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だらだら長いスカウトメッセージは、余計な文章が75.3%を占めている

これは、LAPRAS Advent Calendar 2023の13日目の記事です。

今の会社に入って3年…
仕事は問題なくできているけど、達成感もないし、ワクワクするみたいな気持ちも最近は全然感じないんだよなぁ…

転職すっか!


カタカタ…

うーん、転職サイトに登録してからずっと放置していたけど、気付かないうちにスカウトメールがたくさん来ているなぁ。

どれどれ…

んん〜??


本当に・・・
最近のスカウトは・・・・・・・



こんにちは。tatsumiです。

みなさん、スカウト貰っていますか?
転職サービスに登録すると、いろいろな企業や、エージェントと名乗る人物からスカウトという名のメッセージを受け取ります。

30歳で働き盛り、ネームバリューのある会社でWebエンジニアのリーダーをやっている・・・などといった、いわゆる「引っぱりだこ」な経歴やスキルを持った方ともなると、
転職サービスに登録した10分後にはメールボックスがスカウトメールで埋まるといった現象が見られるほど、たくさんのスカウトメッセージが世の中で飛び交っています。

たくさんのスカウトを受け取れば受け取るほど、「引き込まれるスカウト」があれば、「読みたくなくなるスカウト」も見えてくるはずで、
段々とスカウトに辟易したり、読み疲れたり、嫌悪感を感じたり、といった経験を皆さんもお持ちなのではないでしょうか。

スカウトに疲れている図

スカウトメールは、どうしてこんなに「読んでいて疲れる」のでしょうか?

疲れる原因①:「選ばれたい」がために、自分の箔を押し付けてしまう

  • 人材業界最大級の〇〇アワード 大賞受賞

  • 〇〇転職エージェントランキング  総合満足度第1位(1000名中)

  • 〇〇業界の転職支援で圧倒的No.1実績/社長が元〇〇(外資戦略ファーム)

  • 平均年収300万円アップ保証!若手の転職実績多数!

自分が権威あるポジションにいると示したいが為に、延々と「スカウトしている人間の凄さ」「所属している会社の凄さ」について語り始めてしまうケースも。早く本題の求人紹介をしてほしい。

疲れる原因②:よくわからないのに褒めまくる

  • ご経験に強く惹かれ、 どうしても諦めきれずご連絡いたしました。

  • 貴方様のすばらしいご経歴を拝見させて頂きました。弊社で間違いなくご活躍いただける魅力的なスキルセットをお持ちとお見受けしました。

  • 「採用支援、採用コンサルティングのご経歴が素晴らしいと思いました。本日は、BtoB SaaSの直販営業ポジションをご紹介させていただきます!」というような、つながりのわからない提案

テンプレメッセージのバラマキではなく、スカウトには「あなたに送っているんですよ」というパーソナライズが求められて久しいです。
しかし、何をどう魅力に思ったのかわからない中途半端な褒め文句や、褒めてくれた内容と提案内容が繋がらないメッセージを受け取ると、疑問を感じます。

疲れる原因③:「丁寧で心のこもったスカウトこそ正義」という価値観

これは冒頭で例示したとおり、褒め文句の修飾辞が多かったり、本題になかなか入ってくれなかったり、といった長すぎるスカウトメッセージを受け取ると、頭に入ってきません。

他のスカウトメッセージとの差別化を図るために、丁寧な文章を各社が心がけていった結果、世の中に出回るスカウト文章はどんどん長くなりました。

スカウトをたくさん送りなさい!でもテンプレ的なスカウトを送るのはやめなさい!というマネージャーからの圧力、もしくは、ユーザーからの苦言を受け止めた結果、
「スカウトは丁寧に書いておけば間違いはないし、あわよくば偉いと褒めてもらえる」といった価値観が醸成されているように思います。

ランダムに選んだ10件のスカウトの文字数

逆にいうと、「疲れないスカウト」とは、以下を満たしていそうです。

  1. 自分をよく見せようとしすぎない

  2. 必要なところだけを褒める

  3. 「あなたのことをきちんと見ている」ことが、最低限伝わる

丁寧にカキタイ・・・カキタイ・・・という気持ちをいったん鎮めて、
上記の3原則を念頭に、「疲れないスカウトメッセージ」を作ってみようと思います。

疲れないスカウトメッセージをつくる

題材としては、私が実際に受け取ったスカウトを一部加工した、架空のスカウトを利用します。

まずは、削れる部分を極限に削って、要約しましょう。ChatGPTを使ってみます。

なんと、3行で要約してくれました。
生成AIと要約の相性は良いようです。

こんなに極限まで省略したとして、伝えたいことの8割ぐらいは既に伝わっている気がしてきませんか?

もはやこの文章で完成としていい気もしますが、
先ほど挙げた「疲れないスカウト」の3要素を加味して、加筆してみました。

お世話になっております。 IT転職エージェントのオッペラスッチョンコーポレーションです。

seiryu様のご経歴を拝見しまして、ご自身が所属するエージェント関連の事業計画策定をリードした経験に魅力を感じました。
また、クライアント課題を掘り下げるコミュニケーション能力や、現場目線だけでなく全社の制度設計にも携わるなど、成長過渡期の組織をリードしてのお立場がFitしていらっしゃるのではと感じ、ご連絡させていただきました。

Tech領域の課題解決にもご関心お持ちと思いますので、 「事業推進マネージャー」職を積極募集中の以下の会社様をご提案させてください。

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◆企業名:からあげ盛り盛り大満足株式会社
◆事業内容:オフィスにからあげを届けるフードテック企業
◆ポジション:事業推進マネージャー
概要:「からあげ」を軸とした新規事業の立ち上げに向けて、戦略策定から実行までをお任せします。各部署と協力し、円滑な業務推進・プロジェクトリードを期待します。

キーワード:「チームプレイ」「情熱と柔軟性」「フレキシブルな労働環境と働き方」「食べ物に対する情熱」
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オンライン面談で、seiryu様のキャリアに関する希望をヒアリングさせていただき、複数のポジション提案をさせていただければ幸いです。 お気軽にご連絡ください。

自分の話は最小限に、
なぜこの企業をご提案したかをコンパクトに説明することを心掛けました。

修正前後の文章量を比較すると、一目瞭然です。
数えてみると、文字数は75.3%カットできることがわかりました。

左:修正前 右:修正後

いかがでしょうか。
前者のような「心のこもっていそうな文章を受け取りたい」方もいれば、
後者のような「読んでいて疲れない文章を受け取りたい」方もいるわけで、どちらかが絶対的に良い、というわけではありません。

ですが、転職サービスの選択肢も日に日に増えていく中で、読み手に負担を与えることなく、的確な情報を届けていくことは、転職サービスにとっての使命であると私は個人的に捉えています。
つまり、読み手に負担を強いらない、洗練されたメッセージを届けたいね、ということです。

私は転職エージェントとして、5年ほどスカウトメッセージを書いてきました。
どのようなスカウトが「適切か」については、日々研究しています。

こういう表現をすると、コスパの良いメッセージを送ることを追求していて、人間味がなくて嫌だなぁと思われるかもしれません。そんな自分にモヤモヤすることもありますし。

でも!
送り手側の懸念なんて、大抵の場合は無意味なのです。私という個人への評価は重要でなく、届くべき機会をきちんと届けられれば良いのですから。

転職活動は、1通のスカウトメッセージから始まります。
読んでもらえるような機会提供、まずは一考に値する機会提供を追求して、より多くのご縁をお繋ぎできればという気持ちで働いています。

だからもう少し、今の会社で頑張らせてくれよな・・・


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