初めてスマホを手にしたのは、おそらく2015年12月。
それまでは、かたくなにガラケーを使っていた。
当時のトガリとして、買い換えてもよいが決して最新の機種ではなく、1番容量の少ないスマホを使う、という気持ちがあった。スマホなんぞに興味はない、というスタンスだったと思う。よって、容量が16GBのiPhone6sを買った。
あれから6年。OSは徐々に肥大化し、「その他」という謎の領域もリセットしたとて容量を圧迫してくる。残り5GBのデータ容量をなんとかやりくりし、音楽のダウンロードもWi-fi接続時に入れ替えて生き延びていた。途中から容量不足でOSアップデートすら出来なくなり、徐々に旧OSに非対応で使えないアプリが増えてきた。さすがにそろそろ潮時かもしれない。
そんなことを考えていた先日、試しに格安キャリアを使った新規購入について調べてみた。現在の機種に近い形のiPhoneSEは、MNPを使うと月額の支払いが機種購入の割賦料金を含めても2,000円は安くなる。えっ、今の私の料金プラン高すぎ・・・？ちなみにiPhone12miniでも大して価格に相違なかったのだが、指紋認証ができないのが残念である。
それにしてもこの状況、自分が第三者の立場だったら秒で「買い換えるべし」と言うだろうなと思えたので、その場で申し込みをした。
そして2日後の雪がちらついた日、佐川のお兄さんが朝から届けてくれた。
見れば見るほど形が似ている。ためしに6sのカバーにはめ込んでみたら、ピッタリだった。同じか。しかし裏面やシルバー感は6sのほうが格好いいと思う。
2台をそっと寄り添わせると、やがてクローンが出来上がった。画面の見た目はそのままでハードウェアだけハイスペックになったスマホを見て、不思議な気分になった。あとSEの指紋認証ボタンは物理ボタンじゃないと思う。ただへこんでいるだけで、押し戻しの感触を振動で実現しているだけなので、慣れるまで使いづらい。
新しいスマホに向かって「ヘイSiri」と声をかけると、いにしえの6sが「はい、なんでしょう」と返事をした。いにしえのSiriには男声を設定している。そいつが新しいほうを押しのけて向こう側から健気に返事してきて、変な感じがする。例えるなら、「とっくに別れたはずの元彼が妙に優しく接してくる違和感」のようなもの。こいつは以前から、声ばかり大きくて私の言うことをちっとも理解しようとしなかった。なのに今更、と同時に、不憫とも思った。ケースを脱がされて本来のスタイリッシュさを取り戻した6sは、ずいぶん格好良く見えた。Wi-fi接続で、たまに使ってみよう。
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