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データ可視化原論

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多摩美大・可視化表現演習 授業概要(2018〜2022年)

可視化表現演習では、演習科目としてデータを可視化することを通じて作品作りに取り組みます。「データ」を現実の現象を切り取るためのメディアと捉え、コモディティ化したメディアとしての写真や動画が捉えることのできる光景や音声以外の、ときには直接目で見ることのできない現象について、それらを捕まえ、表現に変換します。そこにはデータとして残存する現象以外の要素をでっちあげてはいけない客観性と、作家として主張したい主観性の同居が求められる難しさがあります。インフォグラフィックとの違いとしては

インフォグラフィックが主観的で、データビジュアライゼーションが客観的?

(2016年10月に書いたものです) インフォグラフィックが主観的で、データビジュアライゼーションが客観的だというのを見かけたので、、 センサーでデータを取得する際の選定されるセンサーのスペックや設置場所にも主観の入り込む余地はある(例えばガイガーカウンター)し、データの集計にも主観が入り込む余地がある。主観が入り込んだそれらのデータを使っている限り、データ可視化の段階でどんなに頑張っても主観的であることから逃れることはできない。 データ可視化する際も、たとえば年度の幅

「データ可視化」の指す、三種類の行為

「データ可視化」という言葉を使うとき、何だかふわっとしてるなと感じませんか? デザイナーとしての一個人としてはこのようなモヤモヤ体験があります。 「あくまでデータ分析がメインなのであって、可視化はその結果、おまけにすぎない」 「そのインフォグラフィック、良いんだけど、でもそれって統計的有意はないのでしょう?」 私が思うに、世間一般的に「データ可視化」という言葉が指し示している対象が異なるのではないでしょうか。異なることを語っているのに同じ言葉を使っているのですれ違ってし

データの可視化が日本全体にもたらす価値とは

データ可視化の実務者・研究者として、データ可視化を通じて世の中がどうなってほしいのか、以前読んだfreee創業者佐々木大輔さんの著書「『3か月』の使い方で人生は変わる」にちなんで「誰に対して、何をしたいのか?」「それを実現できたら何が起こるのか?」「それにはどんな意味があるのか?」の3つにまとめてみました。(初稿:2018年7月20日) 誰に対して、何をしたいのか?情報が得られなかったことで、困る人を誰一人なくしたい。 そのためにはデータを活用できる素養を、一人ひとりが育ん