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自分語りな自己紹介~青年期~

”中卒”当然の様に僕はそうなります。”定時制高校”も進められましたが、聞く耳持たずです。

M君達は、まだ半年以上も年少の中です。卒業をするとすぐにM君の親父さんの元へ向かいました。

「どうか僕をここで使って下さい!」
「社会は甘くねーぞ?」
「はい!気合い入れて働きますのでよろしくお願いします!」
「オシ!分かった!来週の月曜日の朝六時に事務所来い!作業着はMのおさがりやるからそれ着て来い!六時だぞ!遅刻すんなよ!」
「はい!分かりました!よろしくお願いします!!」

M君の親父さんは厳しい口調でも、笑顔で受け入れてくれたのです。

「よっしゃー!来週からバリバリ働くぞー!」完全に浮かれていました。
”地獄の第一歩”に踏み込んでしまった事も知らずに・・・

”進学”はしなかった事、”仕事”に就く事を”保護司”に報告しM君の親父さんと保護司も面談してもらい”職人見習い”という形で雇入れてもらうことが決定しました。
”職人見習い日給6千円”僕の社会人デビューです。

”月曜日の朝”僕は目覚ましを五時にセットして早めに事務所に向かいました。事務所に到着するとそこには既に”職人”が何人かコーヒーを飲みながら談笑しています。

「おはようございます!今日からお世話になりますyskです!よろしくお願いします!」

「おー来たか来たか笑。社長から話は聞いてる。今日はここにいるメンバーで”現場”入るから、時間までほら、コーヒーでも飲め笑。」

真っ黒に日焼けした”その人”が言いました。
「はい!ありがとうございます。」目覚めの缶コーヒーって奴です笑。
「ysk!そんなガリガリの体で大丈夫か笑!」
「ワハハハ!」皆が笑います。

「頑張ります!」仕事の内容も知らずに適当な事は言えません。
そんな感じでしばらく職人にいじられていると、M君の親父さん、”社長”の登場です。

「おはよう!お、ysk来たか笑今日からしっかり可愛がってもらえよ笑」
「おはようございます!はい!よろしくお願いします!」
「ヨシ!そろそろ材料積み込むか!」「はい!」

「んじゃysk、”ケンスコ”と”カクスコ”二本ずつ持って来て積んでくれ!」
「???」なんだそれ?水戸黄門か?「す、すいません、どれですか!?」
「バカ野郎!スコップだよスコップ!道具小屋の前にかかってんだろ!それの、とんがってんのと、四角いの二本ずつ!」

「スコップっすね!分かりました!」はい、職人さんは今も昔も知ってて当然の様に言ってきます笑。

「これですね!」 「オウ!あー、あと”メーター”位の散木を二十本位!」
「???」サンギ?あ!なんか木っぽい奴だな!あれか!よーし!

「はい!これでいいっすか!」 「バカたれ!それは”ヌキ”じゃいボケ!しかも”メーター”以上あるじゃねーか!それがあった場所に、長さで揃えて分けてあるのがあったろ!それの”1m”くらいの!」

「す、すいません!」この時ですね。分からない事はちゃんと聞こうと学んだのは。”メーター”というのは職人の中では1mの事だそうです。

”散木”というのは元の長さでは無く、”きれっぱし”とかそういう意味みたいです。漢字で書けば誰でも分かりますね笑。聞くだけだとイメージが必要です。ダメですね笑。ちゃんと聞きましょう。

”4トンダンプ”の助手席に乗り込むと”現場”へと向かいます。
”ブロロロローッ”ガタンガタン揺れます。運転が荒いのか、ダンプが古いのか・・・笑 現場に到着する前に疲れます。

「ysk!弁当と水分は持って来てんのか!?」
「はい!あります!」 「それなら大丈夫だな!しっかり食って飲むもん飲まねーと死ぬぞ現場は!」 「はい!」・・・それをまじまじと身をもって味わうまで、カウントダウンが始まっていました・・・刻一刻と・・・。

約1時間程ダンプに揺られていると現場に到着しました。
”なんだここは・・・こんな山奥で何をするんだ・・・?ヤバいだろ・・汗

「とりあえず一服つけろや。”10時”まで休憩ねーからな笑。」
「そ、そうなんですね・・・はい。」
「yskはやり方教えるから”杭”を作ってくれ。指落とさねーようにな笑」
「え?指落とすんですか!?危ないじゃないですか!怖いっすよ汗・・」
「ハハハ!大丈夫大丈夫!笑!教えた通りやれば大丈夫!」

なんでしょうね笑 あの職人さんの根拠のない自信て笑。 今だに謎です。

「さてと、じゃysk、こっち来い。本来ならこの”丸ノコ”で作るんだが、
さっきのあの様子じゃ危ねーからな笑本当に指でも落とされたらたまったもんじゃねーからよ笑 まずはこの”手ノコ”で切ってみろ。」
「はい・・・」

