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【39話】幼馴染みの想いで話(唯と梨紗ちゃん)

ギターリストを探すんだよ!

さて、【38話】の続きです。
涼さんと渚さんは、変な人を紹介してしまった責任感から、毎日のように伝手をたどっていました。
梨紗ちゃんは、いつもの楽器店に掲示してもらう、募集用の貼り紙を作りました。

メンバー募集 再

メンバーの募集です、募集だよ、ギターです、だよ。
ハードロック中心に活動しています、いるんだよ。
今年秋のロックコンテスト、優勝狙っています、狙ってるんだよ。 
私達を優勝に導いて頂ける方、よろしくお願いします、お願いだよ。 
私達は高校生です、そうなの。
楽器を大切にする高校生の方でお願いします、お願いだよ。

                       小鳥遊梨紗、唯だよ

「前にも言ったけど梨紗ちゃん 唯の付け足しの言葉 いらないと思うんだけど」
「じゃあ こうするわよ」

メンバーの募集だよ、ギターだよ。
ハードロック中心に活動しているんだよ。
今年秋のロックコンテスト、優勝狙ってるんだよ。 
唯達を優勝に導いてくれる方、よろしくお願いだよ。 
唯達は高校生なの。
楽器を大切にする高校生の方でお願いだよ。

                       唯だよ

「これならいいでしょう」
「唯は別に構わないけど 誰も来ないと思うんだよ 梨紗ちゃん 唯では」

別に梨紗ちゃん、ふざけているわけではありません。
真剣に考えているのです。
バンドでは唯ちゃんのボーカルを、前面に出したいと考えているのです。
が、やはり最初の方で募集をかけることにしました。
その前に、涼さんと渚さんに相談することにしました。
さすが梨紗ちゃんです、勝手にすることはありません。
しかし、渚さんが・・・・・です。

渚先輩 キレる?

「涼先輩 渚先輩 このような募集も掛けようと思うんですけど」
「おい 梨紗 お前はバカか」
「えっ・・・・・・・」
「何言ってるんだよ 梨紗ちゃんはバカじゃないよ 頭いいんだよ」
「こら 唯」
「な なんなの」
「頭が良ければバカじゃないんかよ 頭よくても犯罪起こすバカな奴ら一杯いるだろ」
「そ それはそうかもしれないけど 梨紗ちゃんは違うよ そんなことしないんだよ」

「梨紗がそんなことすると言ってねえよ バカなことするんじゃねえって言ってるんだ」
「何がバカなの 唯にはよく分からないんだよ」
「唯 もういいのよ」
「おい 梨紗 お前もう分かってるんだろ 頭いいんだから」
「はい すみませんでした」
「どういうことなの 梨紗ちゃん」
「渚先輩と涼先輩は まかしてくれって言ったのを 無下にしてしまったのよ 私 焦っていたのよ 焦ってもどうしようもないのに だからバカだったのよ」
「そ そっか 唯も梨紗ちゃんと同じだよ ゴメンだよ 唯もバカだったんだよ」

渚先輩 墓穴を掘る!

「まあ こんな募集でノコノコやって来る奴に ろくなのはいねえよ」
「・・・・・・・・・」(涼)
「・・・・・・・・・」(梨紗)
「・・・・・・・・・」(唯)
「な・・・渚・・・・ぼ・・僕達」(渚さんにしか聞こえてません)
「あっ・・・たまにはいい奴も来るぞ そんなの稀だぞ」
「・・・・・・・・・」(梨紗)
「・・・・・・・・・」(唯)
「おいっ 何か喋れよ」
「そんなこと 分かってますよ」
「そうだよ 分かってるんだよ」

「お前らにギターリストの良し悪しは分からんだろう 俺も前の奴は失敗だったから悪かったと思ってるんだ 今度は慎重に探すから 少し時間はかかると思う とにかく唯のボーカルを引き立てられる奴を探しだすよ」
「渚先輩 唯のボーカルのこと それは言ってなかったと思うんですけど どうして分かったんですか」
「おい 梨紗 なめんなよ そんなこと雰囲気で分かるわ なあ涼」
「あっ・・・う・・うん」(やっぱり渚さんにしか聞こえてません)
「そうなんですか すごく嬉しいです」

涼先輩 喋る!

「とにかく・・唯・・梨紗・・焦る必要はない・・・よ」
「ん ありゃ 今の涼先輩の声 ワー 梨紗ちゃん 涼先輩が喋ったよ 喋ったんだよ 唯 ビックリだよ 初めて声聞いたよ」
「唯 当たり前でしょう 喋るわよ」
「でも梨紗ちゃん 涼先輩の声 聞いたことあるの」
「当たり前でしょう 名前や住所や電話番号など聞いてるんだから」
「いつの間になの」
「唯が ボーッとしてジュース飲んでサボってる時よ」
「そうなの」
「そうよ」

というわけで、涼さんと渚さんのギターリスト探しが続きます。
しかし、時間が掛かると思いきや、意外と早く見つかるのです。
入ってくれるかどうかは別問題ですが。
では、また次回に、お会いしましょう。

 幼馴染みの想いで話(唯と梨紗ちゃん)
【索引】 【登場人物】
 

#幼馴染み #想いで話 #思いで話 #小説  
#バンド #ベース #ドラム #ギター #ハードロック






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