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「オトナブルー」はなぜリリースから3年経ってバズったのか? TikTokでバズってる曲を現役東大生マーケターが考察してみた

株式会社WAND(ウォンド)代表の黒﨑です。
普段は国内の大手音楽レーベル様や音楽事務所様に向けて、年間100件以上音楽のSNS売れを支援するUGCマーケティングサービスを提供しています。

今回、現在WANDで大活躍中のマーケターであり、現役東大インターン生のYが、TikTokでバズっている曲を分析・考察しました。

「現役東大生がTikTokでバズってる曲を分析してみた」シリーズの一発目として、今回は新しい学校のリーダーズさんの「オトナブルー」を取り上げます。

TikTokで4億回再生を誇る大バズリ中の話題の楽曲ということもあり、音楽的な分析は多くの方がされていますので、今回はTikTokのデータなどをベースに、「SNS上でどのようにしてヒットに繋がったのか」という観点で分析します。

楽曲のマーケティング・プロモーションにおいて、SNSの攻略は必須の時代。レコード会社のデジタルマーケティングや宣伝担当の方々、インディーズレーベルや音楽事務所の方々など、様々な音楽関係者の方の参考になれば幸いです。

また、今後も定期的にバズ曲分析を行っていく予定ですので、宜しければnoteとTwitterのフォローをお願いします!
Twitter:https://twitter.com/96gpt


楽曲情報サマリ

出所:https://post.tv-asahi.co.jp/post-214256/

アーティスト概要

  • アーティスト名:新しい学校のリーダーズ

  • デビュー:2015年

  • 所属事務所:アソビシステム、TWIN PLANET、テレビ朝日ミュージック

  • レーベル:ビクターエンタテインメント、88rising

  • TikTokフォロワー:610万フォロワー(5/31現在)

楽曲概要

  • 楽曲名:オトナブルー

  • リリース:2020年5月1日

  • 作曲:yonkey(Klang Ruler)

  • YouTube再生数:2186万回

  • TikTok UGC数:62,100(6月8日時点)

※UGC:一般のユーザーによって生成されたコンテンツ

リリースから3年経って、突如爆発的にUGCが増加。ヒットまでの経緯

まず最初に、「オトナブルー」がヒットするまでに至った経緯を見ていきます。

まず最初に気になるのが、曲がリリースされてからSNSバズまでに相当な時間がかかっているという点です。

下の図はTikTokにおける楽曲を使用した投稿数(UGC数)の推移を表したグラフです。

最初は投稿数が伸び悩んでいましたが、2023年1月23日辺りを境に急激に伸びていることがわかります。

楽曲のリリースが2020年5月1日ですので、ヒットまでおよそ3年のラグがあったことになります。

PUFFYさん『愛のしるし』、ORIGINAL LOVEさん『接吻』、大塚愛さん『さくらんぼ』、広瀬香美さん『ロマンスの神様』、ブラックビスケッツさん『タイミング~Timing~』など、昔流行った曲がTikTok上でリバイバルヒットするという事例はありますが、リリースから3年間もの沈黙を経てヒットする例はあまりないのではないでしょうか。このような現象は、いつの時代の曲にも容易にアクセス可能なSNSやストリーミングの影響ならではと言えます。

またLINE MUSICの総再生回数を見てみると、リリース後3年で25万回だったのが、半年で426万回まで増加しています。

2023年2月以前の再生回数の推移は追えませんでしたが、時期的にTikTokのバズがDSPに跳ね返り、ストリーミングの再生回数増加に繋がったと分析できそうです。

バズのきっかけとなった動画

TikTokが人気の火付け役になったことは明らかになりましたが、一体どのような投稿がきっかけとなったのでしょうか。

オトナブルーを使用した投稿を追ってみました。
2023年2月1日までの投稿のうち、公式アカウントからの投稿・一般ユーザーによる投稿それぞれにおいて、足元で100万回再生を突破しているのが以下の投稿です。

【公式アカウントによる投稿】
<2022年>
3/26:Klang Ruler(@klangruler)、Grace Aimi(@graceaimi)とのコラボ

4/5:なこなこcp(@naconaco1005)とコラボ

12/28:GalaxyのPR投稿

<2023年>
1/19:ライブ映像

1/22:首振りダンス動画

1/29:水曜日のカンパネラ(@wed_camp)とのコラボ

1/29:ライブ映像

2/1:「だれでもリーダー」のエフェクトを利用した首振りダンス動画

【一般ユーザーによる投稿】
<2022年>
12/24:ライブ映像

<2023年>
1/19:首振りダンス動画


2023年1月22日時点でのTikTok UGC数は910本。急激に潮目が変わった

再掲ですが、このグラフからわかるように2023年1月末から投稿数が急増していることを踏まえると、先述の公式アカウントの投稿が起爆剤として非常に大きかったと考えられます。

1月19日には非公式アカウントからの投稿もありましたが、動画の内容としてはメンバーによる投稿と同じで、公式の投稿とみなしていいでしょう。

一般にTikTokでのバズというと、インフルエンサーの投稿やUGCなどが起点になることが多いですが、オトナブルーの場合、アーティスト本人の投稿やパフォーマンスがバズのきっかけになっているのが大きな特徴と言えるでしょう。

