Yuh Okano

ファイバーアーティスト。花や虫の羽など自然の生物や季節の形から発想された有機的なファブ…

Yuh Okano

ファイバーアーティスト。花や虫の羽など自然の生物や季節の形から発想された有機的なファブリックデザイン+アートを作ります。http://textilesyuh.com/ アメリカ・チェスタータウン在住 趣味・海や川で泳ぐこと。山や谷の風景を見に行くこと。

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最近の記事

辰の年

今年も去年に習って、日本でお正月を迎えました。 私たち日本人にとって、大晦日からお正月が一年の中でとても大きな意味をもつ行事ですね。 過ぎる一年を振り返り、想いを馳せて感謝します。 そして来る年に希望と平和と家族の健康を込めて迎えます。さあ今年はどんな年になるのでしょうか。 日本の冬は寒いですが、海や山から届く風や澄んだ青空が心地よく、美しいので私は大好きです。そんな晴れたお正月前の午後、私は自分の通っていた小学校の前を通り、坂を降りて、昔、犬を飼っていたときに散歩道だった

    • 薔薇は薔薇であり、薔薇であり、薔薇ではない。

      皆さんはワークショップなど行かれますか? 私は今年1月に金文印のワークショップに行ったことを1、2月のニューズレターにお知らせしましたね。金文時代B.C.770年~B.C.222年にさかのぼる漢字の進化を教えていただきました。 その時に作った金文印は1、2月の手描きスカーフにきちんと押しました。元々金文印の形はデザイン性が高いので、スカーフの裾に押印されるととても存在感があります。貴重な体験でした。ご紹介していただいた、仕覆を専門になさる三浦さんに感謝いたします。 今夏は地

      • 鳥よけスパイク、ゴールデンスパイク

        皆さん、いかがお過ごしですか? チェスタータウンの夏も去年に比べて、暑いような気がします。庭の植物も害虫被害にあうし、雑草が容赦なく伸びてしまい追いかけっこです。でも大丈夫、経験値も上がり、対処法も増えてきましたから、がんばります! こんな記事を読みました。 私たちを出し抜く鳥たち:巣作りのための鳥よけスパイク。 鋭利な金属でできた短冊状のピンは、鳥が建物に近づかないようにするために使われるが、巣を作るためにそれを盗む鳥もいる。鳥が鳥よけスパイクで巣を作っているのだ。 都

        • 100年先の未来のために。

          5月に日本に里帰りしました。めまぐるしく変わり続ける東京。古いものから新しいものへの変換。私の過ごした四半世紀の風景がますます新しい風景となってゆきます。 アメリカに帰る飛行機に乗るために、5月最後の日、高速バスで羽田空港に向かいました。が首都高速道路の橋の入れ替え工事のため、羽田1号線は交通止めになっていました。東京と神奈川をつないで半世紀、首都高速の高速大師橋は多摩川を渡る大動脈、1日8万台の交通量の多い場所は2週間完全に封鎖される大工事が始まりました。 さあ大変。交通

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        • 悼む色は赤
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        記事

          Something that never ended (終わらなかった何か)

          今年の夏も恒例でUSオープン観戦です。試合のブレイク中コマーシャルが入るのですが、期間中2週間は同じコマーシャルを何回も観ることになります。その中で一つだけ、ハッと心に響いて思わずテレビ画面に釘付けになるコマーシャルがあります。凪が静かに波立ち、規則的なうねりがだんだん広がっていくような音楽です。女性の美しい背中が官能的に現れ、一瞬こちらを振り向きそうな横顔、そして金色に光る水の表面と香水のボトルが現れて、 J’Adore。Diorの香水のコマーシャルでした。一瞬映る美しい女

          Something that never ended (終わらなかった何か)

          漲る夏 リスより響け 蝉の声

          チェスタータウンの真夏はアマゾンの湿地帯(あくまでもイメージ)と変わらないぐらい蒸し暑い。 そこにサンフランシスコから友人が遊びにきました。 家に着いて車を出ると友人が『何?この音?』私は『は?音?』 と耳を澄ます。友人『音!この音!』 私『虫?え、蝉の音のこと?』 そう、チェスタータウンは虫の音が凄い。鳥の音も凄い。ニューヨークに住んでいた時は消防車やパトカーのサイレン、車のクラクションの音が凄かった。チェスタータウンに住み始めた時はこの音の変化に驚きました。それにしても

          漲る夏 リスより響け 蝉の声

          希望を託す・七夕

          7月7日は七夕の日、天の川の両岸に離れ離れになっている彦星と織姫が一年に一度会える日として日本で特別な日とされています。その日は竹に五色の短冊を飾ります。5色(ごしき)とは中国の五行説で万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるという自然哲学の思想で、それぞれに「青(緑)、赤、黄、白、黒」の5色が当てはめられています。元々は古代中国からの行事で7月7日は牽牛( アルタイル星)と織姫(ヴェガ星)が会合する夜です。一年に一度のその夜に婦人たちが5色の糸を7本の針の穴に通し、捧

          希望を託す・七夕

          『今ある自分』と『在りたい自分』の関係

          トムさま(トムクルーズ)は変わらない、を立証したのがトップガンマーヴェリック。もうすぐ還暦を迎えるトムさま。なぜトムさまと呼ぶかというと、トムクルーズはどんな役をしてもトムクルーズ。気高いオーラを放つ俳優。歳を取らない。そして優れた能力と体力を維持し、磨き続けるのは本人の努力の成せる技、ということでトムさまです。 ”夢を追い続けることができる幸せもの”、と笑顔の大俳優に御光が射しているように見えました。 さて、この映画のオリジナル(1986年)でトムさまと同じぐらい光ったア