「いいか、まずここをこうして・・・」
「はいはい・・・」「こんな感じで斜めに落とすだろ、これをできるだけ左右対称に切ると!分かったな?」 「はい!やってみます!」 「ヨシ!また分からなかったら聞けよ!散木それしか持って来てねーからよ笑!」

「はい!分かりました!」よーし、まずここからノコギリをいれて・・ん?
なんだ?やけに固いな・・あれ?あんなに簡単そうに切ってたのに・・・
何でだ?全然切れない汗 どうしよう汗・・・「すいませーん!」

「オーなんだ?もうギブアップか笑!」
「まったく切れなくて・・ノコギリが上手く入っていきません!」

「入っていかねー?ちょっと切ってみろ笑。」
「はい!こんな感じで・・」 ”バコッ!”ヘルメットの上から鉄拳制裁です。

「バカたれ!そんな”水平”に刃を引いて切れるか!もっと”斜め”に刃を入れて引くんだよ!」

「あー!なるほど!」 ”バコッ!”更に鉄拳制裁です。
「早くしねーと、”堀り”終わっちまうぞ!最速で四本切れよ!」
「よ、四本!!はい!分かりました!」”ギコギコギコギコ”「はぁはぁ・・」

「おーい!散木持ってこーい!」 え!?まだ二本しか切れていません。
「とりあえず切れたのだけ持ってこーい!ダッシュ!」

「分かりましたっ!」ダッダッダッダッ!「はい!これでお願いします!」
「二本!?これだけか!?」
「はい!すいません!」
「あーっ!もういい!ここに居て、”手元”やれ!」

「手元・・すか?」
「重機の”オペ”があれやれ、これやれ言うからその通りに動け!」
「・・・はい、分かりました。」 顔に出てましたキレているのが汗。

特にやる事もなく、スコップを持って立っていると”ビッビーッ!”オペさんのクラクションが響きます。
びくっとする僕に「オイ!今高さいくつだ!?突っ立ってねーで”スケール”出して測れるだろ!」

「す、すいません!」さっき渡されたコレで測るんだな。”スケール”とは、メジャー”の事です。「ここを測ればいいですか?」
「そうだ!いくつ?」まぐれで当たりました笑 

「えっと・・・○○㎝です!」 
「OK!あと○○下げだな。」今日初めての意思疎通です笑。

僅か数分で何もない場所に、数十メートルの溝をほとんど”感”だけで掘り進めます。流石職人さんです。

「ヨーシ!杭できたぞー!オイysk!杭取りに来て、大体二m感覚で配ってくれ!」 
「二m感覚ですね!分かりました!」片手に”一本”ずつ持って移動しようとした時です。”バコッ!”本日三度目の鉄拳制裁です。

「この馬鹿たれ!二本だけで行く奴いるか!こうやって”束”にして肩で担いで行くもんなんだよ!そうすれば一度に何本も持って行かれるだろ!」
「そうなんですね!分かりました!」軽くむち打ちになりながら担いでダッシュします。

まだ肩が”できて”いないので杭が動く度に骨に激痛が走ります。
いててててっ汗 肩のボコッとした骨を潰すまで大体一ヶ月はかかります。
肩が出来上がるまではこの激痛に耐えながら乗り切るしかないのです。

「ふう。何とか全部運んだぞ。しかし肩痛いな汗」一息つく間もなくです。
「ysk!配ったら”カケヤ”で杭打ち込むぞ!カケヤ持て!」
え!?もう?「は、はい!」
「まずは俺が手本見せるから杭抑えてろ!」「はい!」

”カケヤ”というのは【鉄、木、ゴム】等でできた大きいハンマーの事です。
”大ハンマー”とも呼びます。

「しっかり抑えてるんだぞ!手元狂ったら頭に直撃するからな笑」
「そらよっ!」”コーン”いきなりきます職人さんのタイミングで。
「もっとしっかり持て!マジでケガするぞ!」”コーン!コーン!」
「こんな感じだ!やってみろ!頭狙うなよ笑。」

「行きますよーっ!」”シュ”・・空振りです。
「あっぶねー!それはそれで自分の足やるぞ!もっと頭の真を捉えるんだよ!」 重たいし、長いし大変なんです簡単なようで汗。

「はい!もう一度行きます!せーの!」”コーン”いい音です。
「ヨーシその調子!それ!」”コーン!コーン!”コツを掴めばお手の物です。”コーン!コーン!” あれ?手の平に痛みです。”マメ”です汗。
それを堪えて”コーン!コーン!コーン!”なんとか十本程打ち終わると、
「おーい!一服にするべー!」やったー!至福の時間です。喉もカラカラ
肩や手の平もズタズタです。”ゴク!ゴク!ゴク!ゴク!”
「プハーッ!うめー!!」麦茶がこんなに美味しく感じた事はありません。

”シュボ”「フー!」タバコの煙が目に沁みます。「あー最高!」
心の底から幸せを感じて僅か三十分の休憩を満喫していました。


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