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経験を重ねた今だから。女らしさと生き方を纏うシャネルN°5

女も40代が見えてくると、
この先の生き方を考え始めたりもする。
若さと情熱で突っ走った20代。
少し頭を使って社会を生き抜き始めた30代。
見えてきた40代、自分はどう生きようか。
今までの経験を生かして、どう生きようか。
自分らしく人生を謳歌するために何をしようか。

そんな女性を香りで表現しようとすると、
おそらくシンプルな香りにはならない。
培ってきた経験を表現しようとすると、
いくつもの香りが絡み合ったものになるはず。
それにまだ女らしさを忘れたくない。
いい女として記憶に残る人でありたい。
そんな感情を見事にまとめて表現した香りがシャネルNO.5だと思う。

この香水を開発した時、
ココ・シャネルは30代半ばだった。
彼女のオーダーは「ココ・シャネルのパーソナリティーを表現した、何か抽象的でユニークな香り」。
非常に曖昧なオーダーだと思う。
彼女も自分のパーソナリティー、
自分らしさというものを探していたのかもしれない。
まだ見たことがない自分を探していたのかもしれない。
それを香りという手段で表現してみて欲しかったのかもしれない。

そして開発されたものが、シャネルNo.5。
開発当時から100年近く経った今も変わらない香り。
80種類以上の香料をかけ合わせた贅沢で複雑な香り。
華やかな花の香りも、濃厚で甘い香りも持っている。
持続性があり、記憶にも残る香り。
当時は現実の花の香りを再現することが流行っていたため、フレッシュでシンプルな香りが主流だった。
複雑な香りは革新的だった。
でもその複雑さが彼女の個性だったのだろう。
それは当然のことである。
人の個性は一言では言い表せない、
いくつもの要素が集まったものだから。

「シャネルが顧客に提供するのはモノではなく精神である」。
これはシャネルのブランドコンセプト。
つまりこの香水をつけると言うことは、
シャネルの精神を纏うということ。
シャネルの精神は「伝統的な文化や技術を守りながら革新していく」こと。
わたしたちが生きる上でのヒントもここに隠れているような気がした。

もう1段階、濃密な人生を送るために。
経験を積んだ今だからこそ、纏う価値のある香り。
複雑さを生かした香りがあなたらしい生き方を彩ってくれるだろう。


(※ #EmotionalWritingMethod の講義内に、「女性誌に載せるシャネルNo.5に関する記事」を想定して書いた文章です。)