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一ヶ月の旅行後の心情は予想外のものだった

7月から8月にかけての約一ヶ月間、ある島に滞在していました。

本業の仕事が休みになってしまうので、収入を得たいというのがきっかけでした。また、知り合いが住んでいて興味があった場所だったので、連絡してみると仕事も紹介してくれることになったので、長期滞在できることになりました。

その島の魅力などを知りたい人は、たくさんの人がnoteに上げているのでそちらを見てください。私は、旅行前後の自分の心情の変化について書きたいと思います。

旅行前

私の旅行の目的は

  1. 働いて収入を得る

  2. 知り合いに会いに行く

  3. 普段と違う土地で生活する

主にこの3つでした。もちろん、これらに付随する『島の人と出会う』『観光する』『海で泳ぐ』なども楽しみにしていましたが、基本的には、島に行って普通に暮らすのが目的でした。また、その島は、島留学などの外部からの受け入れを積極的に行っているので、そのような人たちと関わりも楽しみでした。

宿泊先はシェアハウスを就業先が用意してくれました。初対面の女性2人と一緒に住むことになりました。他人と一緒に暮らす経験が元彼との同棲しかなかったので上手くやっていけるのか心配でした。住む場所も自分の家ではないので馴染めるのか、どうなるのか生活面が一番不安でしたが、全て楽しみでもありました。

旅行後

シェアハウス

シェアハウスでの暮らしは本当に楽しいものでした。幸運な条件がいくつも重なっていて、本当に運が良かったと思います。

  • ハウスメイトと気が合った(話すのが楽しい)

  • 家事のやり方など生活スタイルが近い(例えば食器洗いの頻度など)

  • 最初の一週間は3人暮らしだったが、残りの三週間は2人暮らしと少人数だった

  • 家が広く、部屋が独立していた

  • 家の中が綺麗

  • 自転車を貸してもらえた

  • 商店が近く買い物が便利な場所だった(スーパーはそもそも無い)

特に、ハウスメイトと上手くやっていけるかが生活の良し悪しに大きな影響を与えるのだと初めて知りました。毎日顔を合わせるので、仲良しにならなくともノリが合わないと辛かったことでしょう。さらに、生活スタイルも大きく違うと小さなストレスが積み重なってしまうのかもしれません。例えば、『超几帳面な人』と『超ズボラな人』とは住みにくいだろうなと思います。私たちの場合、そのあたりが程よく、気も合ったので、毎日話したり一緒にご飯を食べられる生活が楽しみで仕方が無かったです。

その分、元々の家に帰ってくるのが嫌になりました。家での一人暮らしはそれなりに良いものだったはずなのに、人と一緒に暮らす楽しみを知ってしまうと、一人暮らしに戻るのがすごく寂しいことのように思えました。

選べないストレス

だからといって、島に一生住みたいと思えるほど、その島が気に入ったかというと、そこまで言い切れませんでした。一番気になったのは生活の中で『選べない』と思うことが多かったことです。
例えば、私はパンが好きでよく買うのですが、「食パンだったら、あの店のあのメーカーのが一番美味しくて値段も安い」と考えて買います。しかし、島では購入店舗もメーカーも自分好みには選べません。そのときにあるもので構わないと思っていたのですが、「都会(今住んでいる地域)だったら選べるのになあ」という気持ちが心の底にあり続けたので、もう少し滞在期間が長かったら辛くなっていたかもしれないな、と思いました。

自然たっぷりの日常

しかし、だからといって(!)、島暮らしが嫌で仕方がなかったかというと、そうではありません。職場までは自転車通勤で、暑さや坂道がしんどかったですが、綺麗な青い海を見ながら出勤できるのは幸せだなと思いました。家の前も一面が田んぼになっていて綺麗な緑色でした。ある日夜空を見上げると星空が広がっていて「星がこんなにたくさん見えるのは本当だったのだな」と思いました。プラネタリウムで、とても低い高度まで空一面に星が見えるのは、嘘ではなかったのだと初めて知りました。そのような広大な景色が、特別な場所に行かなくても家やその周辺で当たり前のように見られることは、とても贅沢だと思いました。

今の私にとって大切なものは何か

旅行後は大きな喪失感に苛まれていました。気の合う人との同居生活はとても魅力的なものでした。今でもメッセージを送ったり電話をすることもできますが、家に帰ったら、待つか待ってくれる相手がいること、約束しなくても会えて話ができる相手がいる状況とはかけ離れているように感じました。
私には本業の仕事があり、家もあるので、帰らないという選択肢は取れなかったのですが、シェアハウスという特性上、一度手放したらもう手に入れられない環境を自ら手放してしまったという後悔に似た気持ちになりました。

「もし、この島で暮らすと決めたらどうなるだろう」ということを一ヶ月の間に何度も考えました。仕事は?住む場所は?休日の過ごし方は?友人との関係は?数日間の『観光』ではなく、一ヶ月の『生活』をしたのでリアルに考えることができました。

島で住むとなると、家や仕事などの今の生活環境を手放すことになります。今までは漠然と「私は独り身だし、仕事も他の人より辞めやすいし(?)、家も気に入っていないので早く引っ越したい」と思っていたのですが、きちんと考えた結果、今すぐ引っ越しはしない方が自分のためだという結論になりました。

その理由は、1年ほど前から居住地近くの子ども食堂の活動に参加していて、現在はコアメンバーとして関わっているのですが、これを続けたいと思ったからです。「ボランティアなので仕事優先で、生活に支障があるのであれば辞めてしまおう」と思って始めたことですが、やりがいのある仕事を任せてもらえているので、今すぐには辞められないな、やり遂げたいなと思いました。

一ヶ月の旅行の前は「島生活を楽しめたらいいな~」ぐらいの気持ちでしたが、結果的に、自分の生き方について考えることになりました。