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未来を知るには?コペンハーゲン未来研究所

最近、何しているの?と色々な方からよく聞かれるので、近況報告をすると、 コペンハーゲン未来研究所(Copenhagen Institute for Futures Studies)というところで、フューチャリストとして、未来分析をしている


コペンハーゲン未来研究所とは?

コペンハーゲン未来研究所(CIFS) は、デンマークのスカンジナビア最大の未来学シンクタンク。1969にデンマークのコペンハーゲンにて設立された非営利の独立機関。フォーチュン500企業、政府省庁、および非政府機関をクライアントとし、世の中で起こっていること、人々の行動の変化などを分析することで未来を理解し、現時点での可能な限り最高の意思決定を下し、より良い未来を創造できるようにするための戦略を提供している。


なぜここに?

ミラノ工科大学のストラテジックデザインマスターでは、自分の深めたいテーマや領域を決め、そこで実際に働くことが卒業要件、というプログラムになっている。

そこで私は、”Future Vision”というのを自分のテーマとした。

きっかけは、クラスメイトからのフィードバック。プロジェクト終了後に、反省点やお互いの強みはどこなのかなどを話し合った際に、クラスメイトに、あなたは社会と企業の状態を把握し、今後世の中がどう動いていくかのシナリオを描くが上手い。クライアント企業の歴史やDNAを汲み取り、ありたい未来・目指す未来、つまりVisonを考えるのが強い、と言われたことだ。

イタリアはデザインの歴史、クリエイティビティのマインドセット学ぶには、良い環境だと思う。日本とは全く異なる教育システムには何度も驚かされたが、この教育や考え方こそが、自由な個性を育み、多くの優れたクリエイティブパーソンを生み出しているのだと思う。

しかし、”未来”と考えた時、ヨーロッパでは北欧圏が存在感を放っている。去年開催された、水の都イタリア・ヴェネチアの世界最大規模の建築の祭典「ヴェネチア・ビエンナーレ」でも、北欧パビリオンが最も未来思考だった。未来の人間育成を国家戦略の大きな柱にしているデンマークとスェーデンを中心に企業を探し、合格したのがコペンハーゲン未来研究所だった。


未来を読むことはできるのか?

おそらく「未来を読む」ことは誰にもできない。世界の不確実性は高まっている。しかし、一方で人間の行動は予測可能だ。その鍵は、人々の行動がどのように変わってきているか、そのシグナルを読み取ること。

ではどのように?

世界中様々な情報源から多くの情報に触れ、それを分析をすることによって、人より先の未来を見ることが可能だ、ということだ。


未来分析とは?

細かい指標があるが、大きくまとめると以下の5つになる。

1. 人々の行動変化を起こす現象のシグナルを捉える

まずは、ファクトベースで世の中で発生した現象をキャッチする。

2. 水平思考

一カ国の状況だけでなく、他の国ではどのような動きがあるかをホリゾンタルにリサーチする。

2. 原理や流れを理解する

そもそもどんな歴史的背景でその仕組みや考えが生まれているのか。

3. 想定、機会、脅威分析

ファクトと原理からどのように動きそうか、そしてその機会と脅威を様々な角度から考え、分析をする

4. スコープ

現在その現象に関わっているセクターは誰なのかを把握し、それはニッチな現象なのか、広がりうるのか、今後どのくらいのスピードで変わっていくのかを分析する。


これらを軸に作成したレポートを、国籍もバッググラウンドも異なる他のメンバーと議論しあい、未来への理解を深めていく。これが実に重要だ。一人が把握している未来には偏りがある。3人いれば、3人が違う未来を描くだろう。しかし、意外にもそこで共通していることもある。特に、私は今ヨーロッパにいるが、アジア、アメリカにいるメンバーとディスカッションすると意外にも異なっていたり、また逆に共通していたりと、その議論が面白い。

トピックは多岐にわたる。政治、経済、ビジネスはもちろん、ニッチな業界やアンダーカルチャーまでリサーチしたり。私は、主にコンシューマー、リテール、ウェルネスあたりを中心にリサーチしている。

そして、その中で特に注目すべき未来情報をSCENARIO MAGAZINEとして雑誌として、欧州内で販売をしている。 最近のトピックは、Future of Education, Quantum gravity, Nordic health 2030など。過去には,Future of LoveやFuture of Sexなどの興味深い特集も。

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デザインを勉強しに行って、未来予測のシンクタンクで働いているの?と不思議がる人もいるのだが、私は『デザインはより良い未来を創ること』だと思っているので、理想的な未来のシナリオをつくるというのは、まさに繋がっている。そして、今後問題解決だけでなく、問題発見の重要性が増す中では、FUTURE VISIONや未来シナリオの考え方は、これから非常に重要になると考えている。




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