1月23日
建物の剛性と心のレジリエンス
3時の休憩時間に設計士の山本さんから、耐震補強について説明をうけた。
耐震補強は、建物の構造を強くして、大きな地震の揺れから建物の損壊を少なくすること。この時重要なことは、構造上重要な部分に、耐力壁を作るのだが、やたらめたらと、ネジや釘を多く打ち込めば良いわけでは無い。
ネジで下地を止めた方がネジが抜けにくいし強固に固定できると思っていた。しかしそれだと、一定の力には耐えられるが、限度を超えるとネジは破断してしまう。一方で釘は、力が加わると抜けそうになるが、5㎝以上の釘を用いれば、変形はするものの、完全には破壊されないのだという。これを建物の剛性(弾性的性質)というのだそう。所謂、柔軟性、しなやかさのことを言うのだろう。
また、ネジ釘を多く打ち込んだ方が、丈夫そうに思えるが、細かいピッチで穴を開けてしまうと、ルーズリーフのように、引っ張ると簡単に破けるように、ベニアでも破断してしまうということだ。もう少し分かりやすく言うと、ボール紙にミシン目があると、簡単に手で破けるのと同じ原理だ。
だから、耐震補強工事は、釘の長さや素材、打ち込む位置が細かく規定されている。間違えると、耐震工事助成が公的な機関から受けられないだけでなく、全く耐震性のない無駄な工事になってしまう。
私は、内装仕上げが専門なので、耐震補強を行った後、仕上げに壁紙を張る。だから、強度のことはあまり深く考えてはいなかったが、表面よりも裏側の方が重要なのは、建物に限ったことではない。
人も表面上は強そうに見えても、内面の強さは分からない。困難な時にポキッと折れてしまうかもしれない。そういう時に柔軟性をもった心があれば、苦難にも耐えることができるだろう。それをレジリエンス(困難をしなやかに乗り越え回復する力)という。こういった側面は、建物も人も似ている。
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