人と出会う、ということ(7)

話は前後するが、この「note」というコンテンツ、実は帯広選手がきっかけで知った。
怪我による欠場が続く中、復帰までの日々を不定期に綴った日記とでも言えばいいだろうか。

タイトルは「私、もう一度地獄突きができますか?」
有料コンテンツではあるが故、僅かながらも帯広選手の応援ができるならと思い、始まったときから購読を続けている。

さて、地獄突きといえば、昭和のプロレスファンならピンとくるだろう。「黒い呪術師」こと、アブドーラ・ザ・ブッチャーが得意とした技だ。
一瞬の隙を狙い、無防備な相手の喉元を、グッと力を入れて固めた指先で突き上げる、えげつない攻撃法。

実のところ、プロレスでは反則技に相当するが、一瞬のことなので、レフェリーも反則カウントが取れない。
他に例を挙げると、アントニオ猪木のナックルパート(弓を引くナックル)、天龍源一郎のグーパンチなど。

…話が少し逸れた。
帯広選手が持つ得意技のひとつ、それが地獄突きだ。

左膝前十字靭帯の再建手術、更に、地獄突きに於いて重要な部位となる、右手小指の靭帯縫合手術を受け、復帰に向けて、徐々にリハビリを進めていたところからスタートする。

そんな日々を、帯広選手は常に明るく綴っていた。

しかし、思わぬところで再び手術を受けざるを得ない状況になってしまったり、肉離れを起こして動けなくなってしまったりとアクシデントが続き、復帰のタイミングがどんどん先延ばしになっていく。

その間、自分と縁のあるレスラーたちが引退を発表し、新たな道へと進んでいく。
無論、引退したら、二度と同じリングの上で戦うことはできない。
…まぁ、中には何度も復帰→引退を繰り返す人もいるけど。

どう足掻いても戻ってこない機会を、ただリングの外で見守ることしかできなかった帯広選手の心境は、さぞ苦しかったことだろう。

文章は明るく書いてあるけれど、その裏には、

「今、まさにこの瞬間、リングに立てないなんて…!!」

という悔しさが滲みでていた。
そりゃそうだ。同じ境遇なら、誰だって平静でなんかいられないよ。

曲がりなりにも40を超え、数多くの経験をしたけれど、自分自身のことで、大事な機会を逃してしまうことの悔しさ、やるせなさ、そして自分自身への怒りは、いつ味わっても辛い。

でも、そんな経験をしたからこそ、次の何かに活かせることも決して少なくないのも事実(それに気付くのは大体何年も経ってからのことが多いけどね)。

そんな日々を乗り越え、「私、もう一度〜」でも、少しずつ動くようになっていく体の様子を楽しむかのように、「こういう動きが出来るようになった!」と、徐々にコンディションが戻る投稿が増え、11月上旬、遂に帯広選手の復帰が12月11日に決定したとの発表が!!

場所は新木場1stRING。プロレス興行のメッカと言ってもいい有名な場所だ………って俺、行ったことない(汗)!!

そう、プロレスが好きと言う割に、生観戦をした回数が圧倒的に少ないのだ。
いざ、足を運ぼうと思っても、変に気後れしてしまうというか。誰かが背中を押してくれないと行けない、そんな有り様だった。

しかし、帯広選手が復帰する!
…となれば、何をおいても行かなきゃ駄目だろ!!

実は復帰の情報を入手するのが少し遅れてしまい、チケットを申し込んだときには、リングサイド正面最前列は完売。
さくら代表とやり取りをさせていただき、何とか空いていた側面の最前列を確保(あの節はお手数をお掛けしました)。

あとは、その日を待つのみ!!

(つづく)

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