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相棒、またの名を10年もののiMacへの手紙

10年使ったiMacを新しくすることにした。
壊れてしまったわけではない。むしろ、日々自分の思うままものすごく便利に日々使っている。君なしの暮らしは考えられない相棒のような存在だ。

それではなぜ新しいものに変えようかと思ったかと言うと、10年の歳月はパソコンという機械にとってあまりに長い年月であり、ある日突然「もうダメです」と言うかのように止まってしまうとすべての作業が文字通り終わってしまうことをある日ふと恐れたからだ。
それに、10年ぶりにパソコンを買い換えるとなると、スペック等も大きく変わっていると思う。10年は人間にとっても短いようで長い。自分がやりたいことや使いたい道具が増えて、作業環境がいわゆる「サクサク」「ぬるぬる」とは正直異なる状況なのも自覚していた。

そこで初めて買ってから10年と言う節目をきっかけに、清水の舞台から派手に飛び降りることにしたのである。

購入したのはMac Studio。
高校生の頃からMacを使っているので、必然的にと言うよりもなんとなくずっとマックを買っている。数えてみたら、かれこれ4代目だ。

https://www.apple.com/jp/shop/go/mac_studio?&mnid=sAErj4tnm-dm_mtid_18707vxu38484_pcrid_675122132390_pgrid_136855209738_pntwk_g_pchan__pexid__&cid=aos-jp-kwgo-Mac--slid---product-&mtid=18707vxu38484&aosid=p238

これは笑い話なのだが、普段のカードの使い方とは大きくかけ離れる額が動いてしまったため、セキュリティーの都合で取引が止まってしまった。電話口にて、これは不正利用では無いですよという旨をカード会社とアップルそれぞれに連絡する羽目になったのだが、アップルのお電話を担当してくださった方に「恐れ入りますが、お客様お仕事は動画関係でしょうかそれとも音楽関係でしょうか? 」と質問をされた。

なんだろう?と思いながら恐る恐る「あ、私はどちらかと言うと音楽を作る方が多いかもしれませんね」と答えると、その方はお電話の向こう側で「ありがとうございます。いえ、普段私はiPhoneのサポートを対応することがほとんどなので、Mac Studioをご購入される方にお目にかかるのははじめてなのです。一体どんな方がこのMacを購入されたのか、少し気になって質問させていただきました」と優しいお声で仰られた。

自分で自分の在り方を言葉にするのは、夢が叶ったみたいで、なんだか少しむず痒くて嬉しい。
私の仕事も趣味も、ものすごくかいつまんで言うと音楽制作である。一切表に出る事はなくひたすら自宅にて制作を重ねるタイプの活動をしているので、スペックはやや高く、できれば画面が大きい据え置き型のパソコンを求めていた(MacBook Proを購入してディスプレイを繋げれば良いのではと言うのももっともだが、昨今MacBook Proは大変に高級品であり、正直に申し上げるとハードルが高い。憧れです)

そこで10年前に購入したのがiMacだった。ディスプレイ一体型の美しいフォルムに本当に惚れ惚れしながらお迎えしたのを今でも覚えている。ちなみに当時の私にとっても、清水ステージ猛烈ダイブ、もしくは巨大宝石と言って差し支えないような値段だった。それでも、クラムシェルモードで使っていたMacBook Proが限界を迎え「私はこの先きっと大きな画面を求めながら自宅にずっといる暮らしをおそらくは続けるのだろう」と確信したため購入に至ったのだった。

そのiMacと暮らした10年は、もしも神様がいたとして、その神様に「あなたの人生はこの10年が1番美しく楽しく素敵な時でした。今後こんなに華やかな日々はもうありません」とハッキリ言われたとしても、もしかしたらそうかもしれませんねと自分で納得できるような楽しい日々だった。そりゃ当然、現実的には、これからも楽しい日々が続いて欲しい。でも、そう言われても仕方ないな、差し支えないなと思ったことがあるほどには、輝かしい眩しい愛おしい日々だった。いろんな出会いがあり、いろんな夢が叶って、五感や感情をたくさん揺さぶられた10年間だった。

そんな日々のそばにいつもいてくれたから、私はこのiMacに対して感謝の気持ちしかないのである。何かを作る時、最初に問いかけるのはiMacだった。私は何を作れば良いだろう、私はどんなものを素敵だと思うんだろう。そうして答えを探るとき、私はいつも自由だった。電気がある限り時間を忘れて側に居させてくれた(一回だけ嵐の日に停電で困らせてしまったね)。

世界はどんなふうに広くて、今と言う時代はどんな音に、視点に、言葉に、満ちているのだろうか。そんな問いかけにいつだって答えてくれた。私の狭い部屋と社会を繋げてくれたと言う意味では、仕事場との出会いの媒介になってくれた。友人となってくれた沢山の人達とのコミニュケーションを支えてくれた。三度もの引っ越しであちこちに連れまわした。このiMacとタクシーに乗ったこともある。数々の旅行の写真の整理をした。かわいいコートが欲しいときの選択肢を探すとき大きな画面は便利だった。重要な書類や長い手紙を手で書こうとするときの下書きもさせてくれた。何より、音楽を沢山作った。

もう一度言うが、思い返せば返すほど、感謝しかないのだ。

ちなみに、お別れはしないことにした。最初はゴミに出すのも忍びなくて下取りに出そうとしたが、古すぎて値段がつかないと言う。ならばリサイクルでと言うことにしようと思ったが、少し調べたところディスプレイとしての活用が可能だった。24インチの画面に長年親しんだこともあり、とても私にとっては見やすい。机の配置などもおおよそiMacを中心に構成されていたため、その画面がそのまま使えるのは大変ありがたいことだ。なので、新しいMac studioと長年の友達であるiMacを繋げ、これからさらにいろんな世界を見て表現を提案していく助けになってもらおうと思う。

それにしてもだ。
この10年で、当時と今とで大体同じ位のスペック(上位すぎないがデフォルト状態よりもちょっといい位)で選んだつもりだったが、搭載されているあれこれの進歩が凄まじい。日進月歩、あらゆる表現や中を支えてくださっている。たくさんの技術者さんたちに感謝の気持ちでいっぱいである。

もちろんパソコン本体だけではなく、使っているプラグインも最新のOSに対応するように更新がなされていることにも改めて驚く。途方もない数の人たちが途方もない時間をかけて支えてくれているのだと思う。私はその関係者すべての方々とお会いする事はおそらくできないだろう。しみじみと感謝しつつ、データ移行の間の時間、短いとは言えないが、長いも言い難い余暇のようなこの時間を、ブログの執筆に当てた。

10年後も、音のそばにいられますように。
そんな願いを込めながら、1つ、また1つとアクティベーションを進めている。

本当にありがとう。
これからもよろしくね。

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