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京都灼熱じごく旅 前編

ことの始まりは「冥土通いの井戸に着想を得たお話を書きたい」と思ったことからだった。

冥土通いの井戸は、六道珍皇寺に現存しており、その昔小野篁さんが毎夜この井戸から冥府へと通い閻魔様のお手伝いをしていたという井戸である。
しかしこの井戸、通常は公開されておらず、遠くの小窓から覗くことしか叶わない。どうしても近くで見たい。
それから黄泉返りの井戸、これも見たい。少し前までは、黄泉返りの井戸はもうなくなっていて、今となっては冥府へ行ったらそれっきり帰って来られない…という触れ込みだったのだが、なんと冥土通いの井戸のわりと近くで発見されたのだった。

祭礼のときなどは公開されて間近で見ることができるようだが、なかなかスケジュールがあわずでどうしたものかと思っていたのだが。
7月に入ったある日、ふと思い立って日程を調べてみたら、なんと一日だけ奇跡的に私のオフとかぶるではないか。

行くことにした(フッ軽)。

スケジュールや金銭的な都合もあり、今回は夜行バスを使うことにした。
夜行バスの好きなところは、サービスエリアでの休憩。以上。

途中のSAから見えた景色がよかった。
どこだかは知らない。

行きは正直全っ然眠れなかった。
でも、なんとなくうとうとしているうちに京都へと着いた。

目が眠そうだけど心はバッキバキの私。
どうせ化粧しても落ちるんでしょ?と思って
もうすっぴんでいくことにした。

まずは朝食だ。
絶対に行きたいお店があったので、バスで向かうことにした。

バスの一日乗車券を忘れずに。
4乗車以上するならお得らしいぞ!

が、この時まだ7時台だったにも関わらず、すでに暑い。あと蝉めっちゃ元気。嫌な予感はしていた。

ちょっとバス停を間違えて行きすぎちゃったので、歩く。といっても5分くらい。

八坂神社。祇園祭ののぼりの主張が激しい。

朝なので、とくに祇園祭の影響は受けず。
バスが少々遅れていたこともあり、開店時間より少し遅れて到着。
「京都祇園茶寮」というお店だ。
目当てのメニューは限定20食。売り切れていたらどうしようと思いながら店員さんに尋ねると、まだあるということだったので嬉々として注文した。
見てくださいよ。これが、私がどーーーしても食べたかった朝ごはんですよ。

焼きたて食パン!

ビジュアルで一目惚れして、これが食べたくてわざわざやってきた。この食パンのフォルム、かわいかろう。
食パンをちぎろうとして持ち上げて、びっくりした。
アッツアツの!ふわっふわの!!もっちもちだ〜!!!
こんなにもちもちしてるなんて、インスタの写真からじゃわからなかった。やっぱり自分で食べてみることに意義があるなぁと思う。
自分で好きにトッピングをしながら食べるのだが、抹茶食パンにバターと白餡+ゆずをつけると最強だったので、もし行く機会があればやってみてほしい。
京野菜のポタージュは冷たくてびっくり。季節柄なのかしら。でも体に良さそうな味で美味しかった。
飲み物は「あとで専門店で抹茶ラテを飲む予定だから…」とほうじ茶ラテをチョイスしたが、ここでも抹茶ラテを飲んでおけばよかった気もする。ほうじ茶ラテもお上品な味でとても美味しかった。

朝食にしてはちょっと値が張ったが、現地で美味しいものを食べずして何が旅であろうか!!
というか、去年も京都でパンばっかり食べてて「米は???」と思ってたけど、またパン食べてんな。まぁでもいいのよ、美味しいから。京都のパン。

腹ごしらえも済んだところで、まずはこの旅のメイン「六道珍皇寺」へと向かう。
ここから徒歩8分程度と近いので、歩くことにした。この時はまだ元気だったし、暑いのは暑いがまぁ歩けるなというレベルだった。
GoogleMapに従ったらなぜか裏口に案内されて無駄に遠回りした。なんでだよ。

来たぜ!六道珍皇寺。

茅の輪くぐりをしてお線香をあげて、いよいよ井戸のほうへ。
並んでいるのは御朱印の列なのか、拝観のための列なのか、列がちゃんと分けられていなくて困ったけど、なんとか中へ入れてもらうことができた。
仏像や絵の展示なども行われていたので、順序どおりに見ながら進む。地獄絵図って本当に見るに耐えないなぁと思うなどした。ポップな絵柄でもしんどいものはしんどい。

