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誰にでもできるプロセス可視化の方法

プロセスとは何か

目的を達成するまでに辿る過程を、一般的にはプロセスと呼びます。では、具体的にプロセスとはどのようなものを指すのでしょうか。

プロセスには明確な定義があります。ISO9000から引用すると「プロセスとは、インプットをアウトプットに変換する活動である」と定められています。

皆さんの業務にこの定義を当てはめると、アウトプットは業務の成果物が該当します。インプットは成果物の要件や材料・情報等、成果物を完成するための要素が該当します。私は第1章で業務の目的は成果物を作成することと述べました。業務プロセスとは業務のインプットを用いて成果物を作成する活動と定義されるのです。これは、業務の成果物を把握すれば自動的にその作成活動(プロセス)を把握できるということでもあります。

事業活動は「目的を達成するために、成果物を作成すること」と言い換えられます。実際のところ私たちは大きな目的を達成するために少しずつ、小さな目的を達成するための活動(プロセス)を積み重ねています。業務可視化とはこの目的達成の活動(プロセス)を可視化することを指しています。

プロセス可視化の例

それでは、具体的なプロセス可視化の例をご紹介したいと思います。

業務プロセスは可視化の視点によって粗くも細かくもできてしまいます。例えば図のようなハンバーガーショップで注文し、商品を受け取ることも事業活動という単位でのプロセスです


お店で商品を購入する活動もプロセス

従って、図のようにプロセス可視化の視点を定義し、必要に応じた粒度での業務プロセス可視化を行います。一般的に業務改善ではレベル4~5まで、RPAのシナリオはレベル6、ローコード/ノーコードの開発はレベル7というように細分化します。


プロセス可視化階層モデル

一例として、ハンバーガーショップの店舗業務を例にとって業務可視化をしてみましょう。

店舗業務の目的はハンバーガーを販売して売り上げを上げることで、成果物はハンバーガー等の商品です。

商品を提供するプロセスは注文→調理→販売と定義され、それぞれ注文書→調理された商品→注文内容に基づいた商品セット等という成果物が存在します。このプロセスではお客様が注文した内容を満たした商品を提供することで対価を得て売り上げ計上しています。


LV3販売プロセスの例

業務に従事している人は上記の作業工程を一連の流れで行っているため気づきにくいのですが、一つ一つの作業工程には必ず成果物があり、プロセスの切れ目となっています。成果物に着目することで業務プロセスを切り出せることをご理解いただけたでしょうか。

プロセス可視化の方法

業務プロセスの可視化には一般的にフローチャートを使用します。
今回は最新のプロセス可視化手法についてご紹介します。

BPMN

BPMNは業務プロセスを可視化し表記するための国際標準(ISO19510)です。日本においても自治体の基幹システム導入において業務プロセス可視化の標準記法として採用され、BPMNによる導入前の現状業務把握や標準業務として定められた業務フローとのFit&Gap分析が求められています。

デジタル庁 地方公共団体の基幹情報システム標準仕様における業務フローについて より抜粋

BPMNの特徴は「業務とデジタルの中間に位置し、誰もが同じ意味を読み取れること」にあるとされています。最新のBPMN2.0では業務フローの作成だけではなく、作成した業務フローの内容をXML形式で出力し、他のシステムで読み込んでワークフローを自動実行できる機能が仕様で定義されています。(このようなワークフローを自動実行させるシステムのことをBPMSと呼びます。)

BPMNでは業務開始のタイミングや択一・平行作業の分岐、業務プロセスが手動か機械化されているかといった情報が分かりやすく絵で表示されます。

BPMNフロー作図例

世界ではすでに標準記法として使用されているBPMNですが、今後は日本においても定着化していくものとみなされています。

なお、BPMNを正しく表記するためにはプロセスを正しく切り出して可視化する必要があります。
BPMNや業務プロセス可視化・改善の手法を習得できる講座はこちらで紹介しています。(無料講座あり)

プロセスマイニング

プロセスマイニングとは、業務システムやRPAから出力されたイベントログから業務プロセスを可視化する手法です。

実際のシステム活動結果から業務プロセスを可視化するため、事実に基づいた業務の流れや所要時間、業務パターン等の正確な情報を可視化できることが特徴です。

プロセスマイニングの例

これまで、ワークフローの構築や業務の自動化・システム化において必要な業務量調査やボトルネック分析、業務パターン分析は詳細なヒアリングが必要なため非常に多くの工数が必要でした。プロセスマイニングを採用することでこの調査が短時間で可視化でき、多角的な分析が可能になったとされています。

プロセスマイニング自体は欧米で10年以上の歴史がある技術です。日本には近年で様々な製品が上陸しています。かつては複数システムをまたぐ業務処理の可視化に課題がありましたが、iPaaSとの連携により複数システムのログをリアルタイム処理が実現でき、業務状況を短時間で可視化することが可能になりました。

プロセスマイニングはシステムログから業務を可視化するため、システムを使用しない作業は可視化できません。そのためBPMNと組み合わせた業務可視化・分析が必要となります。

プロセスマイニングを活用した業務改善事例はこちらをご覧ください。


BPMNとプロセスマイニングの両方を搭載した、オールインワンBPMプラットフォーム「iGrafx Process360 Live」を紹介しています。
是非こちらもご覧ください。

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