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【短歌】注目を集めた7選その2

各所で注目頂けた短歌を7選、紹介します。



あこがれの雪になれずに耳もとで泣いてるみぞれの温かさすき

コトバディアへの投稿作品、テーマ「あこがれ」の一首。Xスペースにおいて、丸山永司さんの「短歌と歌の日」に取り上げて頂きました。

みぞれが雪になれないのは、雪より温かいからという思いです。


手に取らず廻る帆立を眺めれば母が隣で笑う気がする

ラジオ石巻「たんたか短歌」への投稿作品。テーマ「帆」の一首。ラジオでは放送されませんでしたが、秀歌佳作として会報に載せていただきました。

貝類が好きだった母。回転寿司に行くと、母のために帆立や赤貝などを食べてあげようって気分になります。


予報では月が孤独を食べるので今夜は君に会いに行かない

コトバディア「第8回毎月短歌・2月の自選」において、淀美祐子さん選【天幕賞】を頂きました。月が孤独を食べるから、会いに行かなくても平気だと強がっている、そんな一首です。

以下、講評です。

【天幕賞】
予報では月が孤独を食べるので今夜は君に会いに行かない/ゆひ


 この頑なさが愛おしい!歌全体が反語で、孤独だから君に会いたいなんて、絶対に言わないんだからねというツンデレ的な。「月が孤独を食べる」なんて予報もきっと嘘なんだけど、一生懸命考えられたかわいい嘘のような気がする。「今夜は」ということは、そうではない夜がたくさんあることも行間に読める。会いたいけれど、会いに行かない日を、なにかしら理由をつけて作っているのかもしれない。もう、こっちから会いに行きたくなってしまう。


運だけで生きていきたい土砂降りの雨の日傘を忘れたときも

うたの日への投稿。テーマ「運」において、首席を頂きました。

がんばることは大事なことなんですが、がんばる=我慢する、苦しむ、ということとは違うと思っています。なので苦しんでるなあと思ったら、なるべくやめます。

あとは運にまかせて、たとえ土砂降りに遭っても、きっとそれが運にとって、いいことなんだろうと思っておこうというスタンスでいます。自力をなくせばなくすほど、運だけで生きられるようになる、そんな気がします。


一年中緑のままで揺れている葉っぱのような恋に手を振る

コトバディア編集の歌集「短歌の冬2024」の「短歌の冬一首部門」において、toron*さん選の佳作・アンソロジー選に選んで頂きました。

緑葉樹って、ずっと緑だなあと思って、それが一年中ずっと枯れない恋のようだと感じます。永遠の片思いのような。それは幸せなような、せつないような。そんな一首です。


地球儀を回して遊ぶ猫として転生してる神様もいる

町田市民文学館で4月20日より開催される、「57577展2nd」に、歌人の鈴木晴香さん選の30首に選んで頂きました。テーマ「まわる」。モビールで短歌が展示されるようです。どんなふうな展示になるのか、見に行きたいと思っています!

猫って神様ぽいですが、神様の転生かもしれません。

一回目の展示会の様子↓


上を向くことに疲れた足もとが桃色たちに取り囲まれて

コトバディア「第9回毎月短歌・テーマ詠「桜・花」」部門への投稿です。一ノ瀬美郷さん選で、四席【俯いてもいいことあるで賞】を頂きました。桜って下向きに咲くので、見上げることになります。でも、見上げてばかりも疲れたりするんですよね、いろんな日があるから。そうやって下を向いても、足もとには散った桜があります。上を向くだけが救いじゃなくて、どこにでも寄り添っているものってあると思います。

以下、一ノ瀬さんの講評です。

【俯いてもいいことあるで賞】
上を向くことに疲れた足もとが桃色たちに取り囲まれて/ゆひ

上を向いて歩こう、とは言うものの、そうできないときもある。この歌は上を向くことに疲れた主体が地面を見下ろしたとき、自分の足もとが桜の花びらだろう桃色に取り囲まれていた、という発見の歌だと読んだ。上ばかり見なくても足もとの花は美しく、惜しげもなく散ってゆく。二句切れか句切れなしかで迷う構成だが、どちらであってもしみじみとした余韻の漂う歌だと思った。


以上、7首でした。
また揃いましたら、報告させて頂きます!


その1 


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