こんにちは！春はもうそこまで来ていますね。花粉は嫌ですが、早く暖かくなってほしいものです。

そんなことはさておき、今回は”春の陽気”にピッタリなソフトロックを紹介したいと思います。 60年代半ばから70年代にかけてブームとなったこのジャンルは、非常に認識としては曖昧で奥が深く、境界線がわからないのが現状です。特に70年代は多くのバンドが誕生した、所謂”ロックバンドのボリュームゾーン”であり、最もカオスな時代と捉えていいでしょう。
そんな70年代ソフトロックのベストアルバムを3枚厳選して、簡単に紹介していきたいと思います。

①Fleetwood Mac - 『Rumours』(1977)

70’sUKソフト・ロックといえばこのアルバム、邦題「噂」です。
本バンドは非常に歴史が長く、全て説明するにはこの記事では収まらないほどの文章量が必要なので、大まかに説明していきます。（笑）
60年代後半から活動していた初期メンバーの内、本作に関わったメンバーはドラムのミック・フリートウッドとベースのジョン・マクヴィーのみで、メンバー編成の多いバンドとしても有名です。様々な人が入っては脱退、入っては脱退を繰り返して、やっと商業的に成功したアルバムなのです。
フリートウッドマックって歴史があってややこしいバンドなんだということが分かれば、単なる「一発屋のバンド」という見方はなくなると思いますので、興味がある方は是非調べてみてください。

本作は1976年にイギリスで収録を行ったことから、ロック全盛期ちょうど真っ只中に作成したアルバムと言えるでしょう。
私から紹介するまでもないですが、収録曲の中で最も有名なのが、「Dreams」「Go Your Own Way」です。ザ・ソフトロックという感じで、皮肉ると「全く耳障りでないBGMのような曲」（褒めてます。笑）で聴きやすいイメージがあります。アルバム全体通して完成度が高く、初めて聴いたときは、こりゃ売れないほうがおかしいなと思いました。

しかし、元祖フリートウッドマック信者・自称ロック評論家のような人からは、「有名だが取り柄がなく面白みに欠けるアルバム」だとか「最近の若者はこんな音楽を聴くのか、センスがない（当時の意見）」など、酷評を受けたりしやすいアルバムだったことも事実です。筆者の考えはそんな酷評だの批判はどうでもよく、曲調だけでは表せない奥深さがあり趣のあるアルバムだなと感じます。つまり、人それぞれ意見が違うのは当たり前で、自分がいいと思った曲をとことん聴けばいいということです。今回のアルバムが是非、読者の好みにマッチすることを祈っています。

②Billy Joel - 『The Stranger』(1977)

果たしてソフト・ロックとしてこのアルバムを紹介していいのか疑問ですが、素晴らしいアルバムですのでご紹介させてください。
Billy Joelはアメリカを代表するシンガーソングライター兼ピアニストで、主に70年代後半から80年代にかけて活躍、数々の名アルバムを残してきました。筆者も小学生時代、音楽の授業で「Honesty」を歌ったことを鮮明に覚えています。教科書にも登場するほど有名なのであれば、紹介するまでもないのではないかと思いましたが、巷の若者（自分も含めて。笑）にはまだ浸透していないように感じるので、敢えて紹介することとしました。

本作は5作目となるスタジオアルバムで、彼にとって全盛期を支えた作品と言っていいでしょう。1曲目の「Movin' Out」から9曲目の「Everybody Has a Dream」まで、怒涛の名曲揃い。レコード信者の筆者もA面・B面共に充実した内容で、改めて素晴らしさを実感しました。
表題にも採用されている2曲目の「The Stranger」は特にお気に入りで、約1分間の口笛導入部から、キレのあるギターカッティングとノリの良いリズムへと続く流れは、誰しもが鳥肌ものでしょう。必聴間違いなしです。

③Todd Rundgren - 『Something/Anything?』(1972)

最後に満を辞して紹介させて頂くアルバムは、鬼才と言われるトッドラングレンの作品です。なぜ鬼才なのかは、このアルバムを説明すると分かりますので、是非最後まで読み進めてみて下さい。
Todd Rundgrenはアメリカ・フィラデルフィア出身のシンガーソングライターで、現在はプロデューサー・エンジニアとして活躍しています。活動期間は非常に長く、60年代、ティーンの頃から「Nazz」というバンドで活動を始め3枚のアルバムを発表しています。この頃から既に評価されていましたが、自ら楽曲を作成、編集を行うという実力を兼ね備え、そしてついに本アルバムを24歳で完成させました。（発表時は筆者と同い年ということで、非常に驚きを感じています。笑）

本作は彼の4作目となるスタジオアルバムで、初の2枚組(2LP)長編大作です。
またアルバムの4/3における全楽器を自身で演奏、全てのボーカルを務め、プロデュースをも自身で行うという鬼才ぶり。実際にアルバム全体を通して聴くと分かりますが、全部一人で演奏してるとは思えない完成度。頭が上がりません。（笑）
ちなみに残る4/1は後半(19曲目以降)の作品ですが、名だたるスタジオミュージシャン達を集結させてオーバーダビング無し（簡単にいうと編集無し）で収録するという手の込んだ作品になっています。

本作における筆者のお気に入り曲は、「I Saw the Light」「Sweeter Memories」「Hello It's Me」です。果たしてこの曲たちはソフト・ロックなのかポップスなのか？よく分かりませんが、筆者はポップスの要素が入ったソフト・ロックと捉えました。また、ジャケットの絵も春っぽくて素敵だと思ったので紹介するに至ったまでです。

最後に

まず最後まで読んでいただいた読者の方、本当にありがとうございます。
正直にいうと、この記事を書いている時は不安しかありませんでした。ソフト・ロックというジャンルは非常に曖昧で、現在も定義はありません。（定義付けたりジャンルごとに線を引く必要性もないのですが。）

そんな中でこの記事を書こうと思った経緯としては、より多くの人にボリュームゾーンであるこのジャンルを知って頂き、考えて欲しいんです。そして、自分の好きな曲を増やすことができれば、友達・恋人同士で話のネタにもなるし、もっと人生が豊かになるんじゃないかなと思ったからです。

今回は3枚のアルバムを紹介しましたが、例えば他にもSteely DanやEagles、BeeGeesの作品など、まだまだ紹介できていないアルバムは多数あります。
（様々な意見はあるでしょうが、今回は初心者編として勘弁して頂ければと思います。）読者の方がまた一つ自分の知恵として、音楽の知識を蓄えてくれたら嬉しい限りです。