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「ほぼ日の塾 80人クラス」に参加して感じた、ほぼ日らしいコンテンツをつくるための大切な問いかけ

今回参加した「ほぼ日の塾」の感想を一言で言うならば、〈イメージのまんま〉でした。この感想は決してマイナスな意味ではなくて、じぶんが外部の人間としてこんな風につくっているのだろうな、というイメージと違わずむしろそのままだった、ということです。このイベントでは、その中身のエッセンスを垣間見ることができた、という感じ。「はたらきたい展。」や「はたらきたい。」でも同じように感じた、『具体的な技術はその人ごと・会社ごとによって違うけど、進んだ方がいい方向性・傾向を指し示してくれる』ようなイベントでした。

写真を撮ること、SNSに具体的な内容を書くことがだめだということで、少し抽象度は上がりますが、自分の感想とともにまとめてみたいと思います。中には、その場にいたからこそ納得できるものもあるので、行っていない人にとっては、「?」と思うものもあるかもしれません。

まずは、この「ほぼ日の塾」について簡単に説明します。

◎ 「ほぼ日の塾」とは?

一言で言うと、今年で18年目になる「ほぼ日」が、これまでコンテンツをどういうふうにつくっているのかを教える、という試みです。

ほぼ日刊イトイ新聞が、何年もかけて、とくに特別だとも思わず、自然に(あるいはそれ以外方法がなくて)培ってきたやり方は、どうやら、いつの間にか、人々の興味をひく、おもしろいものになっているようです。

それを、短期的な「塾」というかたちで、伝えてみたいと思いました。押しつけるつもりはありませんが、知りたい、と思う人がいたら、伝えてみたい。

今回参加したのは、「ほぼ日の塾」の追加開催のイベント。上記リンクは12人限定のものでしたが、なんと!申込みが1,200人を超えたらしくて。せっかくこんなに来たのだからそのつながりを活かせないかと主催者の永田さんが考え、追加で1日限定のイベントを開催してくださった、という経緯です。

Twitterで、「ほぼ日の塾」と検索すると、その日参加した人のざっくりとした感想が見れるので、気になる人はどうぞ。何も知らない状態で見ると、なんだか意識高い系イベントみたいだけど…(笑)。でも、朝の9時から夜の10時まで12時間以上も同じ空間を共有して学びっぱなしだったのに、それを140字に収めようとしたらそう書くしかないよ! と、声を大にして言いたいです。でもじぶんは140字ではまとめきれないので、こうして書いています。

Twitter | ほぼ日の塾

具体的な話が書けないのと、写真を載せられないのと、どうまとめたらいいのか分からないので、もういっそ、取ったメモを元に、自分が気になったキーワード的なことばを羅列してみました! (もちろんあえて書いていないこともありますし、もしこれが具体的な内容であるのなら、すぐに消します)。そしてその中で、自分がそのとき考えたことをピックアップしながら書いていこうと思います。(リストは順不同だし同じような内容がいくつか含まれています)

