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エンジニア採用・組織づくりのトレンド予測2024〜PdM人気、オフィス回帰、大企業のエンジニア採用加速、SPACEなど〜

エンジニア出身のPdM増加

今年は、GitHub Copilotが出てきて将来的にエンジニアの仕事のやり方が変わるのではという話が年初からよく聞かれた話題でした。実際にはGitHub Copilotだけではプロダクトを作り切ることは、もちろん不可能なのでスキルが高いエンジニアの需要は全く減っていません。むしろ世の中をシステムやAIで実装できる分野が増えるので、需要は増える傾向です。同時に優秀な人ほどCopilotを活用して生産性が上がっているケースも増えてきています。

また、プロダクト開発の領域もWebサービスやモバイルアプリだけではなく、業界特化型のSaaSなどが増えてくる中で、より難易度の高い開発やそもそもプロダクトの設計段階から深いエンジニアリング知識が必要な分野が増えてきました。

弊社のプロダクトであるFindy Team+でもデータ連携・成形やデータを活用した改善のリコメンド案策定システムなどはエンジニアリングの知見がないと立ちいかない分野も増えてきています。

そんな中でテックのバックグラウンドを持ち、かつプロダクトマネジメントもできるエンジニア出身者のニーズが上がってきています。テクニカルPdMなどというキャリアも一般化してきました。2024年以降、ますますPdMのニーズは上がっていくため、エンジニアからキャリアチェンジする方も増えるのではないかと思っています。

スタートアップ・ベンチャーは一部オフィス回帰、一方で受託系はリモートで成長

スタートアップやベンチャー企業による一部オフィス回帰の増加です。すでに2023年から採用時の要件に出社を復活させる会社や出社日を設けたり、週3出社に回帰する組織も出てきていました。

実際には、ビジネスサイドの方がよりオフィスに回帰している一方で、エンジニアはまだフルリモートや週1出社などの会社がほとんどですが、一方でプロダクト開発の推進には営業サイドとのコミュニケーションが重要なケースがあったり、IoTや自動運転などそもそもモノとネットが接続する分野などは出社回帰の傾向も出てきています。

以下のとおりデータでもフルリモートは減っているという結果が出ています。

また、エンジニアもフルリモート希望が依然として多いものの、過去と比較すると出社を希望する方も微増しています。

ちなみに、受託系の企業やAI系のスタートアップなど大手企業と一緒に仕事をすることが多い企業では引き続きオンラインメインで業務に当たる傾向が強く、リモートワークのままの企業も多い現状です。従って、リモートを希望する方の中では、これまで以上に受託系の会社も人気が出てきています。

DX内製化で大企業のエンジニア採用加速


数年前から大手企業のDXが叫ばれてきましたが、DXかつエンジニア組織の内製化まで踏み込む企業は限定的でした。大手企業のDX推進担当の方とお話しする機会が何度もありましたが、まずはSaaS・RPAの導入や発注先にAIスタートアップを加えていくなど、どちらかというと内製化よりは新しい取り組みの実験にとどまる企業が多い印象でした。

このままDX内製化は来ないのではないか、米国や中国のように内製化をして競争力を上げていく企業は増えないのではないか、と思っていた時期がありましたが、ここ3年でトヨタフィナンシャル系のKINTOさんやダイキンさん、東急さんなどDX内製化の成功事例が出てくる中で、2023年から先進企業に続いて行こうとする企業が急激に増加してきました。

また、エンジニアサイドもこれまで大手企業はどちらかというと外注マネジメントが主業務で自らプロダクトを開発できない印象があったため、比較的避ける傾向が強かったのですが、最近では新たな挑戦の場として大手企業を選択肢に入れる人が増えてきました。大手はもちろん技術的負債の解消や内製化など手間のかかる論点はあるのですが、同時にスタートアップでは持ち得ないデータを持っているのが事業上の魅力でもあります。

背景としては

・大手の中に内製化に対して一定の理解のある役員や部長クラスが増えてきた。(役員に情シス系の人が登用される例も増えた)
・人事制度の柔軟性を担保する企業が増えて、年収面で見劣りするケースが減った
・エンジニアサイドとしてもより組織マネジメント面で難易度の高い挑戦として大手を選ぶ人が出てきた
などがあります。

