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Fishbowl

学生時代にガラス専攻の体験で作った作品が、地震による被害で割れてしまったことがある。金魚鉢ををイメージした楕円形の皿だった。

出来上がった抽象画の印象が偶然その時割れた皿に似ていたので、タイトルをFishbowl(金魚鉢)とすることにした。

Fishbowl 2022.7.8

絵自体は抽象画を描き始めた1週間ほど前に描いたもの。

金魚鉢には縁があって、先日話した数年前に挫折したボカロPとしての活動の時にもモチーフにしたものだった。金魚は自分が泳いでいる水槽のサイズに合わせて体を成長させる。小さい金魚鉢に入れた金魚は、いつまでも小さいままでいることしかできない。そういう話だ。

ちなみに大学の時の友人が魚のビジュアルが極端に苦手だったため、私はそれ以来自分に記号以上の形で魚というモチーフを描かないという制限を自分にかけていた。これも一種の金魚鉢だったのだろうと思う。他人への優しさや配慮は時に言い訳になりうる。

全ての人間に優しい対応などできないが、普段一緒にいる人に心地いい空間を提供したいという思いはある。だから私は一生、付き合う人々に合わせて性格を変えていくだろうし、ヤバい人間に当たる度に自分がわからなくなるくらいに心の中を踏み荒らされるのだろう。

私にできることはせいぜい丈夫な雑草を心に生やしておくことくらいだと思う。強く生きるとはそういうことだ。

■ CDジャケットにしてみた

文庫本の装丁デザインに飽きてきたため、CDジャケットにしてみた。用途を限定せずに描いた抽象画だったので非常に扱いやすかった。

水っぽいアコースティックギター×エレクトロニカ風のアンビエントなインストアルバムっぽい。作りたいなそういうの。

■ 文庫本の装丁にしてみた

帯あり
帯なし

実はこちらの画像のほうが先に作ってあったので、記念に貼っておく。今までの装丁で一番好きかも。今回からB級文庫に「B!」というロゴマークをつけてみた。とても可愛い。

著者名は寸劇探偵の先生の本名。実際に小西坂くんとこういう事件を解決していてもいいなあと思った。

私がグラフィック画面を作るとどうにも理性的な印象が出てしまう。理性的な画面が好きなので仕方がないのだが。そのバランスが好きだという人もいれば、つまらないと思う人もいるだろう。もう少しデザイナーとしての枠を壊していきたい気もする。

とはいえ7分で描いた絵でここまで遊び倒せること自体が私の才能の本体なのだろう。今回の絵は遊び甲斐があったので結果的に愛着が湧き、とても気に入っている。

■ おわりに

今日は調べ物をしていたら「ファム・ファタール」という言葉と出会った。男にとっての「運命の女」、もしくは「男を破滅させる魔性の女」を意味するらしい。

私がフィクションで描くヒロインは、だいたいこのタイプだ。聖騎士シリーズのルカリスなどが典型的。以前の記事では「アルカイックスマイル美女」という言い方をしていた。あれは私の解釈で翻訳すると「俺だけに向けられた意味深な微笑みをたたえる女」なのだ。そのことに今日になって気づいた。

私の大好きな映画『Leon』に出てくる少女マチルダにも近いものを感じる。

今後、好きな女性キャラクターに出会ったらそのような要素がないか考察してみるのも面白いかもしれない。原作本なしで撮られた邦画に多そうなタイプだと思うのだが。そのような映画があればこっそりおすすめしてほしい。

ここまで読んでくれてありがとう。
ではまた次回!

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