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寂しい時はいつも古典小説を読んだ

僕は読書が好きだ。

バスを待っている時、
お風呂に入っている時、
寝る前も本を読んでいる。

どんなに寂しい時でも、小説をひらけば安心できた。

どんなに不安でも、小説の中にはもっと大変な状況の人がいた。

小説は自分にとっては、なくてはならない大切な友達みたいなものだ。

古典が友達だった大学時代

大学の頃は特に読書に没頭していた。

特に好きだったのが、古典小説。
成績もあまり良くなく、コミュニケーションも得意ではなかった自分が、唯一すがれたのが古典小説だった。

難解な古典を読み続ければ、今よりももっと楽に生きれるかも。そんなことを本気で思いながら、
何かから逃げるように、何かを探すように、ひたすら古典を読んだ。

カラマーゾフの兄弟を読んだ感動

ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟を初めて読んだ時のことを覚えている。

600ページが上中下で三冊。

こんなの自分は読めるのだろうか。
挫折してしまうのでは。。

そんな不安を抱えながら読み始めた。

最初は全く話が入ってこない。
登場人物のセリフがとにかく長いし、ロシアの歴史やキリスト教などわからんことばかり出てくる。

でも、それでもなんとか読み続けると、ふと没頭している自分に気がつく。

続きが気になる。面白すぎる。

中巻以降は続きが気になってあっという間に読めた。

古典の主人公がヒーローだった

そこからは夢中になって色んな古典を読んだ。

不思議なのは、日本の八王子にいたはずなのに、古典を読んでいるときは
自分もその場所で同じ気持ちになっていた事だった。

レミゼラブルを読んでる時は、自分も悲しすぎて涙が止まらなかった。

ロビンソンクルーソーを読んでる時は、無人島で一緒に工夫をしながら生活をしていた。

吉川英治の宮本武蔵を読んでいる時は、自分も剣の道を進んでいた。

不思議だった。

あんなに苦しいと思っていた現実が、古典を読んでいる時は忘れられたのだ。

登場人物は、確かにあの瞬間自分の心の中にいた。

大好きな古典

特に印象に残った古典小説を紹介する。

「ユゴーのレミゼラブル」

貧苦の末たったの一片のパンを盗んだだけで、19年牢獄に入れられたジャン・バルジャン。

「ジャン」と身寄りのない少女「コゼット」の旅は涙なしでは読めない。
「弱者の側に絶対的に立つ」というユゴーの哲学を感じる。
100回は泣いた。

「デュマのモンテ・クリスト伯」
友人達に騙され、無実の罪で20年監獄に入れられた主人公、エドモン・ダンテスの復讐劇。

圧巻の7巻に渡る伏線の山。
その伏線が全て回収され、かつての友人達に徹底的に復讐をするシナリオは、想像を絶する面白さ。
最後の一文「待て、しかして希望せよ」という言葉にダンテスの生涯が凝縮されている。

「トルストイの戦争と平和」
ナポレオン率いるフランス軍とロシア軍の戦争を背景に生きる、青年達の葛藤や成長を描く作品。
サマセット・モームは「あらゆる小説の中で最も偉大な小説」と評した。

600ページ×6巻分ある長編小説。登場人物は何と559人。
内容も難しく2回挫折して、3回目でようやく読めた。

「たった一人のナポレオンが戦争を起こしたのではなく、時代が戦争を起こしたのだ」
というトルストイの洞察は圧巻。

他にも吉川英治の「宮本武蔵」や、
ミッチェルの「風と共に去りぬ」
パールバックの「大地」など、文字通り本にのめり込むように読んだ事を思い出す。

登場人物と友達になれるのが古典の楽しさ

なぜ古典にこんなにもハマったのだろうか。

一つは、読む労力が関係していると思った。

古典小説はとにかく長い
なんのために描いてるのか分からない状況描写や心理描写。
歴史的な背景の説明など、本筋からズレる展開もある。

でもその分、本を読むという体験が魂に刻まれる。

そして読んでいると、主人公の気持ちが手に取るようにわかる瞬間が出てくる。

一緒に苦しみ、一緒に喜び、一緒に感動する。

そんな経験ができるから、古典にハマったのだ。

苦しい時は古典を読む

大学時代の葛藤や不安、劣等感みたいなのがゴチャゴチャになっていたからこそ、あそこまでの没頭があったと思う

そしてこれから先も、苦しくて暗闇にいると思った時は、また古典を読もう。

古典を読めば、「ああ自分だけじゃないんだ。もう一回頑張ろう。」
そんな気持ちにさしてくれるから。


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