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【作文】かみさまはいる。 #バカじゃないの自分

むかし働いていた職場は、車で現場に向かい作業をする仕事だったのですが。

何日か前に雪が降って、その日も雪が降ってきそうだなという天気。一応チェーンを車に積んでお客さんのところへ向かったんです。ナビに従って走っていると、どんどんと人気ひとけのない道に入っていきました。

残った雪と降り出したで積もるくらいになって、轍もない道。

ノーマルタイヤで行ける?

って、自問自答すると、

いけるところまで行ってみて、ダメだったら引き返そう。って答えが出ました。

もうおわかりだと思いますが、行ってみたが最後、途中で深い根雪にハマります。バックしようとしても空転し、積んだチェーンを装着する隙間もない。それはもう、焦りまくります。空回りするエンジン音だけが夜空に響く。

バカじゃないの、自分。

と思ってみてもあとの祭り。

とりあえず先方に「少し遅れるかもしれません」とだけ連絡し、どうするかと考える。会社に連絡するのが先かと思いもするが、ギリギリまで粘ってみようと思い直す。だって怒られたくないし。って、やっぱりバカじゃないの自分。

とは言え、事態は好転するわけもなく。必死でタイヤ周りを雪かきしても、エンジン音が鳴り響くばかり。

思わずぼくは空にむかって、両手を握り、つぶやきました。

「かみさま……」

目を閉じて涙が出そうになったとき、後ろから光が見えました。

車だ!

ぼくは必死で手を降って、呼び止めます。すると車は止まって、男性が運転席から降りてきました。

「すみません! 動かなくなってしまって!」

というぼくの言葉に男性は、さも当たり前かのように言いました。

「けん引ロープ取ってくるから待ってて」

男性は車に乗り込み、そしてすぐに戻ってきました。こちらの車はけん引され、無事にその道を抜けることができました。

ぼくは、ありがとうございましたと何度も言いましたが、男性はあっさりと手を軽く上げただけで帰っていきました。

かみさまだ。あの人はかみさまだ。

と、ぼくは本気で思い、今もなお、その出来事だけで「かみさまはいる」と確信して生きています。

自分でする判断って、ときどきなんでそうしちゃったんだろうって後悔したりしますが、それを宇宙的な視野からみたら、こうやって何かを伝えたり感じたりさせるために、必然的起こっているような気もします。

かみさまはいるとわかってからは、自分でできるのは自分の守備範囲だけなので、そこだけベストを尽くせばいいんだなと思うようになりました。

あとは、やってくれるので、うまいこと。


ミンチョンさんの #バカじゃないの自分  のお題にのってみました。

冷静になればなんともなかったかもしれませんが、冷静じゃないことでわかることもあるのですよね。

ほんとにあのときはね、暗闇の中に後光がさして、かみさまが現れたと、あとにも先にもない想いになったのですよ。





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