・・・

■ つくった商品は売れたいし、書いた記事は読まれたい(=ウケたい)
■ すべての動きは「とっさ」の動作で進んでいくものなので「どうしたらほぼ日みたいなコンテンツをつくれるか?」は答えられないけど、すでにあるコンテンツがどうやってつくられたかは答えることができる
■ 話してみることで、はじめて分かることがある
① 商品も、読み物も、すべてが「コンテンツ」
■ ほぼ日の基本の姿勢は「やさしく」、その次に、現実にするための「強く」、最後に、メシのタネである「おもしろく」
■ いいものには、拍手を送りたくてしょうがない
■ 雑談があった方がうまくいく、という経験則がある
■ 人が喜んで集まる場所をつくって、そこにどれだけエネルギーを注げるか
■ 「銀座通りをつくれば、自販機を置いても稼げる」けど、何をやるかで考え方は変えないといけない
■ 本当におもしろいものはわかるし、どんどん転がって拡散していく
■ 「うんうん」が重なる雑談は、コンテンツになることが多い
■ 「人が何をうれしい(好き)と感じるのか」を考える
■ どう面白いふうに遊ぶかは、キャスティング・場づくり・演出 にかかっている
② 「正直、誠実、偽らない」コンテンツをつくる合い言葉は、『それで本当にいいの?』
③ 記事の空気感を決めるのは、リズム・合いの手
④ 「信用」は、ほしくてすぐにはもらえない
■ チームで拍手をもらうことは、フリーランスでやっていたときとは違ったうれしさがある
■ できないことができる仲間がいることに敬意を持つ
⑤ 低いところで握手をしよう(=えらぶらない、目線をそろえる)
■ 説明の喩えが上手(ボーリング、船、パン)
■ インタビューは、相手とふつうにおしゃべりすることを意識する
■ 仕事の醍醐味は、趣味ではできないスリリングさがあるところ
■ 仕事の中で一番好きなのは、推敲の時間(奥野さん)
■ 誰かの記事であっても、「じぶん」がイニシアチブをとっている
じぶんが動機になっているコンテンツは強い
■ ずっと流行っていることにあらためて光を当てる
⑥ 最近取り組んだ話を中心に、体にしみこんでいる知恵を話してくれた
■ 自由って、終わったあとに気づく概念のこと
■ やってみてわかることもたくさんある、開けてみないとわからない
■ 急にはできない「小さな信用」をコツコツ貯めていく
じぶんが面白くなければ、他人を面白がらせることはできない
■ いちばん理想なところからの逆算をする
■ 誰でもできるように、でも心の奥で「誰でもできること」はイヤだと思う

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① 商品も、読み物も、すべてが「コンテンツ」

ほぼ日は、読み物だけがコンテンツなのではなく、商品、さらには、「TOBICHI」までもが、すべてコンテンツなのだと言います。それは、「ほぼ日手帳」のサイトを見ればなるほど…となります。

ほぼ日は、商品を売るためには、主観の雰囲気だけで伝えるのではなく「客観的推しポイント」に共感してもらえるコンテンツを大量につくっています。特にいいなと思ったのが、「乗組員23人に聞いた、「こう使うと便利!」なほぼ日手帳の小ネタ集。」。主観がたくさん集まって、客観的情報になるところが、いいなと思いました。あと、じぶんたちの商品を中の人がこういうところが好きだよ! と明言しちゃうところも、いいなー。

どのコンテンツのクオリティも高いのは、一人一人がつくった商品は売れたい、書いた読み物は読んでもらいたいと思っているからだと思いますが、記事の確認フローも独特だからこそ(詳しくは書きませんが)主観と客観のバランスが取れているのだと、読み物チームの話を聞いた上で、あらためて「ほぼ日手帳」のサイトを見て思いました。

・・・

② 「正直、誠実、偽らない」コンテンツをつくる合い言葉は、『それで本当にいいの?』

ほぼ日が好きだなと感じるところの所以は、ここかもなと思いました。

正直、誠実、偽らない。

じぶんも見習って、書くときに意識していることです。まずはじぶんが第一読者として、「これで本当にいいかな?」「これで誰かがうれしく感じてくれるかな?」と自問自答するのだそう。これでいいや、ではなく、そこであと一歩粘る。そういう文化が根付いているからこそ、「ほぼ日らしい」雰囲気をまとった記事ができあがるのかなと思いました。

「本当にいいと思っている?」って、シビアで辛くて、自分もやろうやろうとしているけど、なんだかんだ甘いところがあるので、それができているということは、自分との闘いができる自律的な組織なんだなーと納得しました。

・・・

③ 記事の空気感を決めるのは、リズム・合いの手

前から思っていたことで気になっていたことが、ほぼ日の文章の特徴でした。他のメディアと圧倒的に違うところが、相づちのタイミングや話しことばの使い方でした。以前、「経営とデザイン」というテーマで、NewsPicksとDOTPLACEとで、記事の書き方を比べてみたのですが、やっぱり違う。それが、合いの手でした。(そのときは、余韻と書いていました)