そしてついに、冥土通いの井戸に辿り着いた。

画面中央奥が冥土通いの井戸。
手前のお子様はずっとここで遊んでいた。

写真はあまり近くから撮ってはいけないらしく「本堂側から撮ってください」と張り紙がされていたのでこの距離感になったが、井戸に手をついて中を覗き込めるところまで行けた。
しめ縄が巻かれていて木枠が嵌め込まれている以外は、いたって普通の井戸である。不思議な力はとくに感じない。
が、ここから篁さんが冥府に…と思うと、感慨深いものがあった。真偽のほどはどうでもいい、そういう伝説のある場所に立っているというのが面白く、ワクワクするものなのである。一種のロマンだな。

そしてこの写真で言うと右手の奥に進んだところに黄泉返りの井戸があり、これも覗き込めた。
個人的には「ちょっとあざといなぁ」と思ってしまったが、何があざといのかはその目で確かめてほしいので、あえて言わない(調べたらネットでも見られるかも)。
篁さん、帰りの場所が近くてよかったねの気持ち。

小野篁卿って書いてますね。
色褪せた閻魔様のポスターも味がある。

一通りぐるっと見終えて、何か記念に…と御守りやグッズ等を見ていると「閻魔様みくじ」というものが目についた。小さな閻魔様のフィギュアの中におみくじが入れられているものだ。
御朱印の用意で忙しそうなお寺の方に申し訳なく思いながらお金を払い、小さな閻魔様を一体連れてお堂を出た。
この時点ですでに汗がびしゃびしゃだった。時間は10時頃だったと思う。
塩分タブレットをかじり水をがぶがぶ飲んで、汗を拭くと次の目的地へ向かうことにした。

が、バスを待っているだけでもう死にそうだった。
ここでこんなこともあろうかと用意していた秘密兵器・ヒヤロンを投入してみたのだが、まったく歯が立たなかった。冷たかったのは一瞬だけで、すぐにぬるい水の入った袋になった。こうなるともうただのゴミである。嘘だろ。
なんとかバスが来るまでじっと耐え、ぐったりしながら車窓を眺める。
乗り換えが必要だったので、バスを降りたところで麦茶を買い足した。飲み物がなくなること、即ち死。絶対に切らしてはならないと野生の勘が言っている。
バス停のそばにCoCo壱があったので、そんなにおなかが空いているわけでもないのに吸い込まれそうになった。危なかった。そして、CoCo壱の店員さんがバス停の周辺まで掃き掃除をしていて、またCoCo壱の株が私の中で爆上がりしてしまった。好きです、CoCo壱。

そんなこんなで到着したのは「晴明神社」。
京都に来たらここに寄らなきゃ始まらないでしょ!と個人的には思ってます。そんなことは決してないが。

天気良〜。
この日は中でご祈祷が行われていました。

ご挨拶をして、御神木に手を当ててなんかいい感じのパゥワーをもらったり(よくわからないけど)。
厄除桃を両手でべったべたに撫で回したり(まとわりつく厄を感じる今日この頃)、桔梗の花を眺めたり。

かわいいよね、桃。
綺麗な色だなぁ。
一条戻橋と式神ちゃん。

奥の「桔梗庵」という、いわゆるお土産屋さん。いつも中を見るんだけど、一回も何か買ったことがない。
今回は晴明さんTシャツを買おうか一瞬迷ったけど「そんなに黒いTシャツばっかりいりますか?充分持ってるでしょ?」と脳内の冷静な私が釘を刺してきたのでやめました。

暑さにギブアップしそうになり、またiPhoneの充電も危うくなってきたので近くのファミマに吸い込まれた。
最近ChargeSPOTにめちゃくちゃお世話になっているので、いっそサブスク契約したほうがいいんじゃないかと思いながら、買った梅おにぎりをイートインスペースでおなかに入れる。
次の目的地まではバスと電車を乗り継ぐ必要があり、結構時間がかかりそうだ。
しばらく涼んで覚悟を決めると、ファミマをあとにしたのだった。

バス停からの景色。
夏休みみたいな空してんな!

…と、前編はここまで。

本当はここから「御金神社」という金運アップの神社に行きたかったのだけど、優先順位を考え直した結果断念して、その次の目的地を目指すことにしました。

暑さによって着実に削られゆく体力…
それに伴い、旅先だというのに下がりゆくテンション……
一体どうなっちゃうの〜!?
後半も乞うご期待です。

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夏の思い出

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