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リターンズ6話 ネタバレ考察&感想その11~二人の真骨頂

35:48~ 自宅で春田(田中圭)が一人準備をしているシーン。牧とのかつての写真を見ているうちに、出会いからの回想が始まる。

 ここで2018連ドラ(以下、S1)の主題歌「Revival」が流れ、視聴者をもその回想に引き込むとても素晴らしい演出だ。
 回想と同時に牧(林遣都)が全速力で走り家路を急ぐ。そのメイキングが公式SNSに上がっていた。

助走をふくめると結構長い距離を全速力で走っているのが分かる。革靴でコートやマフラーを着ていて走りにくいだろうが、カメラテストなどで複数本走っているそうなので、林遣都の相当な意気込みが伝わるメイキングだ。
 春田の回想に戻る。別れたときを思い出したときの表情は下唇をそっと噛んでいて、苦い記憶を思い出す様子が見てとれる。
そこから春田は涙が出て、呼吸も深くなる。
二人が結ばれたところでは声を出して泣いている。
写真を見ながらも、顔の表情だけでどの場面を回想しているか想起させている。
田中圭は受けの芝居が光ると特にベテラン俳優からの評価が高いが、一人芝居でも表現力の高さが実感できた。

37:38~ 牧が自宅に戻るシーン。春田は引き続き泣いている。牧は春田の背中をしばらく見つめる。ここから牧の絶妙な間の取り方が冴えていく。
「泣いてたんですか?」と聞く牧に「泣いてねーわ」と強がる春田。
「春田さん、あれじゃないですか?もしかしてマリッジブルー牧が笑って春田に指摘する。牧が寝ていたときに聞いてしまった春田の「マリッジブルー」。
牧も大人になり我慢せずに、しかも表情を作って聞けるようになった。
牧にとっては、目の前の春田の涙が回想によるものだとは知らないので、どんな感情によるのかを聞きたいのは当然だろう。
ところが春田は「そうみたいだったんだけど治った」とキッパリ答える。
 この答えの後の牧の間の取り方がとても素晴らしい。
春田にマリッジブルーはなくなったと言われホッとした反面、春田は自分と結婚式をして本当にいいのかとまだ残る不安が相半ばしていたのではないか。
涙ぐみながら春田に核心を聞く。
「結婚式なんかしたら…もう簡単には戻れなくなりますけど、本当に…俺と結婚していいんですか?」
春田の受けの芝居も光り、同じく絶妙な間を取りながら話す。
「…うん。だって戻りたくねーもん。…これからも牧と一緒に歩いていきたい」
その春田の明確な返答に少し笑みがこぼれ、両手を差し出す。春田も手を差し出して抱きしめ合う。

再び泣き出す春田を肩から抱きしめて牧は「俺もです」とシンプルに返す。
この抱きしめ合い方は劇場版おっさんずラブの1:35:11~くらいからの形に似ていると思った。牧がシンプルに「俺も春田さんじゃなきゃ嫌だ」と返すのも。
偶然なのかオマージュなのかは分からない。
ただ年月を経ても変わらない二人の愛情表現と、少し大人になり落ち着いて強固になった信頼関係がよく分かるシーンだった。
それも田中圭と林遣都が春田と牧を忘れず、より表現力や信頼関係に磨きをかけてきたからこそだろう。

→12に続く。


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