自主トレの情報に惑わされるな
プロスポーツ現場でトレーナーをしたり、鍼灸整骨院でアドバイザーをしたり、若手トレーナー向けに交流会を主宰したりしている、竹田祐平です。
本日の現場からは【自主トレの情報に惑わされるな】と題してお話します。
プロ野球界では2月から始まるキャンプに向けて、各選手が思い思いの形で自主トレをしています。
メディアを通してその様子を見ることができ、近年では選手自身がSNSでアップしているので、より身近に感じることができます。
そこで、今回は元プロ野球チームトレーナーという立場から、プロ野球選手の自主トレについて思うところを書いていきます。
目を奪われるメニューが多い
SNSを通して、選手が実際に行なっているメニューなどを見る事ができるのは、プロ野球の人気や周知にも繋がり、とても良い事だと思っています。
私自身も、以前所属していたチームの選手がアップする情報を
〝いちファン〟として楽しく見ています。
〝いちファン〟としてという部分が重要で、
〝専門家〟という立場から見ると、ん?と思う投稿をたまに目にすることがあります。
それには、プロ野球特有の長いシーズンなどが影響していると考えています。
プロ野球選手は2月から11月までの約10ヶ月間、チームとして活動することになります。
チームにはそれぞれの専門家(ATやS&C)がいるので、概ねシーズン中はチームの専門家のもと進めていくことが大半です。
*チームの専門家を否定している訳ではありません
*個人で外部トレーナーと契約している選手も数名いる
逆に言えば、12月と1月だけは、自分の考えていることや、新しい取り組みにチャレンジできる期間であるとも言えます。
そんな期間に行うのが、皆さんもSNSで目にしている自主トレです。
当然ながら、キャンプやシーズンに向けてパワーアップすることがその主たる目的ですが、長いシーズンある種の締め付け(半強制)でやってきた選手にとっては、息抜きや自分のやってみたい事をするお試し期間でもあります。
そんなこともあり、自主トレで行うメニューは野球とはかけ離れていたり、何が目的なの?とつっこみたくなるものも見られます。
もちろん、直接的に野球スキルの向上に繋がらなくても、間接的に良い影響をもたらす事もあるでしょう。
当然、直的的に意味のある事だけが正義とは思っていませんが、
中学生や高校生が選手のSNSを通してそのようなメニューや取り組みを見て、
「○○選手がやっているから、良いメニューに違いない」や「このメニューをやれば、△△選手みたいになれる」と思い込んで取り組む人がいるかも知れません。
そんな時は、
上記に書いたような遊びの部分があることも考慮し、なぜこのメニューをやっているんだろう?と、自分なりに考えてみる事が大切だと思います。
ただ真似るだけになっていないか
もっとも大切な部分はこの部分です。
〝真似る〟こと自体は悪いことではないし、何かのきっかけになることもあるはず。
しかし、安易に真似るだけでは、良くなるどころか、悪くなってしまう可能性すらあります。
特に、パフォーマンスピラミッドで言うところの、スキル向上の為に行うメニューに関しては、注意が必要だと思っています。
なぜなら、スキルの下にはその土台となる、ムーブメントやパフォーマンスの要素があるからです。
プロ野球選手は、そこに至るまでの基礎となるその部分をしっかりと積んできている選手が多くいます。
しかし、中学生や高校生では、まだその基礎となる部分が不十分な人もいると思います。
そんな人が、プロ野球選手のやり方だけを真似て実施すると、過負荷になり過ぎたり、思うように実施できない(体を扱えない)ことで、身体に悪影響を与えかねません。
トレーニングにおいて、技術の向上と体力の向上をごちゃ混ぜにして行う人をたまに見かけますが、私はそれには反対で、体力の向上は体力の向上であって、体力を向上したからと言って、技術向上には直結しないと考えています。
しかしながら、技術を向上させる為に、競技動作に近づけたトレーニングをすれば良いかというと、そんな訳ではなく、技術は技術、体力は体力で向上させる必要があると考えています。
その中で、技術を向上していく為には、体力が必要になってくるはずです。
(パフォーマンスピラミッドのように)
つまり、体力の向上が技術の向上に直結する訳ではないけど、技術を向上させる為には体力の向上も必要だよね。という考え方です。
少し脱線しましたが、話を戻します。
まずは、基礎となる部分の要素が自分には十分備わっているのか?
その上で、メニューの目的や効果を考え、今の自分に必要か不必要かを見極める必要があります。
情報を簡単に仕入れられるようになった一方で、本当の意味でそれが自分に必要なことかを取捨選択しなければいけません。
年齢や立場、身体的特徴、課題、目標など様々な事柄を考慮し、今やるべきことを選択していきましょう。
もちろんそれは簡単なことではなく、だからこそ我々のような専門家の価値があるのでしょう。
発信する選手はまだしも、専門家であるトレーナーもそういった部分を考慮しながら、発信する必要があるんだろうな。と改めて感じたところです。
というわけで、
【自主トレの情報に惑わされるな】と題して、お話させて頂きました。
本日も、最後まで読んで頂きありがとうございました。
気づきのキッカケになった方は、いいねやフォロー、シェアなどを宜しくお願いします。
それでは、この後も心身ともに充実した時間をお過ごしください。
以上、現場の竹田祐平からでした。
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