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トレーニングの強度設定にはテコとモーメントも考慮しよう

本日の現場からは、
【トレーニングの強度設定にはテコとモーメントも考慮しよう】と題してお話します。

トレーニング指導者は理論的にも理解していて、トレーニング経験者では感覚的にわかっていることだと思いますが、トレーニングプログラムの作成経験がない方や乏しい方には、最初の重量設定のヒントになるかと思いますので、改めて文字にしてみました。

いざトレーニングプログラムを作成するとなると、課題の抽出、目的、メニューの選択や順序など様々な事を考慮する必要があります。

その中でも、トータルの強度設定については頭を悩ます事柄の一つだと思います。

強度設定と一言でいっても、重量、回数、セット数、レストなど様々な変数があります。

今回はその中でも、重量に関わる部分についてお話しします。

まず大切なポイントとしては、適切なフォームを維持しながら実施できる事です。

その中で漸進的負荷をかけていく為には、重量を含めた変数をいじりながら進めていく必要があります。

重量設定については、実施しながら探っていくというのも、現場ではよくあるパターンかと思います。
またVBTでは、その日のコンディション(挙上スピード)に応じて重量を決めたりします。
(VBT:スピードを指標にして重量を設定するトレーニング)

しかしながら、最初のセッションでもおおよその重量設定は必要になるはず。

動員される筋のタイプなどは考慮すると思いますが、その他にも考慮しなければいけない事があります。

その中でも今回は〝テコ〟と〝モーメント〟についてお話しします。

関節のテコ


人間の関節運動には3つのテコがあります。

第一のテコ
並び順:力点-支点-作用点
特徴:安定性
動:肘伸展(上腕三頭筋)
例:ハサミ、シーソー

第二のテコ
並び順:支点-作用点-力点
特徴:力の発揮
動作:つま先立ち(下腿三頭筋)
例:栓抜き、穴あけパンチ

第三のテコ
並び順:支点-力点-作用点
特徴:速さ
動作:肘屈曲(上腕二頭筋)
例:ピンセット  

このテコを理解していれば、
スクワット120kg
カーフレイズ20kg

みたいな、筋の大きさだけに囚われた重量設定にはならないはずです。

当然目的にもよりますが、第二のテコであるカーフレイズは大きな力を発揮できるので、もっと重い重量設定が可能になります。


関節モーメント


モーメントとは、物体が回転しようとする力(回転力)のことです。
(内部)関節モーメントとは、筋の張力などにより関節を回転させる力のことです。

簡単に言うと、関節運動を行う為に必要な力の大きさです。

モーメントの大きさは下記の式で求める事ができます。
M(モーメント)= N(力) x  M(距離)

容易に想像できると思いますが、
支点となる部分から作用点(負荷のかかる部位)が離れれば離れるほどモーメントは大きくなります。

それでは〝リストカール〟と〝アームカール〟で考えてみましょう。

リストカール
支点:手関節
作用点:手
筋:前腕屈筋群

アームカール
支点:肘関節
作用点:手
筋:上腕二頭筋

この2者の場合、支点から作用点までの距離が長いアームカールの方が関節モーメントが大きくなります。

筋の断面積では概ね上腕二頭筋の方が大きく、前腕屈筋群の方が小さいと思いますが、その割にはリストカールでも大きな力が発揮できる(重い重量を扱える)のは想像できると思います。


関節のテコや関節モーメントも頭に入れてトレーニングプログラムを作成するとより良いと思います。


というわけで、
【トレーニングの強度設定にはテコとモーメントも考慮しよう】と題して、お話させて頂きました。
本日も、最後まで読んで頂きありがとうございました。
気づきのキッカケになった方は、いいねやフォロー、シェアなどを宜しくお願いします。


それでは、この後も心身ともに充実した時間をお過ごしください。

以上、現場の竹田祐平からでした。

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