子ども食堂の活動の見えない部分
数か月前から近所の子ども食堂のスタッフとして働いています。月1回の活動なのでまだ始めたばかりですが、運営の大変さを毎回感じています。
先日、岸田総理が視察したことで子ども食堂が少し話題になっているので、スタッフとして裏話を書いてみようと思いました。
子ども食堂の活動状況
私の行っている子ども食堂は、ある一軒家で行っています。月に2回、食事を提供します。(2回のうちの1回は平日開催なので私が関われるのは月に1回だけ)
以前は、食堂という名のとおり、集まった人でわいわいガヤガヤとしていたそうですが、今はそれが出来ず、作った料理をお弁当にして事前予約した人に渡しています。
スタッフは全員で約15人で、お弁当は約70食+スタッフ分を作ります。
お弁当を渡すまでに行われていること
1.メニュー決め
パターンは、白ご飯、肉料理、サラダや副菜、果物の4種類ぐらいが多いです。
ハロウィンやクリスマスなどの季節性と、食材の寄付がある場合はその食材を使うメニューを考えます。
2.食材などの購入
食材は何日も前から買うことは出来ないので、前日など直前に買って、子ども食堂内の冷蔵庫に入れておきます。みなさんは80食分の食材を購入したことはありますか?
食材以外にもお弁当箱や消毒液などの消耗品も無くなったら購入します。
3.チラシ作り
次回の開催日のお知らせを地域の掲示板に貼るので、チラシを作成し、印刷し、掲示を貼ります。
また、お弁当と一緒に手紙のように次回のお知らせなどを渡すので、そのお知らせも作成し、印刷し、A6サイズにカットしておきます。
4.調理
例えば、ポテトサラダを作る場合、大量のじゃがいもの皮をむき、大鍋にお湯を沸かしてじゃがいもを茹でます。(その隣のコンロではメインの肉を焼くので夏は灼熱状態になります)
その間にハム、きゅうり、リンゴを大量に切ります。切ったら大きなボウルに入れておきますが、置く場所が無いので隣の部屋に一旦置きに行きます。そうこうして、完成したらお弁当箱に詰めていきます。
ちなみに、私は料理が苦手で、自分の食事の用意ですら日々億劫に感じているぐらいです。子ども食堂に興味があったものの、なかなか踏み出せなかった理由の一つがこれです。しかし、大量の食材を切ったり、大量に出る洗い物を洗ったりする仕事があるので、事前に心配していた問題は今のところありません。
5.渡す
出来た料理をお弁当箱に詰めて、やっと希望者に渡せます。当日の準備(調理)時間は約3時間です。
指定の時間に取りに来てもらうことになっているのですが、来ない人にはスタッフから電話を掛けます。
自転車で来られた人が自転車を置き、名前を言ってお弁当を受け取る、その短い時間に、ベテランのスタッフは利用者さんに上手に声を掛けます。
お弁当方式になってから利用者は増えたそうです。お弁当を受け取るだけなので、気軽に利用しやすいのかなと思いました。しかし、以前はゆっくりとお喋りする機会があったのに、今は無くなってしまったのが素っ気なくなってしまったとも言えます。
6.次回のメニュー決め
片付けの後は、指定時間より遅れて取りに来る人を待ちながら、次回のことについて決めます。メニューを決めて、誰が何を買いに行くのかを決めます。
今日の料理で気になったことや、お弁当を渡す際に気付いたこと、レシートの取りまとめ等の書類申請準備なども行います。
スタッフ構成
スタッフは約15人ですが、2~3人は大学生です。近くの大学のボランティアサークルに所属している人たちが来ます。毎回来る人1人、たまに来る人1人、誘われて初めて来る人1人、ということが多いです。
私は、若者とはもう言えない年齢ですが、一応、若者世代ということで。
そして、その他の人たちは全員、仕事を退職した世代です。
この割合が一般的なのかそうでないのかは分かりませんが、準備の手間を考えると、時間に余裕が無いと難しいだろうなと思いました。
調理時間が3時間と言うと、すごく大変なように思えますが、たった3時間で済んでいるのは、元ベテラン調理員さんや、主婦歴30年以上の人など、料理の上手な人たちが多いからです。おかげでメニューを決めるのも早いです。(メニューがすぐに思い付く、必要な物や手順がすぐに分かる、お弁当の完成図がすぐに思いついて改善点を提案できる)
子ども食堂のスタッフとしても慣れている人が多いので、役割分担もすぐに決まります。
私はスタッフですが、食材の購入などの事前準備や裏方の書類仕事などは全て他の人たちがしてくださっています。私が行うのは当日のみです。(しかも料理が出来ないから、指示をもらって動くことが多いです。)
働く世代が仕事や家庭のことをしながら、子ども食堂の運営をするのは大変だと思いました。
子ども食堂がニュースになるとき、料理が作られた後の光景が映ることが多いと思うのですが、料理が作られるまでのことも理解できる人が増えれば良いなと思いました。