見出し画像

みなさんは翻訳者と聞いてどんなイメージがあるでしょうか? NHK朝ドラ『花子とアン』のように、海外の小説の日本語訳をする人でしょうか? 戸田奈津子さんのように、洋画の日本語字幕を制作する人でしょうか?

この記事では、翻訳のおしごとについて、書いていきます。

翻訳の分野

翻訳には、出版(小説、雑誌)・映像(映画、テレビ、動画)・実務(ビジネス文書)の3分野があります。一般的に翻訳者というと出版・映像の翻訳を手掛けているイメージが強いですが、実際には一番案件が多いのは実務翻訳です。出版・映像はなりたい人が多く競争率が高い。

実務翻訳には、投資に関わる金融、コンピューターやインターネットに関わるIT、機械のマニュアルなどの技術、コロナ対策や健康に関わる医療、発明に関わる特許、契約書などの法務、さらにはゲームなど、幅広い分野があります。

翻訳の仕事に必要なこと

翻訳の仕事をするのに、英語力が必要なのは間違いありません。しかし、英語ができるから誰でもなれるわけではありません。豊かな日本語の文章力、背景知識の調査力も備わっていなければなりません。
私は翻訳学校フェローアカデミーで学んだり、会員制サイト「アメリア」で学習しました。
翻訳の力を上達させるには、ただひたすら訳す訓練をするだけでなく、英語の原文と日本語の訳文の読み比べをして、どう訳されているかを自分で考えて調べるのが、いい訓練になります。

「翻訳者」と「翻訳ライター」

翻訳者の多くは、自分の得意分野を持っています。私は、ニュースやインタビューのような、「読ませるコンテンツ」を得意とします。これまで、経済・金融ニュース、テック起業家のインタビューなどを経験しました。そこでは原文を語順どおりに訳すとは限らず、編集方針に応じて要約したり、語順を変えたり、原文にない追加情報を加えたりすることもあります。私は翻訳者というより翻訳ライターではないかと思っています。

私もそうですが、翻訳者にはライターと兼任している人もいます。いずれも高い日本語の表現力を必要としますので、理解できます。

翻訳の仕事を始めるには

翻訳の仕事を始めるには、翻訳会社のトライアルを受けて合格し、案件を受けるのが一般的です。
しかし、トライアルに合格するにはハードルが高いのです。私もなかなか翻訳会社のトライアルに受からない時期がありました。
トライアルに落ち続けて時間が過ぎていけば、モチベーションも下がってしまいます。
私はそんな時期には、リンクトインで訳したい題材を見つけ、日本語で記事化して公開していました。それが今の活動につながっています。
今では、「翻訳力を十分インプットしてトライアルに受かってから仕事始めよう」ではいつまで経っても仕事を始められないのではないか、と思います。トライアルに受からなくても、自分で訳して発信して始めてしまうのもいいと思います。

翻訳者は「やりたい分野」と同時に「やらない分野」を決めるのも大事です。その分野に興味を持って学び続けられるかを考えること。一つの分野を極めるだけでも大変ですから。

翻訳の面白さ

私が考える翻訳の面白さとは。
海外の膨大な英語の情報の海から、日本に知らされる価値のある情報を見つけ、日本の読者に伝えること。海外には、日本にないようなモノ・サービス・知恵があります。それを知って伝えていくのが楽しいです。

AIによる翻訳の機械化

AIで翻訳の機械化が進めば、翻訳の仕事はなくなる、という見方もあります。
確かに、翻訳の分野によっては機械化の進んだ分野もありますが、進んでいない分野も多いです。特にニュースや出版など読ませるコンテンツの翻訳は機械では難しいとされています。また近い言語間の機械翻訳は比較的進みやすく、遠い言語間の機械翻訳は困難です。
私は、機械翻訳の精度が高まり、手掛けられる翻訳の量が増えると、それに伴って翻訳市場は成長するのではないか、と予測しています。
今は人間の翻訳者が機械翻訳とどう付き合うかを考える時代。機械は、与えられた原稿を訳すことはできますが、何をどう訳すかの主体的判断はできません。人間と機械で役割分担されるようになるでしょう。

機械翻訳の難しさについては、以下の本にも語られています。

翻訳の仕事のこれから

翻訳の仕事をするには、どんな翻訳者になりたいかをイメージする。自己分析をして、自分の強み弱みを知ること。自分の興味のあることを追求すること。また市場を分析し、どんな分野が伸びて、どんな分野が停滞しているのか、自分の勝てる領域はどこかを見極める。ここはどんな職業にも通じる大切なことですね。

私は、翻訳の仕事をもっと参入しやすく、稼げるようにできないか、と考えています。

翻訳者の得意分野・スキルと案件のマッチングはとても難しい。さらにコロナ禍で企業の業績悪化に伴い、企業から依頼される案件数が見通せない状況にあります。

かたや世界にはまだまだ日本にとって必要でありながら知らされていない外国語の重要な情報が、翻訳会社も知らないところに眠っています。

そんななか私は、どんな情報がどの層にとってニーズがあるのか自ら探し、自分は何をどう訳すか、主体的に考えて発信する翻訳者の時代が来るのではないか、と考えています。日本の翻訳者でこんなことを考えている人はどれだけいるか分かりませんが。

よろしければサポートお願いします。サポートは100円、500円、1000円、任意の金額の中から選ぶことができます。いただいたサポートは活動費に使わせていただきます。 サポートはnoteにユーザー登録していない方でも可能です。