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天狗に、

▼先日、『演劇界が嫌われちゃった。』という記事を書いた。

▼ありがたいことにたくさんの方にお読みいただいていて、ご感想、叱咤激励、賛否両論のご意見を頂いている。

▼ぼくの記事をお読みいただき、サポートをしてくださったり、件の記事をおすすめしてくださった方もいてくださる。
たくさんのご声援や、コメントを書いてくださった方、記事にして下った方々もいらっしゃる。
本当に嬉しい限りだ。

今このコロナ禍で皆さん厳しい状況の中なのに、本当にありがとうございます。恐縮しております。皆さんのお言葉、ご厚意を胸に研鑽を続けます!

▼ぼくはそもそも、”調子の良い”人間だ。だから、褒められたりすると有頂天になり、「うひょー!」となる。
反対意見などを目にすると…ぼくも人間なので…「ちぇ。なんだい、なんだい、別にいいじゃねーか」という気持ちが出てこないわけではない。

▼そんな時…ぼくが養成所で教えを仰いだ水鳥鐵夫先生の言葉を思い出す。
「俳優は素直でなくてはいけない」
「天狗になるな」
というものだ。

▼一昔前のぼくは、自分の意見は”正しい”と思っていたので、他の人を”論破”することが正しい行動だ、と思っていた。
反対意見があったとしても、それをどうやって自分の意見に変えさせるか、ということばかり考えていた。

▼だから、当時の仲間は離れて行った。
ぼくの行動に信念があったわけでもなく、素直でもなく、天狗だったのだ。

▼そして(いつか書くかもしれないけれども、専門学校の講師をしていた時に)今の仲間たちに出会った。
公演を重ねていくうちに、新しい仲間も増え、ぼくは幸せなことに、色々な考え、背景を持つ仲間と共に作品作りが出来ている。

▼その出会った仲間たちはぼくよりも歳は若い。若いけれども…色々とぼくに教えてくれる。
一昔前だったら、「そんなのダメだろ」と言っていたかもしれないし、聞く耳さえもたなかったかもしれない。

しかし、水鳥先生が仰っていたように「素直」に聞くことで、ぼくの考えの幅が広がるのだ。
ぼくが考えもしなかったことを提示してくれたり、
ぼくが視野狭窄に陥った時に、打開策のヒントをくれたりする。

そして、けして「天狗にならない」ことで、お互いがお互いを認めあえるのではないか、と感じている。
年齢や経験ではなく、人間としてお互いを認めあえるということなのだと考えている。
昔の仲間が離れていって、今の仲間と出会い、続けてきて…
水鳥先生のお言葉が本当の意味でわかってきたように思う。

▼とはいえ…やっぱりぼくは”調子のよい”人間なので…
公演などで演出を褒められたら…「やっぱり?えへへ」となるし、
音響などの編集で良いのができたら…「おれ、天才」となってしまう。
すぐ天狗になるのだ。

▼だからこそ、今、このコロナ禍にあって、今一度、水鳥先生のお言葉をかみしめ、天狗にならず、素直に、色々な方のご意見を聞き、自らの視野を広げていきたい。
調子にのって、天狗になりそうな時、素直になれない時…
今一度、先生の仰ったお言葉をかみしめ、自戒したい。

▼そして…水鳥先生のお言葉をもっともっと深く理解するためにも、人間修行を続けていきます。

舞台演出家の武藤と申します。お気に召しましたら、サポートのほど、よろしくお願いいたします!