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言葉も、手も、背中も


どうして……と思わず口からこぼれるような出来事は、いつも突然やってくる。

そして、なぜか、周りで立て続く気がする。


そんな時に、あなたに届くくらい、私が手を伸ばせる人であれたらいいのにと、いつも思う。


思うのだけれど、どうしていいか、いつも分からなくなってしまう。
私は立ち尽くして、固まって、口を閉ざして、何もできない。


言いかけた言葉も飲み込んで、伸ばしかけた手を見つめては引っこめる。

あなたを余計に傷つけるのではと、怖くて。

……そうじゃなくて、自分が傷つくのが怖くて。


私は何者でもなくて、家族でもなくて。
役に立てるとか、支えになれるとか、励ませるとか、そういうわけではなくて。

でも、何もしないのは、何だか自分が許せなくて。
せめて何か、と思うのは、私のエゴなのだけど。


こんな時に、そっと寄り添える人であれたら、どんなにいいだろう。

私も、たくさんの優しい人達に、手も言葉も背中も貸してもらって、ここまで来たというのに。


そばにいて欲しいのか、そっとしておいて欲しいのか、せめてそれを感じ取れたら。

逆に気を遣わせてしまったりしないような、自然な振る舞いができたら。そっと缶コーヒーを差し入れられるくらいの、自然な。


こんな時に、今まで人付き合いを避けまくってきてしまった弊害を感じる。
距離を取ることしか知らないから、上手くできない。



大丈夫とただ繰り返すしかなかったり
横にいてティッシュ箱を持ってるしかできなかったり、それすらできず遠くから窺うしかできなかったり。


力なんて、もとより無くて。
手と目の届く範囲なんて、自分の周りだけで精一杯で、それすらもほとんどできてなくて。
きっと私じゃなくて もっと適任な人があなたの近くにいてくれるはずだと、臆病なままでしかなくて。


遠くから 祈ることしか、できないけれど。
エゴでしかないのだけれど。
何もできなくて、ごめんなさい。
言葉も上手く書けない。


次なんて絶対無い方が良くて、次なんて絶対考えたく無いのだけど。
それでも、もし万が一があった時、
あなたが欲しいと思ったのなら、その時に、
言葉でも 手でも 背中でも、そっと添えられるようになりたい。

いや、ごめん、どうだろう、手は伸ばせないかもしれない。
言葉も難しいかもしれない。
それでも。


せめて、どうかあなたが、
この夜をゆっくり眠れていますように。

眠れないようなら、すこしでも過ごしやすくいられますように。

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眠れない夜に

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