カメラは残酷だとつぶやいた彼
「カメラって残酷だと思うんですよ」
カメラと音楽が趣味だという彼(前述の宿の店員さん)は、突然そんなことを言い始めた。
カメラが残酷?
正直、ピンと来ない。
彼が言うには、例えば何人かのグループで一緒に遊びに行ったりすると、自分でも知らない間に好きな子の写真ばかりを撮ってしまうそうなのだ。
好きな子が顔をくしゃっとさせて笑ったりすると、思わずシャッターを押してしまう…
写真の枚数は嘘をつかないのだという。
それを聞いて「あぁ、たしかにそうかもしれない。」と心の中でうなずいた。
少しカメラブームなこの時代において、気軽にレトロな写真が撮れる”写ルンです”や本格的な一眼レフカメラなど、自分に合った形でカメラを始める人が増えている。
カメラのスペックの高さや撮影のテクニックはあるにしろ、”何を撮るか”は本当に人それぞれだなぁと思う。
「これが撮りたい!」と思われる瞬間にカメラのシャッターは押されるのであって、写真というものはその人の心を”写す”モノなのかもしれない。
そんなことを思いながら、自分のカメラフォルダを見返すとちょっぴり照れ臭い気持ちになった。
そんな彼が「近くに最近オープンした本屋があるんです、是非明日立ち寄ってみてください!」と教えてくれた。
その本屋は”aru”という名前のお店。
宿からほんの少しだけ歩くと、木漏れ日の入るこじんまりとした本屋にたどり着く。
*aruを営むあかしゆかさんが綴る文章は、とても素敵なので是非読んでみてほしい。
海の近くという立地、店内の雰囲気、本の並べられ方、店主さんの本に対する想い…
素敵な本屋さんに出会えた。
私とヒラメくんが店主さんと話していると、タイミングよく宿の店員さんも合流した。
4人でたわいもない話をしていると写真の話になり、
「彼氏が撮ってくれる自分の写真はいつも写りが悪い」と本屋の店主さんが言って「なんでですかね(笑)」とみんなで笑った。
初対面の人たちとローカルなコミュニケーションができるこの感覚が、なんだかすごく心地よくて、
一年前の出来事を今でもこんなにも愛おしく語ることができる。
いつか私もこんな地で、二拠点生活なんてできちゃったらいいのになぁ。
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