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 低糖質食で、認知症が改善した、 私の最初の症例。😁

 2008年にアメリカの小児科医、メアリー.T.ニューポート医師が、自分の夫の若年性認知症(若年性アルツハイマー病)に、エクストラバージンココナッツオイルを使用して、短い期間ではありましたが、良くなったと言う事を知り、ケトン体(βーヒドロキシ酪酸)について勉強してきました。

 私は、脳神経外科医であり、特発性性常圧水頭症による認知症を主に診ていましたが、やはり中には、アルツハイマー病の患者さんもやってきます。

 この患者さんは、軽度認知症害(MCI)でした。クスリを内服しているにも関わらず、進行してきたので、何とかしてほしいという、強い希望がありましたので、食べるものを変えるだけの治療で、悪くないだろうという安易な気持ちでやってみました。 

 まず低糖質食にして、ケトン体(βーヒドロキシ酪酸)をエクストラバージンココナッツオイルを一日大さじ1-3杯、みそ汁やコーヒーに入れて飲んでもらいました。
 
 すると、食事療法を開始して、半年後にほぼ正常に戻ってしまったのです。驚きでした。それから、5年がたちますが、食事療法を継続しておられ、今でも認知症の進行は、ほとんど見られていません。自宅で、介助や介護されることなく、自立した生活をされています。体重も低糖質食にして、
減量され、とても、元気そうになりました。

 その後、家族の協力が得られる10人程度の患者さんに、行いましたが、みなさん、1か月もすると、よくなってきます。

 ただし、海馬の神経細胞が、死滅していないと思われる、軽度認知障害
MMSE(満点が30点、記憶のテスト)で20点以上はある患者さんです

言い換えれば、海馬の神経細胞が死滅しておらず、ブドウ糖で、エネルギーが作れなくなり、神経細胞のエネルギー不足で、軽度認知障害をきたし始めた患者さんです。

 海馬の神経細胞は、ブドウ糖とケトン体のハイブリッドで機能しています。アルツハイマー病が第三の糖尿病と言われるのは、インスリン抵抗性のため、ブドウ糖が利用できないためです。そこで、ブドウ糖を少なくする低糖質食にして、すぐに肝臓でケトン体に作り替えられる中鎖脂肪酸(エクストラバージンココナッツオイルやMCTオイル)を飲んでいただきます。
ブドウ糖とケトン体は、同時にミトコンドリアで、使うことが出来ません。
ブドウ糖を断つ必要があります。

物忘れが始まったら、ケトン人にならなくてはいけない。

 抗炎症薬を内服している人には、アルツハイマー病が少ないことから、アルツハイマー病は、脳の慢性炎症という人もいます。慢性炎症は、タンパク質の糖化、酸化から始まりますので、その意味でも低糖質食にする必要があるのです。
ニューポート先生は、その当時、糖質は減らしていませんでした。

 慢性炎症に対して、抗炎症薬を処方するよりも、オメガ3のオイルを
EPA DHAのサプリメントで取ってもらいます。また、ビタミンD3もビタミンと言われますが、体が作るステロイドホルモンなので、これもサプリメントで取ってもらいます。脳には、コレステロールが絶対欠かせませんから、
コレステロール降下薬は、禁忌です。

 運動は、1日20分の歩行をしてもらいます。脳由来神経栄養因子を増加させるのが、目的です。

特に脳も委縮しておらず、脳主幹動脈に狭窄は見られない。
85歳の現在も認知症の進行はなく、生活は自立しています。

 低糖質食により、血糖値の変動が少なくなり、攻撃、逃避ホルモンの変動が少なくなるためか、性格は穏やかになって、夫婦げんかが減ったようです。ほかの患者さんも性格が穏やかになっています。
 認知症になり始めた頃は、うつ的になり、家に引きこもることが多かったようですが、外に出て,花に水をやったり、散歩に出たりするようになったそうです。
 軽度認知障害の患者さんに漫然と、クスリを投与するよりも、効果がすぐに出る低糖質食、ケトン体療法は、試してみる価値があると思います。

 ※アルツハイマー病は、糖尿病の患者さんが、普通の人の2倍ぐらい多く発症します。2型糖尿病の患者さんが、治療中に低糖質食を行うと、低血糖症を起こし、死亡事故に繋がる可能性があります。絶対にしないでください。
あくまで、現在効果的な治療法のないアルツハイマー型認知症に、初期の段階で、食事で改善する可能性があるのではと提案しています。


 

 
 


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