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スプリントでシビックテックを継続的に進める

この投稿はCivicTech & GovTech Advent Calendar 2023の記事として書いています。その他のいろいろな記事はこちらから => https://qiita.com/advent-calendar/2023/civictech

シビックテックで継続的に進捗を生み出して、テンポよくリリースしていくことってとても難しくないですか?
趣味の延長線上で活動しているため本業が忙しくなると時間が割けずに熱が冷めてしまう、最初のリリースで燃え尽き症候群のような気分になり触らなくなってしまう、コントリビューターが流動的なのでオンボーディングに時間を取られるものの小さいタスクしか消化してもらえず大きな変更がなかなかできなくなってしまう、などいろいろな理由があります。

わたしはイベントや活動のなかで簡単にNFTを発行できるサービス「MintRally」をシビックテックプロジェクトとして開発しています。このMintRallyは2022年夏にとあるハッカソンで生まれたプロダクトで、2023年春から機能拡張や改善をコントリビューターのみなさんとすこしづつ開発を続けて使われるシーンもすこーしづつ増えてきています。
Githubで確認できるコントリビューター数は19人ですが、この他にもデザイナーやコアユーザーの方々など30人弱の方に関わっていただきながら開発を進めています。

MintRallyでは「スプリント」と名付けた開発の仕組みを実践し、少しづつですが継続的に進捗を生み出せており、これはシビックテックの他のプロジェクトを進めるときにも有効だと思います。この仕組み自体ためし始めて1年足らずでまだ実験段階ですが、この記事で紹介したいと思います。

スプリントとは?

はじめにスプリントについて簡単に説明を書いておきます。
スプリントは3ヶ月ほどの期間とフォーカスする実装内容を決めてメンバーを募り、その期間同期非同期のコミュニケーションをとりながらプロダクトを改善していくプロジェクトの進め方です。ワード自体はアジャイル開発におけるスプリントから取っていますが、その内容は少し変わります。

ボランタリーな活動が主となるシビックテックでは、3ヶ月といった期間を決めることはコントリビューターにとってもプロジェクトオーナーにとっても良いことがあります。

コントリビューターは本業が落ち着いたタイミングや新しい技術、スキルを学ぶ機会として参加することが多く、長期間参加することを前提としていないことがあります。また、プロジェクトに一歩足を踏み込む時に、どれぐらいの期間、どれぐらいの量の活動をするのかわからないと参加しづらさがあります。期間とフォーカスポイントが決まっていることで、参加しやすくなると同時に、コミット量の見積もりがしやすくなる良さがあります。

プロジェクトオーナーにとってスプリントはプロジェクトを進める良いペースメーカーになります。シビックテックは長く続けることで徐々に成果が生まれてくるとおもっていますが、長く続けているとリリースの時間軸が徐々にゆっくりになっていくことがよく起きます。最初のリリースまでは一気に進んでも継続的な改善には至らないこともあります。ここにペースメーカーとしてのスプリントが入ることで、プロダクトが改善されるとともに関わっていただけるコントリビューターの方々も増えていきます。

スプリントを実践するにあたってのアクション

期間を区切ってフォーカスする内容を決め、コントリビューターを募って継続的に改善を進め、徐々にユーザーを増やしていくために実践している具体的なアクションをいくつか紹介します。

スプリントのコントリビューター募集要項をつくる

スプリントはコントリビューターになってくれそうな人に向けて、プロジェクトやスプリントの内容を文章化したものを用意することから始めます。頭の中にぼんやりあるやりたいことが、募集要項を書く中でどれぐらいの期間、何にフォーカスしてつくるのかがより具体化されていきます。
コントリビューターの方々にタスクをお願いするためにはGithubのIssue単位でタスクが切り出されている必要があります。募集要項を書くことで、それを一段ブレークダウンして実現するために必要なことを書き出すだけでIssueになるので良いプロジェクトの整理になります。

MintRallyでは募集要項に以下の内容を含めています。

  • プロジェクトの概要

  • スプリントの期間

  • スプリントでフォーカスすること

  • 想定される具体的な機能やタスク

  • スプリントに参加することで得られるもの

  • スプリントへの参加方法やプロジェクトメンバーへの連絡方法

  • プロジェクトメンバーの紹介

MintRallyの募集要項へのリンクを載せて起きます

もくもく会

スキマ時間で作業するだけでは他の用事に追われてなかなか作業時間を取れなかったりします。週1回や隔週など頻度を決めて、プロジェクトの作業する予定をつくることで少しづつでも進捗を生むことができます。定期的に時間を取ってそこに参加することでプロジェクトへの貢献を実感することができたり、続けるためのペースメーカーにもなります。
MintRallyでは参加できる人が参加する形でとくに強制力はありません。特定のスキルをもったメンバーの協力が必要なときは声をかけて時間を合わせて来てもらったりすることもあります。

もくもく会は作業の時間がメインですが普段非同期で作業を進めるなかでの小さな疑問や、気づいたことなどを気軽に話せる時間にもなり、メンバー同士のコミュニケーションロスを防止する一つの仕組みにもなります。

時間を決めてもくもく会を設定しても急用や都合の合わない時などが連続することもあり、そうすると会自体が行われなくなることもままあるため、今後より良い続けかたは模索していく必要がありそうです。

開発進捗や普段の会議をSNS、Live配信などで外部に開く

草の根的な活動であるシビックテックに積極的に関わる人はコントリビューターやコアユーザーになりますが、僕自身の経験では積極的に関わらないものの関心を寄せて定期的にウォッチしてくれる人は思っているよりも多く存在すると感じています。積極的に関わる人が10人程度だとしたらその5〜10倍の人たちがたまに様子を見たり、プロダクトを触って見たりしてくれていると思っても多くはないとおもいます。

そういった方は将来コントリビューターやコアユーザーになりうる人たちだと考えて、外部への発信は積極的に行うことでプロジェクトが動いていることをアピールすることは重要です。
MintRallyでは公式Xアカウントでのプロダクトアップデート情報とYoutube Liveでのオープンプロダクト開発会議を実施しています。と言っても、負担にならない程度に本番デプロイしたタイミングで新機能追加の投稿と、2ヶ月に1回スプリントの振り返りや次のスプリントに向けたブレストなどを1時間配信する程度です。

プロジェクトに関わる人だけでなく、周辺の見てくれている人に向けて発信する気持ちで話してみると、これまでとは違う角度から取り組みを言語化することができるという点でもおすすめです。

MintRallyのXアカウントはこちらhttps://twitter.com/mint_rally

過去2回のオープンプロダクト開発会議はこちら



以上スプリントを実践するために実践してよかったことを3つほど紹介しました。このほかにもドキュメントを作ったり、オンラインとオフラインの両方でオンボーディングしたり大切なことはたくさんありますが、一つ一つできることから取り入れていくと良いスプリントができるようになっていくと思います。

今年もシビックテック界隈で関わっていただいた方ありがとうございました、来年もどうぞよろしくお願いします。

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