見出し画像

京都灼熱じごく旅 後編

バス車内は、涼しい。
昼間なら結構座れるし、遅れや迂回も懸念していたほど影響はない。影響を受けそうな地域は今回移動ルートから極力外したのもあるが。
癒しのひとときである。適度な揺れも相まってなんなら少しうとうとしてくるくらい。
次は嵐電に乗り換えだ。

都電荒川線に似てるよね。

この形のホームね、好きなんですよ。
ただねぇ、暑い。だって遮るものが何もないんだもの。暑いに決まっている。
元気な蝉の合唱を聴きながら、地蔵みたいになって電車を待った。
ほどなく電車が来て救われた。
もう少し待ち時間が長かったら液体化していたかもしれない。溶けそうだった。

さて、そうしてたどり着いたのが「車折神社」である。

電車降りたらすぐ鳥居!

迷いようがないほどの駅近なので、特殊能力:迷子持ちの私としては非常にありがたい神社である。
去年初めて訪れたのだが、なんだかお参りした甲斐があったような気がするので再訪した。
去年いただいた御守りをお返しして、新たにいただいた。

奥が本殿。

手水場で手と口を清めて、本殿で御守りを両手に挟みお願い事をするスタイル。
お願い事の内容としては去年とあまり変わらないのだけれど、気持ちを新たにしたかったのでヨシ。

こちらは芸能神社。
清少納言社。

芸能神社と清少納言社も忘れずにお参りしてきました。
しかし、暑い。とにかく暑い。ぐったりしてきたので手短に済ませて移動する。

ここで駅近くの「八十八良葉舎」という抹茶専門店の抹茶ラテを飲む計画だったのだが、長蛇の列。
とりあえず並んではみたものの、列が伸びる場所には日陰などない。日傘を差していても「これ何か意味あるんか?」と思うくらいには暑い。
しばらく待ったが、ある瞬間にぽきりと心が折れる音をたしかに聞いたので、諦めて再び嵐電に乗り込んだ。

本当は「晴明墓所」も今回訪れたい場所の一つだったが、すでにぐったりしていたので「駅から歩くのは、それは無理やなぁ…」となり(今思うとこの時点でもう心がバキバキに折れている)とりあえず嵐山駅まで電車に揺られることにした。

車内にはキラッキラに着飾った浴衣?着物?姿の女の子たちがたくさんいた。大学生くらいだろうか。おそらくレンタルして着付けてもらったのだろう。
可愛いけど暑くないのかな…せっかく楽しみにしてただろうに、このあと倒れたりしないでね…と思ったけど、もしかして若いと平気なのか?この気温。私が老いただけなのか?まさか。

嵐山。
去年は修学旅行生にもみくちゃにされ、快適に歩けたのはモンキーパークいわたやまだけだったが、実は今回、淡い期待があった。
祇園祭もあるし、祇園のほうに人が集中してワンチャン空いてるんじゃないか?という期待だ。

が、そんな期待は駅に降り立った瞬間に打ち砕かれた。私がバカだった。全然空いてない。むしろ人が溢れかえっている。
去年は大半が修学旅行生だったが、今回は浴衣姿の若者と外国人旅行者だ。層が変わっただけである。
嵐山はいつ来ても混んでる。一生混んでる。ゆんゆんおぼえた。

とにかく涼しいところで休みたい。しかし、おしゃれなカフェに空きがあるわけもなく。
ヨボヨボしながら彷徨っていると「カフェライブラ」という昭和の香り漂う喫茶店が駅の近くにあるのを見つけた。
中を覗いてみると、かなり空いているようだ。こんなに良い立地なのに、そんなことあるんだ。

ふらふら入っていくと、店員のおばちゃんが「お一人ですか?どこでも好きな席どうぞ。涼しいのは奥かな」と教えてくれたので、奥の席へ吸い込まれるようにして座った。
あー、ほんとだ涼しい。生き返る。生き返るというか、溶けそうだったのがなんとか形を保てるというか。
メニューとにらめっこした結果「そういえばまだ抹茶を摂取してないな」と気づいて、これを注文した。

お抹茶オーレ。

「甘くないのでお好みでガムシロップを入れてくださいね」とおばちゃん。
ガムシロップをたくさん入れ混ぜて、バニラアイスを舐めるように食べながら飲む。
抹茶の苦味とガムシロップ、バニラアイスの甘みが染み渡る。
なんとか一命を取り留めた。夏の京都、おそるべし。
しばらくぼへーっとしながらお抹茶オーレをちみちみ飲んでいると、だんだん店内が混み合ってきて、あっという間に満席になってしまった。
私は運が良かったらしい。ここに入れなかったら往来で溶け死んでいたと思う。
思えば私の人生、大体そんな感じだ。もう無理だ!と思っても、最悪の一歩手前で奇跡的に救われてきた。大いなる力に生かされてるな…と思うね(何の話だ)。

