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寝かしつけのゴールは子どもを寝かせることではない

こどもの「寝かしつけ」これに苦労されている方も多いでしょう。
子どもがなかなか寝てくれなかったり、拘束時間が長く感じたり、一緒に寝てしまって後悔したり・・・

今日は寝かしつけのイメージ回復をはかるべく(?!)そもそもなぜ寝かしつけが必要なのかを考えてみましょう。

なぜ寝かしつけが必要なのか

胎内ではセルフねんね

お母さんのお腹の中にいたとき、赤ちゃんは誰にも寝かしつけをしてもらわずに、自分ひとりで寝たり起きたりしていました。要するに「セルフねんね」ってやつです。
ママのホルモンなどはへその緒を通じて赤ちゃんに運ばれていますが、それとは関係ないリズムで寝たり起きたりしています。
しかも回数が半端なく、20-30分置きに寝たり起きたりを繰り返しているそうです。
寝る練習、実は見えないところで沢山しているんです。

産まれてから寝なくなるのはなぜか

産まれた後に急に寝かしつけが必要になるのはなぜでしょうか。
胎内でずっとセルフねんねしていたはずなのに・・

それは、外の環境でのねんねは初めてだから。

外の世界は胎内とは大きく異なります。
明暗があり、肌触りがなんかちょこちょこ違ったり高低があったり態勢が色々変わったり・・書ききれないほどの違いに遭遇します。

大人に例えて言うなら・・よくわからない惑星に突然やってきた!というぐらいのインパクトがあるのかもしれません。とにかく胎児から乳児になった瞬間、赤ちゃんにとってはなにもかもが初めての環境・体験になるのです。

もし、その惑星に先輩がいたら、あなたはどうしますか?ひたすら後ろをついていきませんか?ひとりぼっち、心細すぎませんか?

産まれてから突然この環境下に置かれた赤ちゃんは
小さく未熟なからだを全力で駆使してこの世界について学んでいます。
学ぶけれど、やっぱり、「ここはどこ!どうしたらいいの!!」ととても不安に思っています。

しかも、へその緒から自動的に運ばれてきた食事やこれまでは特になにもなかった排泄も自分で「心地よい」にすることができません。助けを求めます。
言葉が発せないので、泣いて伝えようとしています。

人に抱っこされて落ち着くのは、外の世界の中で安心できる場所が「人の腕」だからです。温かい感じや包み込まれるまるっとした感じ、抱いている人の鼓動を感じられるのが、きっと胎内に似ているのでしょう。

寝かせるのではなく入眠を手伝うスタンス

寝る時に必要な「安心感」

人が寝る時、必要なのが「安心感」です。
ふかふかのお布団があっても物騒なところでは寝られないし
安全な建物の中でも寒い床の上では寝られないし
自分の家でもとんでもない不安感やストレスがあったら眠れない
大人もこどもも、同じです。

赤ちゃんの寝床をしっかり整えた!
温度OK!服装OK!寝具OK!活動時間OK!もうやることない!!
となっても、あなたのお子さんがギャンギャンして寝ないのは寝かせる努力が足りないのではなく「安心感」が不足しているのかもしれません。

安心感が不足=愛情不足、ではありません。どんなに優しくしてもらっても、なかなか不安やストレスが取れないとき、大人だってありませんか。
ただ慣れきっていないだけ、実はもうちょっとで慣れそうだ、など、大人の関わり以外の要因も考えられるのであまりご自身を追い詰めませんよう。
言葉で話してくれるとわかりやすいんですが、そうもいかないのが育児の最たる難しい点だと、わたしは思っています。

寝かしつけ時に大人がすべきは寝かせることではなく、安心感を与えること

ここで話を寝かしつけに戻しましょう。

赤ちゃんは生まれる前からセルフねんねのスキルを持ち合わせています。
眠たいなー寝そうだなーと思ったら、自分でちゃんと寝ることができます。

ただ、外の世界が未知すぎて、生まれる前から大人が用意してくれている寝床でさえ最初は安心できる場所ではありません。
赤ちゃんの身体に不快が全くない状態でも
不安だよー!眠たいのに寝られないよー!と泣きます。

