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3月の全短歌⑦春へのパレード

61
大人への日付変更線を飛ぶ機体は何かを切り離した


62
ただ息をしているだけで働いた細胞たちに有給あげたい


63
五分咲きを顔で表す妻がいて台所まで春が来ている


64
夕方のチャイムが鳴ったそのあとでフジファブリックめく鳴き出す鳥たち


65
分度器で測ってみたらさっきより傾いているほのかな恋だ


66
青空が広がらない日、目を閉じてまぶたの裏にパレードを呼ぶ


67
上を向くことに疲れた足もとが桃色たちに取り囲まれて


68
雨音がスタッカートかスラーかを聴き分けている窓際の席


69
運だけで生きていきたい土砂降りの雨の日傘を忘れたときも


70
これはもうわたしの歌というくらい歌った歌ごと愛されてみたい




⑥負けていく旅  ⑧これから君は


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