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<ラグビー>2023シーズン、インターナショナルラグビー関連等(7月第四週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 「牛に弾かれて善光寺」というのがあるが、これは、元々は関東地方から善光寺に向かう信徒の集団が、御師という、今のツアーガイドのような人に率いられて、碓氷峠の難所を登ったときのことを言ったものだそうだ。つまり御師(おんし、おし)が牛(うし)に、いつの間にか変わってしまったためという。ちなみに、峠を登る際に、御師は「なーんまい」と声をかけ、これに対して信徒たちは「だーんぼう」と答えて、峠を登る助力にしていた。なお、この「なんまいだんぼう」は「南無阿弥陀仏」と同意なので、つまり浄土宗または浄土真宗の門徒集団になる。(1985年 現代思想臨時増刊「総特集 親鸞」より)

 最近、仏教に詳しくなっている。檀家に説法するようなことも、その気になればできると思う。頭は既に「坊主」だ。そこで、東京23区で住職がいない寺があれば、週1~2回の通いの住職をしてみようかとも考えている。住職には特段の資格制度はないので、得度(仏門への帰依)をすれば良いらしい。お経だって今はインターネットでダウンロードすれば、勝手に読経してくれる。まあ、フリガナがあれば、私も読経らしく読めなくもないが・・・。


1.テストマッチの結果

日本22-24サモア

 普通にやっていれば日本が勝ったゲームだと思うが、16分のNO.8マイケル・リーチのハイタックル(肩が頭部に直接当たっている)でレッドカード(退場)となり、前半を10-10で折り返したものの、最後は数的不利もあって勝てる試合を落としてしまった。また、82分にノーサイドになったとき、日本代表選手がネックロール(首を掴んで相手選手を密集から引きはがす)の反則で自分たちのアタックを止めてしまったことに象徴されるように、通常ならサモアに多い反則やシンビンがサモアにはあまり出ず、逆に日本が反則を多く出して負けたという情けない結果だった。また、テストマッチとは言え、PGで得点を刻むだけでは勝てないので、やはり2015年RWC南アフリカ戦のように、トライを取りに行く姿勢は重要だと思う。

 また、数的不利があったとはいえ、相変わらずポイント近くのいわゆるチャンネル1や2周辺のディフェンスが弱く(FW3列とSH・SOの問題?)、最後の勝利につながったサモアのトライもこの弱点を突かれた形となっていた。一方のオールブラックスXV戦で日本の弱点として露呈したキッキングゲーム(ハイボール)対応は、FBに山中を起用してハイボールキャッチは良くなったが、ロングキックを蹴れるのが山中一人では心もとない。やはりSO山沢拓也やFB野口竜司を代表入りさせるべきではないか。私は、10番山沢、11番松島、12番中村、13番ライリー、14番野口、15番山中がベストだと思っている。なお、22番は松田、23番は長田が良い。

 個々の選手では、5番LOアマト・ファカタヴァ、13番CTBディラン・ライリー、FB山中亮平、20番FL福井翔太、23番CTB長田智希らが良いプレーをしていた。こうした選手たちの経験値を次につなげたい。

 なお、数人の元オオールブラックスや元ワラビーズを代表に加入させたサモアだが、この試合では元ワラビーズのSOクリスチャン・リアリーファノと元オールブラックスの18番PRチャーリー・ファウムニアだけがメンバー入りし、あとはモアラパシフィカでプレーする選手で構成されていた。そのため、もっと強いかと期待したが、意外と荒っぽいプレーが多く、ハンドリングエラーの多さからまだチーム熟成途中という印象が残った。もっともハンドリングエラーの多さでは、日本代表の方が酷かった。いくら汗で滑るとは言っても、これでは格下相手に対しても容易には勝てない。

フィジー36-20トンガ

 フィジーが初キャップとなるSOケイリヴ・ムンツの活躍で、キックオフ早々から19-0とリードし、前半を26-15で終える。後半もリードを維持して、フィジーが完勝した。トンガは、元ワラビーズのイズラエル・フォラウらを温存したためか、勝利に遠かった。

 なお、フィジーのスコッド入りしている中心選手が、フランスのクラブチームとの契約の関係で、RWCのスコッド入りを辞退する例が出ている。これは金満クラブに起因する問題だと思う。RWCでは、全てのクラブは選手を契約とは別に供出すべきだと思う。

