんて言って。あとやっぱりその子が自分に対して心を開いてくれたり、面白さを多分感じたんだろうね。だから新人保育士のときにめちゃくちゃ嫌いな、めっちゃ性格悪い先輩がいたの。だけど「絶対この人のためになんか保育士辞めない」と思って辞めなかった(笑)。なんでこんな人のために辞めなきゃいけないんだ、なんかやってやるぜ的なのが。
Q: そのさやちゃんの人の面白さもあるなぁと思っててさ。あ、お芋食べながらでいいよ

早香さんの焼き芋はやっぱり上手

早香: やっぱあったかいね、火。わあ、これ絶対おいしいから。

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Q: 割ってみ
早香: 絶対おいしい。
Q: 芋マスターの威厳にかかわるよね… 失敗することあるの?
早香: ええ。それこそ最初は失敗ばかりでしたよ。もう全部炭とか。でも今は大丈夫。
Q: 感覚が研ぎ澄まされたんだ
早香: そう。めっちゃ研ぎ澄まされてる。

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Q: いもー!
早香: (笑) 最高でしょ。はい。

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Q: すごいよね、毎回
早香: やばいよね。atacamakiさん(今回のフォトグラファー。以下「a:」)も食べてください。お芋。これとかいいと思う。
a: 食べ物に対しての敬意はその場でですから。今いただきます。
早香: もちろんです。あったかいの大事だもん。おいひー!
Q: うまい。
早香:うま。そしてこの、私のポイントとしては、ちょっと焦げてんじゃない、くらいの焼き加減が好き。焼き足りないくらいはちょっと違うんだよ。

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a: でもすごく焦げてはいないので、とってもいい。
早香:大丈夫ですか。ありがとうございます。うれしー!
a:
久々にこんな声でかい人に会います。私、人の事言えないんですけど。
早香:すごい気持ちいいです。
a:なかなか自分以外で声のでかい人そんなに会わない。
早香:うける。
Q: うま。
早香:うまいね

森のようちえんとのめぐり合わせの話に戻ろう。

Q: 食べながらでいいよ。森のようちえんとの出会いっていうのは、それだったんだね。
早香: それ!いま山口県にいる菊地真由美さんっていう人がいて。その人は元は小学校教師なんだけど、学校の教育に疑問を持ってて。子どもをいかに伸ばしていくか、子どもの個性をいかに大事にしていくか、みたいなところを大事にしている人で。その真由美さんが「もういいや、自分の娘と2人で野山を歩いて森のようちえんやっちゃおう」っていうところに、その陽子さんが、「なにその素敵なの」って賛同して、2人で始まったっていう
Q: そうなんだ
早香:だから「あおぞら」の元々の代表はその真由美さんっていう人で。陽子さんも同志みたいに思ってる人で。その2人との出会いが今の私を作ってると言っても過言ではないくらい。そうそう。

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Q:「森のようちえん」と出会ってみてどうだった?
早香:その2人が「森のようちえん」と出会わせてくれて、私も親子で参加し始まって。ほんと、親も子も何のしがらみもなくっていうか、自然の中で遊び込む。別に何で遊ぶとかじゃないんだよね。遊具で遊ぶわけでもないし。ほんとそのへんの近くにある木だったりとか石だったり動物だったりとか、草だったりとか。ってやっているなかで、「え、私が今生きてる子育て環境ってめちゃくちゃ苦しいかも」みたいに思って。そこからちょっとずつ私の子育て観とかも変わってきた。
Q: その時2人目を育ててたわけか
早香:うん。2人の子育て中。社宅だったから、他の家族はこうとか、子どもはこういうものだとかって、多分息苦しさとかも少なからずあったんだよね。そこに違和感を感じてたのもあって、「あおぞら」にうまく逃げ道っていうか自分の癒しを求めてた部分もあるし。だから森に住みたいっていうのは、すごい思ってた。
Q: 森に住みたい(笑)
早香:そう。ほんとに息苦しさみたいなのあったな。同調圧力っていうかさ、うちだけだったのね、違う幼稚園を選んだのは。でもそんなの全然へっちゃら、みたいな(笑)。「別に自分の好きな幼稚園行けばよくない?」みたいなのはすごくあって。

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Q:じゃあ「森のようちえん」って概念と出会って衝撃だった?
早香:衝撃ってそれほど無かったんだよね。やっぱり元々自分が持ってた感覚に従って生きてくっていうか。「あ、やっぱりこれでいいんだ」みたいな感じ。で、「自然のなかでの保育ってやっぱあるんだ」みたいな。
Q: 一致したって感じか
早香:そう。その時は「あ、これでいいんだな」って進んで行った感じ。なんか求めていたものがどんどん手に入っていくじゃないけど。やっぱりそういう流れだったんだな、って今になって思う。

自分は自分でいい。そう思える根っこ

Q: 同調圧力を気にしないで、へっちゃらでいられたって何でなんだろう。親御さんが色んな固定概念から外しておいてくれたとか?
早香: それ、何なんだろう… なんか私が思うのは、両親もそうだけど、一緒に暮らしていたおじいちゃんとか近所のおじちゃんとか、ほんとみんなが私のこと認めてくれたなかで生きてこられたっていうのはめちゃめちゃ大きいと思う。
Q: 認める、か
早香: そう。うち、お兄ちゃんと弟がめちゃくちゃ頭良くて。オール5とかとってくるような人たちだったの。だけど私、普通っていうかむしろ勉強なんてみたいな感じだったんだけど、お父さんもお母さんもおじいちゃんも、その事に対して何も言わなかったんだよね。「早香は早香でいて良いんじゃない」みたいな。「早香はそのままでいいよ」みたいな感じだったの。私もまあ、別に「頭良くなりなさい」とか言われたところで多分そんなに気にしなかったんだろうけど。でも、ほんとそういうの無かったの、全く。「早香は早香の良いところ伸ばして行けばいいよ」みたいな感じで言われたのは、多分そういうところにも繋がってると思う。
Q: 自分の感覚をそのまま信じていいって
早香: そうそうそう。だから、何かを選ぶときも別の人のこととか気にならなかったし。そう。「自分は自分だよな」っていうのは常にあったのかもしれない。

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「にじいろ」の保育で大切にしている「自分は自分でいい」という思い。それは早香さん自身の生い立ちそのままだったんだな、と、かなり腑に落ちました。友人としても、「あなたはあなたでいいの!」と何度言ってもらったことか。次回は、そんな早香さんが念願の自分の「ようちえん」を立ち上げたときのお話を聞きます。

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▼ みと森のようちえん にじいろ ▼

▼ atacamaki photography ▼

▼ インタビュー 栗林弥生 ▼

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栗林 弥生 yoyoyayo8181@gmail.com

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