このとき、親がしてやれるのは「寝かせること」ではなく「安心感を与えること」です。
言い換えるなら、安心感を与えることで「子どもが自分で入眠するのを手伝う」スタンスです。
寝るのは子ども自身です。自分のタイミングで寝ます。親が寝るタイミングをコントロールすることは不可能、と、心得ておきましょう。
高速トントンすれば寝る、スクワットしたら寝る、ポイズンを聞かせたら寝るというようなことはありません。その行為が赤ちゃんの安心に寄与しているかどうかというだけです。

ここで興味深い研究をご紹介します。
AさんとBさんがそれぞれ赤ちゃんの相手をしました。どちらの保育者に相手される赤ちゃんのほうが泣く時間が短くなったでしょうか?

Aさん:泣いたらすぐ抱っこするけど、泣き止んだらすぐにベッドに戻す
Bさん:泣いても少し待っててもらうけど、抱っこしたらじっくり相手してくれる

いかがでしょうか?

結論はBさんに相手してもらった赤ちゃんのほうが、優位に泣く時間が少なくなったということらしいのです。よく考えたら大人も同じですよね。
呼んだらすぐ来てくれるけど用事がすぐ終わったら帰ってしまう店員さんより、ちょっと待っててくださいねー!って言われた後じっくり話しを聞いてくれる店員さんのほうが安心感や信頼感を覚えませんか?

↑こちらの本にその研究について記載がありました。

スピーディーさより気持ちが大切です。寝かしつけも同じ。
早く寝てぇぇぇこの後家事が山程残ってるんだからぁぁぁとイライラしながら寝かせるより、ちょっと待たせてでもじっくり関わるほうが、結果寝る時間が早くなるかもしれませんね。

寝かしつけの完了=子どもが寝る、になってしまうのでついつい寝かそうとあれやこれや頑張ってしまいますが、
赤ちゃん自身が「これから寝る場所は安心できる寝床だ」と納得できていればトントンも添い乳もいらないかもしれません。
寝床が安心できる場所だと赤ちゃんが理解できれば親なしでのねんねもできます。

もし生後数カ月間、寝かしつけという名の介入をしている場合、「それがないと寝られない」に発展していくので、親の存在が安心感以上のねんねのお供に進化している可能性がありますので、その場合はねんねのお供を変更する練習が必要になってきます。

ねんねのお供を変更する練習についてはこちらをご一読ください。
寝かしつけで行っていた行為が、「コーヒーとチョコ」になっている可能性があります。

子ども自身が寝る部屋、寝る行為に対して安心感や自信がある場合、きちんとお話すればセルフねんねも早いかもしれませんね。

最後に

「寝かしつけ=寝かせる」で頑張ってきたあなたへ

寝かしつけ、大変でしたね。あなたのおかげで、子どもはしっかり睡眠を取ることができました。ですが、あなたの睡眠や自分時間も大事にしてほしいなと思っています。

寝顔を眺めるのが幸せなら、これまで通り、隣で眺めましょ。
一緒に寝る事で自身の睡眠時間を確保してきたなら、ぜひ一緒に寝ましょ。
無理に寝かしつけをやめようという話ではありません。
もしあなたが、1秒でも早く寝かしつけをやめたい、寝かしつけが苦痛とお思いなら、それは子どもにとってもあまり嬉しいことではないのかもしれません。

親がハッピーでいることがこどもの幸せにも繋がります。親はハッピーでないと子どもに十分な幸せを与えることはできません。
どうですか?睡眠不足でイライラカリカリしている時に、人に優しくする余力、ありますか?

今日からすぐやれる寝かしつけは、「早く寝ろぉぉぉ〜」の念を排除することです。こどもの睡眠の邪魔をしなければ何しててもいいけど(布団にもぐってスマホしたり耳で何か聞いたり一緒に寝たり)、ここで寝ることは何ら心配いらないよ、大丈夫だよ、の安心感だけは出してあげてくださいね。

こどもは寝かせてもらうことではなく、安心感を求めています。

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