ほぼ日・NewsPicks・DOTPLACE 連載「経営にとってデザインとは何か」で紐解く、各メディアの編集方針(ほぼ日編)

ほぼ日・NewsPicks・DOTPLACE 連載「経営にとってデザインとは何か」で紐解く、各メディアの編集方針(総括編)

「そうですか」「ありがとうございます」など、よくあるWebメディアでは普通省略してしまうようなところでも、丁寧に書いています。

これは、話をしているときのリズムに近くしようと考えているから、こうなっているのだそう。おしゃべりをしているとき、何か言いたいところだったら、ちょっともったいぶったりするじゃないですか。そういうよくある会話っぽさをあえて残しておくところが、ほぼ日っぽさなのかなと思いました。

A )それはね・・・。

B ) うん。

A )◎◎なんだ。

みたいな。でも、普通はこうですよね。↓

A )◎◎なんです。


・・・

④ 「信用」は、ほしくてもすぐにはもらえない

読み物チームの4人の先生の質問形式のお話が終わったあと、糸井さんの話の中で「信用」についての話がありました。以前の「今日のダーリン」の中でこんな言葉がありました。

100円で買ったものが、とてもよかったら、
1クレジットくらい売った側はもらえる。
次も買って、よかったら、
また、1クレジットくらいもらえる。
さらに次にも、よかったら1クレジットもらえる。
こうして、買うごとに、クレジットが貯まっていって、
100クレジットくらいになると、
それはもう、たいへんな「信用」になる。

ずっと、ほぼ日が組織として、正直に・誠実に、この18年間毎日コンテンツを積み重ねてきたからこそ、今の読者にとって、「ほぼ日だったら面白い」とか「ほぼ日の商品だったら買おうかな」と、信用されいくのではないかなと思いました。だって、昔のものを今読んでも違和感ないですし。

ただ、信用は一長一短ではなかなか得られるものではないので(「信用」という判断を下すのは自分ではなく他人だから)、地道に長い目で見る余裕を持つことも大事なことだなと思います。

・・・

⑤ 低いところで握手しよう

えらぶらない、目線をそろえる、共通点を探す。今回の先生たちも、全員そうでした。上を見上げないと見えないくらい上にいるのにも関わらず、じぶんたちのいるところまでわざわざ降りてきてくれて、同じ目線で話をしてくれる。その姿がすごく素敵だなと思いました。この「低いところで握手しよう」は、自分の指針にしてもいいかもしれない。

上から目線の文章って、ほぼ日には本当になくて。どれも統一して文に配慮があるんですよね。そういえば、読みながら「あれ、これなんだったっけ?」と、迷うことが少ない気がします。記事をつくる際には、迷わないように迷わないようにと、道を照らしてくれているのだろうな、と今日の話を聞いていて感じました。

・・・

⑥ 最近取り組んだ話を中心に、体にしみこんでいる知恵を話してくれた

有名人が過去の栄光の話をえんえんとするのってあるあるだけど、最近の話が出てこないのってどうなの? みたいな話を読んだ・聞いたことがあって。今回話してくださった先生は全員最近の話をしてくれました。「バリュミューダ」の裏側から、「あんこの旅」の裏側、「経営とデザイン」の裏側まで。

話してくれた内容は、ぜんぶ、その場で自分の経験や感じたことの中から「じぶんのことば」として、ひょいっと渡してくれたように感じました。中には今の自分にはぜんぶ理解できないところもあったけど、それでいいのかなと思います。そういうのって、いつか「!」ってなるときが来るはずだから。

・・・

◎ 最後に、ほぼ日のみなさんへ

12時間以上もお付き合いいただき、ありがとうございました!

新しいオフィスは新しい匂いがしてて、色遣いに遊び心があって、スタッフの方も土曜日なのにも関わらずすごくたくさんの方に準備していただいて、お昼ごはん・夜ごはんまで用意していただいて。普通はお金を払って聞くところを、丁寧にもてなしてくれたほぼ日のみなさんは素敵だな〜〜と、好き度がまた上がりました。また行きたい!

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