短歌「観客不在のサイエンス」
借銭を数えて帰る道すがらどぶ川に棄てた憧れを見る
忌まわしき絶望こそがぼくの名だ出席番号三十七番
気にするな!外には出るな!永久に!きみにはきみのブランコがある
全人類詩人化計画下のきみよ 好きな娘に渡す花は持ったか
幼な児の転ぶすがたのうつくしさ空に行き交う神を信じる
注射器を欲した真昼に裸か身でかべに凭れるきみの歌声
いきりたつ真っ赤なこころの泡立ちはことばの波よりずっときれいだ
恐竜の背骨をきみの柔肌のくぼみに見るとき歴史は拓く
ウオツカのしとどに煙る朝焼けに挙式の絵画を凍らせている
本読んでだんだんだめになってきた チャーリーブラウンおまえはだれだ
後悔は不死鳥なりて時を食む ベルは啼くただ生命のために
永き夜を渡る孤独はサイエンス 観客不在の傷痕よ光れ
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