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電力工学専攻に贈る電験対策

参考にして欲しい人

本記事では大学・大学院で強電分野(特に電力工学系)を専攻した人に向けた記事となります。強電系で学んだ方が電験を取得しようとしたときに、どれくらい・どの分野を・どうやって、対策すればよいかを簡単にまとめます。

前提とする基礎知識

電気系の基礎について

  • 高校物理の電気分野は全て理解できるレベルであること

  • 半導体について大学の基礎的な科目を履修して得単していること

  • 電磁気学について大学の基礎的な科目を履修して得単していること

回路理論について

  • 直流回路であれば余裕で解けること

  • 三相交流の概念を理解していること

電気機器について

  • 回転機について基礎的な科目を履修して得単していること

  • 変圧器について基礎的な科目を履修して得単していること

  • パワーエレクトロニクスの基礎知識があること(最短ルート)

電力系統について

  • 電力系統に関する知識があること

  • 故障計算の経験があること

基礎知識としてはこんなものでしょうか。パワエレを学んでいると特に受験のハードルが低くなるので、これが当てはまる人は喜んでいいです。パワエレをやっていて電力知識がある人は間違いなく電験向きで、世の中のあらゆる分野の中で最も電験に受かりやすい人です。

3種に受かるために

電験は4科目で構成されますが、法規で合格点を取れるように対策しましょう。理論の対策は不要です。
電力・機械については、知識問題と典型問題の解き方で知らないものがあれば対策すれば十分でしょう。
と思ったのですが、CBT導入&年2回実施に拡大により難易度が急激に落ちました。三種の取得難易度は非常に低くなり、過去問周回で十分合格が見えるレベルです。電力工学を専攻した諸兄であれば1ヶ月もあれば十分すぎるでしょう。

2種に受かるために

2種は1次試験4科目(3種と同じ科目・5択ではなく多肢選択式)であり、ここで合格点を取ると2次試験(筆記2科目)に進めます。
1次試験の難易度は3種と大差無く、多肢選択式になったことで細かい点を拾いやすくなったためむしろ突破難易度は下がっています。(よく世間では理論が難しいなどと言われますが、大学で電磁気学や電気数学を触れていれば1種まで含め理論は無対策で大丈夫です)
問題となるのは2次試験であり、論説の幅が広く、計算が記述式になるため難易度がかなり上がります。2種が難しいというのはこの点です。

2次試験対策

重要なのは2科目での点数配分です。
電力管理(6問中4問選択120点)、機械制御(4問中2問選択60点)という構成であり、合格点は合計で6割(108点)かつ各科目で受験者の平均点以上という変わったボーダーです。
戦略を立てる場合、まず機械制御の戦略が重要になります。電力管理は毎年かなり題材が変わりますが、機械制御は同期機・誘導機・変圧器から2問、パワエレ1問、制御工学1問という構成がほぼ変わりません。そのため、分野を絞ってエイヤで対策が完了します。得意な分野を1科目と、その他分野で半分くらい取れるようにすると45点程度が取れます。すると、電力管理科目で半分と少しで合計6割に届きますが、この点数はほぼ問題なく電力管理の受験者平均を超えているはずです。従って、戦略としては次の通り。

  • 機械制御で得意分野1つとそこそこ出来る分野を2つくらい作る

  • 電力管理で6問中2問完答を目指して過去問を集中して解く

今度は電力管理の対策ですが、通常は計算と論説が3問ずつ出題されます。論説は知らない分野が出た瞬間厳しいので、分かりそうなら部分点を狙うくらいの気持ちでいましょう。計算問題は故障計算や電力計算が最も出題されるので、そのあたりをテキストや過去問で対策するのが重要です。

2次試験の解答の仕方

部分点欲しさになるべく沢山論説を書こうとする人がいますが、間違いです。電験の論説はキーワード式と言われており、標準解答のキーワードが盛り込まれていることが大切ですが、間違ったことを書くとどんどん減点されてい行きます。ですから、確実に正しいと思う答えを的確に書けるようにしましょう。あと、過去の手応えから言うと結構点数をくれる試験だと思うので、筋の通った文章で大外れでないことを書けばいけます。

1種に受かるために

基本戦略は2種と同じでよいです。1次試験は少し電力で細かい問い方をしたり重箱の隅をつつき始めたかな、という程度です。
大きな違いは二次試験の難易度が3倍くらいになること(論説はかなり細かいことを問いますし、計算も難しい)なので、二次試験を突破できるような過去問対策と練習問題周回が効果的です。ここはもう己の力を伸ばしていく以外に対策がないところになります。

おすすめの対策

パワエレを解きましょう。パワエレは難しい難しいと言われますが、それは専門で学んでない人から見たらそう見えるという話であって、電験のパワエレは強電を専攻した人からすれば大学の小テストや例題程度のレベルです。この問題を解いて30点貰えるのはボーナスステージでしょう。過去問をある程度解いて、大丈夫そうであればもう他の分野の対策に注力していきましょう。
また、制御工学も大学で履修したことある人にとってはそこまで難解ではないです。機械制御はこの2科目に絞って、電力管理でいかに点数を拾うかだけ考えれば受かるでしょう。

以上、同じような分野を専攻した方に参考にして頂ければ幸いです。


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