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坂茂建築展 ~7/5 @大分県立美術館(OPAM)

開催中の「坂茂建築展 仮設住宅から美術館まで」について、(アート関係ない)職場向けに美術通信を勝手に書きました。大分来てください!と、まだ大声では言えなそうですし、ここに貼っておきます。いいよ基礎情報は知ってるよ~、という方は最後のオマケでもご覧ください。写真はOKだったけど、いちおう無料エリアのだけにしてみました。

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お疲れ様です。
かってに美術通信をはじめます。まずは現在OPAM(大分県立美術館。もうあいてますよ!)で開催中の「坂茂建築展」。
お察しの通り坂茂(ばんしげる)は建築家。世界で活躍し、OPAMの設計者でもあります。ラグビーに熱中するも選手はむりくさいと建築を志し、ニューヨークで建築を学びます。国際的に有名になったのはパリの現代美術館、ポンピドゥーセンターの分館の設計かな?たぶん。

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建築の展覧会って基本的にホンモノそのものをみることはむずかしいです。
でも今回は会場がホンモノという贅沢!そして、展示の中では由布市のツーリストインフォメーションセンターや、去年できた温泉施設クアパーク長湯@竹田市の模型なんかも展示されてて、これもちょっと足を延ばせば見に行ける贅沢!!(ちなみに同じく竹田にある「ラムネ温泉」の建築家、藤森昭信もとてもおもしろい建築家)

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(ふだんは閉じてる大窓オープン!)

坂さんのトレードマーク?は、「紙」を構造に使った建築。環境への配慮、コスト削減など様々な観点から、工業製品として加工がしやすい紙を建築素材にできるよう開発をしてきました。すごいのは、開発を始めたのが日本のバブル期真っただ中。SDGsなんて影もかたちもありません!
紙をどうやって建築にするのか?は、ぜひ見てみてください。

わたし的にいちばんのみどころは、災害支援セクション。
有名な建築家に頼んだら高いでしょうみたいなイメージありますよね?坂さんは常々、建築家は政治的、財力的な特権階級のために仕事をしていると感じていたそう。それでも建築がモニュメント化して街に還元されるということはあろうけども、もっと市井のひとのために働けないのだろうか?と。
ルワンダの難民問題から現場にはいるよう(アポなしでUNHCRを訪ねたらしい)になり、日本・世界各国の(自然・人災含む)災害地で、住まいやコミュニティのための建築をボランティアで設計しています。
東日本大震災のときに、紙の構造と布を使った被災地の間仕切りが話題になりました。
かたりつくせないのでじっくりみてほしいですけど、私のツボは、とある建築の土台がビールケースなことと、間仕切りは安全ピンでとめるだけという誰でもできる仕様になっていること、でした。

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なおこちらのセクションは美術館のアトリウムに展示されていて、入場料を払わなくても見られる、というのもすばらしいです。学生にぜひ見てほしい!(余裕のある人は入場してほしいけど!)

ひとことにしようとしたのにすごい長くなってしましました。
講演会でOPAMのひみつも聞いたので、知りたい方はお声がけください。
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オマケ①
講演会にもいきました。ディスタンス保ってます。印象に残ったことをふたつ。
1)今や「被災地に茂あり(一緒に聞いてた知り合いのことば)」な坂さんが最初ルワンダに入った時の話。ニュースなどでルワンダの人々の過酷な暮らしを知った坂さんは、国連難民高等弁務官事務所UNHCRに手紙を書きましたが、当然レスがない。しょうがないのでジュネーブの本部にアポなしで乗り込み、もっと暮らしを改善できると直訴し、コンサルタントになったとのことでした。もうひとつ、阪神大震災の時に紙の教会を作ったのも、ベトナム人のコミュニティのところに毎週通って、関係を深めていったとのこと。
2)会場からの質問で、アフターコロナどうなりますか?と。正直、そこまで考えられてない。急務なのは、現在天災が重なったら確実に避難所でクラスター感染が起きる。プライバシー保護に開発した間仕切りを飛沫感染防止にアップデートし、その備蓄を日本中の自治体と推進しているとのこと。
ちょうプラクティカル!でひれ伏します。(プラクティカルな記事

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オマケ②
ちょっと書いたけど、建築の展覧会ってホンモノそのものは在りづらいので、スケッチくらいホンモノが見たかったなあと。別の人、アーティストだけど、は、本物じゃなくてほっとした(保護的に)と言ってたので、いろいろ見方があるなと思いましたけども。仮設の建築は、ホンモノといえるかもしれないけども。

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