          『今ある自分』と『在りたい自分』の関係

          空耳と沈黙は金

          最近、韓国語を勉強しています。英語もそうでしたが、 異なる文化に直接触れられる道具が語学です。 語学を習得して魅力の深層に迫る、と意気込む衝動が始まりです。 日本語と韓国語は文法が似ていて、共通する語源も多いので簡単! と言われます。しかし実際は日本語に比べて、韓国語は300種類以上の発音パターンがあります。また丸と棒の複雑に組み合わさったハングル文字を理解しないといけません。ハングル文字を覚えないとスタート地点にも 立てない、、かなり難易度の高い語学だと今、痛感しています

          空耳と沈黙は金

          春霞のむこうには

          春霞・2年ぶりの日本。 アメリカに戻る日のこと、母が居間に来て、突然『タクシーで羽田空港まで行きなさい。』と言いだしました。飛行機は夕方の便なので、大きな荷物は空港にすでに送ったし、電車の時間もチェック済み、お昼でもゆっくり食べて、、と思ったら。。母はどうやら人混みの電車でコロナに感染でもしたら、飛行機に乗れなくなってしまうと思ったらしい。確かに出国前にコロナテストを受けるので、前日も緊張してストレス熱が出てしまいました。言いだしたら止まらない母に押されて、電話の受話器をと

          春霞のむこうには

          バスルームブレイク(ナマステ・チチパス)

          今年はオリンピックも開催され、US オープンも盛り上がり、嬉しい祭りの夏が終わりました。庭には彼岸花が咲き、秋の季節の始まりです。 今年のUSオープンはコロナワクチン接種者に対して観戦が可能になりました。例年の観客数よりも少なかったようですが、私の観戦日、1回戦は全てのフィールドコート15 コートにも行列ができていて、観戦する側にも気合が入る、戻ってきた笑顔、どこでも意気揚々と応援していました。 さて、今日の話題はバスルームブレイクです。US オープンである選手の休憩問題が

          バスルームブレイク(ナマステ・チチパス)

          宿る記憶・椿の庭

          写真家、上田義彦はかつて暮らした自分の街で、ある日、今まであった近所の木造民家と大きな庭木が伐採され更地になっていたのを見て、自分の家の庭にいつも春になると咲く乙女椿、その花もいつか、見られなくなる日が来るという喪失感に襲われたのでした。そしてその時の想いを文章に書き始め20年の時を経て、初めての映画作品『椿の庭』が生まれました。 海の見える高台、古い木造の家で暮らす祖母と孫娘、そしてそこに訪れる人々を描きます。祖母が世話をする庭には色とりどりの草花が咲き、季節のうつろいと

          宿る記憶・椿の庭

          蛍の光

          陽が沈む頃に庭に出てみたら、あたり一面に蛍の光。幻想的に降り注ぐ光に、息を飲みました。もっと暗くなったらもっと美しい光景が見れるのかと思って、また夜に庭にでてみたけれど、光は全くありませんでした。なぜだろう、、。 チェスタータウンの小さな街の庭のある家に移り住んで一年半、荒れた庭も少しづつ整ってきました。虫、鳥、小動物や木々や草花の皆々からみると私が新参者、彼らの生態系に私が勝手に入ってきたようなもので、彼らとの共存は如何なることか、季節毎に変わる自然界の仕組みを理解し始め

          光る大地から

          デラウエア州デルマーにある鈴木さんの有機農場に行ってまいりました。 アメリカに住んでいて、普通の日本料理が食べたくなりますが、「あ~、この材料ないから作るのは無理、あ~、春菊や小松菜、日本のキュウリやししとう、ナス、あ~、食べたい。夏は茗荷や山椒の葉っぱを豆腐に乗せて食べたいなあ、でも無い。」と料理を挫折することがあります。アメリカのオーガニックな野菜は美味しいのですが、日本で味わえる日本の野菜が無性に懐かしくなるときがあるのです。 今回はそんな懐かしい日本の野菜を異国の土

          光る大地から

          独りの夜長とキムチスカーフ

          後味がいい。 韓国ドラマのシシューポスを見終わって、ラストシーンで私の心に花吹雪。もう少し余韻を味わっていたいからまだ終わらないでほしいと思ったら、終わらず、次のシーン。花吹雪も風に舞い散っていく、それで終わる準備ができました。ラストシーンは余韻が重要で、すぐ去ってしまわれると、一人残されてしまって困ってしまう。最後まで手を振ってくれて、私を見届けてくれているような(うどん屋の清水さんのような)別れがありがたい。*清水さん=姿が見えなくなるまで送ってくれる実在人物。 シシュー

          独りの夜長とキムチスカーフ

          いちごのショートケーキにタイムスリップ

          私はアメリカ在住のスカーフ作家です。 オンラインショップで贈り物用スカーフの注文がありました。 どんな人がどんな人に送るのかを想像しながら、ラッピングしました。青のシルクスカーフを透明の袋に入れて、ギフトカードに40歳のお誕生日おめでとう。白い箱に茶色のリボンをかけてセージ色のスティッカーを貼りました。気に入ってくれると嬉しいです。 ふとラッピングをしてる時に、子供の頃によく行ったケーキ屋さんを思い出しました。 丘を駆け下りた商店街にはニューモントというケーキ屋さんがあり

          いちごのショートケーキにタイムスリップ