これ以降、TikTokのおすすめ欄にも乗り始め、一般ユーザーによる公式を真似した首振りダンスの投稿が急激に増加しています。

2023年1月24日時点では既にTikTokのおすすめ欄をジャックし始めている

もう一つ特筆すべきなのが、先程も述べたように、リリースとバズの間にタイムラグがあることです。

バズる以前にもTikTok上で同様の動画を上げていたにも関わらず、なぜこのタイミングだったのでしょうか。

一つの理由として、歌唱・ダンス・キャラクターなど圧倒的な実力を基盤にライブシーンでの評価を積み重ね、熱量の高いファンベースを構築する中で、粛々とアーティストとしての本質的な地肩を磨き上げた上で、絶妙なタイミングでマス認知へと躍り出たことが挙げられるのではないでしょうか。

新しい学校のリーダーズは2022年にアメリカのフェスに出演するなど、国内外でのライブシーンでの評価と知名度を上げていました。

バズの直前には、1月2日にNHKのSONGS、1月26日にアマゾンプライムの音楽番組に出演するなど、マスメディアにおける露出が大きく潮目を変えた可能性が高いです。

若者の可処分時間においてYouTubeやTikTokが占める割合は年々増加している一方で、テレビのメディアとしての力は依然として強く、長時間の出演によるインパクトの強さ(短尺の動画に比べてユーザーの目に触れる時間が長いため、アーティストの印象が残りやすい)や権威性(テレビに出ている=それなりに人気があることの証明)により、SNSとは違った宣伝効果が見込めると言えそうです。

ライブシーンも含めてご本人達がコツコツと積み上げられてきた元々の地肩の強さと独特の世界観・パフォーマンスのレベルの高さが、マスメディアやダンスのミーム化を通じてTikTok上で急激に認知され、かつこの好機を逃さずに積極的にTikTok上でご本人たち自身も稼働し、ダンスミームの現象を歴史的なバズに昇華させるという、バズるべくしてバズった事例でもあると分析しています。

『オトナブルー』分析から得た学び

①過去曲でも、ある日突然バズることがある

リリースから3年経ってから急激にUGCが垂直に立ち上がった『オトナブルー』。一般に多くの音楽レーベルにおいて、予算の付きやすさなどの観点もありつつ、マーケ施策は最新の曲が対象になりがちですが、あえて過去にリリースした楽曲を再度投稿してみる、別アングルで施策を走らせてみる、アーティスト本人から定期的に発信を促してみる、というのも有効かもしれません。

バズるためには偶然の要素も少なからず絡んでくるため、単純に試行回数を増やすことで成功確率が上がるという見方もできると思います。

②バズるための下地を築きながら、好機は逃さない

バズるための要素としては、楽曲のクオリティ、ダンス等様々な要素がありますが、今回のオトナブルーでは、マスメディアでの露出や、TikTokおすすめ欄への掲載、ダンス動画のミーム化の兆しなどの生まれた火種に対し、ご本人達の積極稼働なども含めて素早く動き、大きな薪を焚べ続けたことも大きかったのではないでしょうか。(ダンス動画などは以前から投稿されていたにも関わらず、バズがこのタイミングだったのには理由があるはず。)

③アーティスト様ご本人がSNSでガッツリ稼働できるのはアドバンテージとして非常に大きい

前述の分析の通り、今回のバズの大きな要因の一つとして、公式アカウントからの投稿が複数バズったことが挙げられます。その他、一般ユーザーの投稿においても、ライブパフォーマンスの切り抜きなど、ご本人達の姿やキャラクターに紐づく形で繰り返しTikTok上で露出が重ねられました。
『この人たちは一体何者なんだろう?』とアーティストを認知したユーザーが興味・探索に進むフェーズで、SNS上ですぐに人柄やキャラクターを知ることができるコンテンツが蓄積されていたことで、これらのユーザーのファン化までを一気に刈り取ることができたのは、継続的なSNS上の露出やアーティスト様/マネジメントサイドにおける意識的な稼働が重要な役割を果たしたと言えるのではないでしょうか。
ご本人がインフルエンサーとコラボしたり、オフショットをアップしたり、余白のあるTikTok感のあるコンテンツを投稿できる状態を作っておくことにより、火種を起こしやすく、起きた火種をさらに燃え上がらせるための施策の選択肢が多くなることは間違いないと思われます。

以上、オトナブルーのヒット要因についての分析でした。

(著:現役東大インターン生Y)


今後も様々な曲の分析や、海外の音楽記事のまとめなど、音楽のデジタルマーケに関する様々なnoteを更新予定です。
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株式会社WANDについて

株式会社WANDではレーベル・レコード会社様や音楽事務所様向けに、「楽曲のTikTok売れ」を提供する国内最大級のTikToker MCN『LUMOS』を運営しています。
最新の楽曲マーケティング手法について研究しながら、多数レーベル様と年間100件以上のお取り組みを通じて新たなソリューションを日々開発しています。

※株式会社WAND 音楽マーケティング資料の一部抜粋
  • 『どうすればTikTok音源利用数(UGC)が増えるかわからない』

  • 『メガインフルエンサーやハッシュタグチャレンジを活用し、上からの認知獲得を狙ったが、思ったようにUGCが広がらなかった』

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