また、商社の子会社での採用や大企業の情報システム子会社の刷新なども増えており、エンジニアにとっても大手企業の本社だけではなく、大手と一言で言っても多様な選択肢が出てきています。ちなみに子会社の方が柔軟な人事戦略が実施しやすいのも、子会社採用が増えている要因になっており、子会社=給料が低い、ではない構図が生まれてきています。

一方で、SIerや大手企業とパートナーシップを組んでいるスタートアップの需要もそれほど減らない見込みです。こちらは、やはり大手企業のシステム規模や本来やりたいことがまだまだ実施できていない点を踏まえるとどちらかというとシステム開発全体の需要は当面は伸びていくことに起因しています。

また、当たり前になってきてしまっているので今回はトレンドとして言及していませんが、スタートアップやIT系ベンチャー企業も引き続き、エンジニア採用に注力する会社は多く、こちらも採用意欲は非常に強い状況が続きそうです。

引き続き年収も上昇もしくは維持の可能性

Findyに登録しているエンジニアの平均年収はここ2年ほどで80万円近く上昇しています。実際に転職する際にも年収アップを実現するエンジニアは比較的多く、またスタートアップやメガベンチャーを中心に社内の給与水準を上げていく動きも増えてきています。

加えて前項に記載のとおり大手企業でも採用が加速していくため、当面平均年収については上昇、あるいは少なくとも維持される方向性になるのではないかと考えています。以下はキーエンスの例ですが、グローバル展開している日本企業はスタートアップに対しても年収面で競争力を持っています。


開発生産性のテーマが「Four Keys」に加えて「SPACE」も

2020年に以下の記事がGoogle Cloudから出始めるのをきっかけに、日本国内でもFour Keysを組織内で計測し、継続的なエンジニア組織の改善に取り組む企業が増えてきました。

Findyも2019年くらいからFindy Team+を開発していたこともあり自社でFour Keysの計測を始めていました。同時に、クライアントからもたくさんのニーズを頂戴したため、Four Keysへの対応も実施してきました。

また、昨年実施した開発生産性カンファレンスでは、「LeanとDevOpsの科学」の著者であるDr. Nicoleに基調講演を依頼し、多くの人に聴講頂く中で、国内のエンジニア組織にFour Keysが浸透してきた2023年と言えるのではないかと思っています。
(ちなみに今年も6月に開催するのですが、基調講演にビックテック系の著名な方をお呼びしておるのでお楽しみに!詳細はこちらでも共有していきますのでぜひフォローください)

そのDr. Nicoleの講演でもまさに言及されていたのがSPACEです。
SPACEとは2021年にMicrosoftの研究チームにより提唱された、エンジニア組織の生産性を測定するための新しいフレームワークで、従来のパフォーマンス評価手法と異なり、より広範囲に渡る観点を提供しています。

このSPACEが設計された目的は、開発生産性を数字だけで追ってしまった際に長期的な視点での改善にフォーカスできない可能性があること、またハックなど含めて誤った文脈での利用を防ぐために多角的に見ていく点にあります。

実際に以下がFour KeysとSPACEの違いとなります。


Four Keysを測っていくことは開発生産性を可視化して見ていく上では必要不可欠なアプローチですが、それに加えてSPACEの考え方も取り入れることで、より生産性が高く開発者体験の良い組織づくりをして行こうという考え方が広がってきています。

ちなみに海外でもSPACE的なアプローチに注目が集まっており、昨年のUSでのカンファレンスではSpotifyやAirbnbがFour Keys+アルファとして発表をしていました。

今年はFindy Team+もSPACEの概念を取り入れていく予定ですので楽しみにしていただけると嬉しいです。

以上、いかがでしたでしょうか?
ちなみに、以下が昨年の予測です。2023年を振り返ってみていかがでしょうか。当たっているかどうか?!

最後に少しお知らせです!!

エンジニアの方向け
本日からエンジニアおみくじが始まりました。コメントも工夫しているのでぜひ覗いてみてください

年末年始に新しいキャリアを考え始めた方
Findyでは2024年も組織規模拡大に向けて積極的に仲間を募集しています。転職事業は自身も前線に戻って成長期から改革期へ、フリーランス事業はまさに最大の成長を実現している成長期へ、そしてチームプラスはT2D3及びインド・APAC展開を模索していく面白いフェーズです。