脳が多少冷えてきたところで、ここからどうするかを考える。
少し回復したから「晴明墓所」に寄れるか?…いや、きびしい。やはり諦めることにした。
だったら、もう旅の締めに入ってもいいんじゃないだろうか。
まだ14時頃だったので色々と勿体無い気もしたが、無理してこんなところでぶっ倒れたりしたら目も当てられない。人生、諦めも肝心だ。
目的地への一番簡単なルートを割り出して、お店を出る。

ここから嵯峨嵐山駅まで歩いたのだが、まーーー暑かった!
暑くなければお散歩気分でちょうど良い距離感なんだろうが、灼熱のアスファルトが続く道はまさに地獄だった。
せっかく回復したのにおしまいになりながらもなんとか駅まで歩き、電車に乗り込む。

丹波口駅で降りる。初めて来た駅だ。
というか、京都でJRに乗ることは少ないのでなんだか新鮮だった。
駅からまたしばらく歩くのだが、ここでもGoogleMapに目的地の裏手を案内され、無駄に遠回りをした。やめてGoogleMap!村田のライフはもうゼロよ!!

どろどろに溶けながらたどり着いたのは「壬生はなの湯」。
いわゆるスーパー銭湯である。
もう全身汗でぐちゃぐちゃなので、とにかくシャワーを浴びたかったし、水風呂で体を冷やしたかった。
しかし、水風呂ってのは本来サウナのあとに入るものである。シャワーを浴びて即水風呂はよくない気がして、一応サウナに入った。30秒で出た。多分まわりの人「は?」って思ったと思うけど、人目なんて気にしていられる状態ではなかった。
水風呂に肩まで浸かる。
あー、生き返ってる!今が一番生き返ってる!本当に死ぬかと思った!!
そのあとジェットバスだけちょっと入って、上がった。
露天や変わり風呂なんかもあったので勿体無いなとは思った。普段の私なら全部一通り浸かっただろう。
しかし、もうお湯に浸かる元気はなかった。露天もまだ日が高いから暑いだろうし。

髪を乾かしてスキンケアをして、休憩用の椅子に座るとしばらく動けなかった。
おなかが空いてきたので、施設内の食堂で天ざるうどんを食べた。写真を撮ることすら忘れているあたり、もう本当に限界だったのがわかる。
小さいながら海老天ものっていたし、大葉の天ぷらも美味しかった。
またしばらく休憩して、飲み物を買い足すとバスで京都駅へ向かうことにした。

京都駅で何か欲しいものがあれば買おうとお土産屋さんを見て回ったのだが、別段欲しいものはなかった。というか、多分暑さにやられてそれどころじゃなかったんだろうなと今は思う。
しばらくうろうろして、帰りのバスの乗車場所を確認すると近くのベローチェに吸い込まれた。
駅付近、飲み屋以外で22:00過ぎまでいられる飲食店が意外と少なくて困ったが、ベローチェは23:00まで営業していた。ありがたいね。メニューとしてはミントルイボスティーが好きです。

完全に時間を持て余していたが、ふと思い出した。
そういえば、六道珍皇寺でいただいた閻魔様みくじ、まだ中身を見ていなかったな。ちょっと開けて見てみよう。

これが閻魔様みくじ。キュートでしょ。
中身。

「末吉」なのがもう笑ってしまうのだが、注目すべきはここである。

旅行    悪し

おい、何てこと言うんだこのタイミングで…冗談でも言うなよ!!

きれいにオチがついたところで癒されたい気持ちがMAXになったので、星野源のオールナイトニッポンをタイムフリーで聴きながら、夜行バスを待つのであった。

夜の京都タワー輝いてた。

そんなわけで、一日だけの京都旅行は終わった。

今回の学びは「死にたくないなら夏の京都は避けろ」でした。
ベストはやっぱ5月かなぁ。3月くらいも良いと聞くので、次は3月にチャレンジしてみたい気もする。
何にせよ、思いつきで行くのは良くないねー(どの口が言うか)。そのフッ軽さが功を奏すこともあるけど。でも、絶対見たかった冥土通いの井戸が見れたから、いっか。
早く11月に出す「星芒鬼譚」の直しを終わらせて、新作に着手しよう。
ちなみに新作のタイトルは「バックトゥザ現世(仮)」です。タイトルのセンスとかないんか?
主人公をクズにするかしないかで悩んでます。今のところ6:4でクズにしたい気持ちが勝ってる。

とんだぼやき旅行記になりましたが、長々とお付き合いいただきありがとうございました。
面白かったらぜひご感想をください。また、金銭に余裕のある方はサポートで投げ銭をください(ストレート)。それがまたどこかに行くきっかけになるやもしれません。

ぼやきが少ないやつが読みたい人は「京都ゆんゆん日記。」をおすすめします!

それではまたお会いしましょう。アデュー!

この記事が参加している募集

夏の思い出

面白いなと思ってもらえたらサポートをお願いします。 執筆の際のカフェ代や、記事を書くための取材の予算として使わせていただきます!取材先に心当たりがあればぜひ教えてください(ここが面白そうだから行ってみて!とか)