2.コーチ・選手の移籍等その他のニュース

(1)ジョニー・セクストンは三試合の出場停止処分


 5月20日、セクストンの所属するレンスターがラロッシェルに負けた試合後に、メンバー外であった37歳のセクストンが、レフェリー陣に対して誹謗中傷した件に関し、ヨーロピアン・プロフェッショナル・クラブラグビー(EPCR)は、セクストンは「レフェリー陣を指さしながら、Fから始まる卑劣な言葉を使用して、敵対的かつ攻撃的にスポーツマンシップに劣る中傷を行った。これは、ラグビーというスポーツを貶める行為である」という趣旨の裁定を下した。そして、三試合の出場停止処分を科した。

 この結果セクストンは、RWCへの出場は確保したが、ウォームアップマッチである、イタリア、イングランド、サモアの三試合は欠場することとなった。

 セクストン事案の経緯について記載したnoteの私の記事。

 アイルランドの大黒柱であるセクストンは、RWC出場停止は免れたものの、ウォームアップマッチ全試合欠場という6ヶ月にわたって実戦を離れることになるため、チーム及び自身にとって大きな影響が出る結果となった。なおアイルランドは、9月9日に対ルーマニア、16日に対トンガ、23日に対南アフリカ、10月7日に対スコットランドとそれぞれRWCのプールマッチで対戦する。もしもルーマニア戦またはトンガ戦を、セクストンの復帰戦に使うのであれば、特にトンガは元オールブラックスを入れてかなり強化しているので、足元をすくわれるかも知れない。

 セクストン不在中のSOを誰がやるかについては、以下のリンク先に予想が掲載されている。

 それによると、一番手はロス・バーンで、レンスターでもセクストンの後継者となっているが、2019年のイングランド戦で15-57と大敗した記憶が残っているため、信頼は十分とは言えない。二番手は、23歳のジャック・クラウリーで、マンスターのSOとして、チームのユニナイテッド・ラグビーチャンピオンシップ優勝に貢献した実績を持つ。2027年の次期RWCでは、アイルランドの正SOになっていることが期待されている。三番手は、25歳のキアラン・フラウリーで、SO以外にもCTBやFBもプレーできるユーティリティー性を持っている。当初アイルランドのスコッド33人から外れていたが、セクストン欠場の関係でウォームアップマッチ用のスコッドに入る可能性が高い。

(2)NZがU20世界大会不振から脱却する方法


 ラグビーパスが、先般のU20大会で7位と低迷したNZU20代表について、元オールブラックス監督グラハム・ヘンリーの提言などを掲載している。それによれば、現在NZの20歳以下の選手は、州代表の下のクラスである州内にあるクラブレベルでプレーしているが、それでは世界大会のレベルと大きく離れてしまうゲーム環境であると指摘している。そのため、現在NPC(州選手権)は20歳以上の選手しかプレーしていないが、20歳以下の選手も積極的にプレーさせるべきだと述べている。

(3)イアン・フォスターは、オールブラックスが三つの武器を得たと評価


 先日の南アフリカ・スプリングボクス戦に完勝したことで、オールブラックス監督のイアン・フォスターは、(RWC後に退任することが決まっているが)2020年から苦戦し続けたチームが、ようやく成長したと自信を深めたコメントをしている。

 それによれば、これまで特に北半球勢のフィジカルにやられていたが、FWのセットピース(スクラムとラインアウト)が安定し、(ブレイクダウン等の)フィジカルバトルで負けなくなったと述べている。さらに、獲得できた「三つの武器」として、キッキングゲーム、判断力、アタックの創造性を挙げている。

(以下私見)これらをスピードあふれるプレーで継続したことが、敢えて一部のメンバーをNZに先乗りさせるなど「万全の準備をした」スプリングボクスに対して、前半で勝負を決める良いゲームができた原因になったと思う。また、6番FLジェローム・カイノの後継者は不在であったが、長く時間を要したものの、ここにきてシャノン・フリッゼルが期待に応えるレベルに成長してくれたのが、勝利に大きく貢献した。一方、SOリッチー・モウンガとFBボーデン・バレットの二人SO体制もようやく機能してきた。さらに、マア・ノヌーの後継者が不在だった12番CTBにジョルディ・バレットが成長してくれたことで、史上最強ではないかと見られている、2015年RWC優勝チームの状態に近づいていると思う。

(4)2024年、オールブラックスとマオリオールブラックスが来日


 先般、日本協会とNZ協会はラグビー交流に関する提携を結んだが、その一環として、来年前半にマオリオールブラックスが来日して、ジャパンXVと対戦し、秋にはオールブラックスが来日して日本代表と対戦することを発表した。オールブラックスXVについては不明だが、RWCの翌年ということもあり、おそらくは結成されないと思われる。

 ジャパンXV対マオリオールブラックスは、6月29日と7月6日に試合を行い、日本代表対オールブラックスは、10月に試合を行う予定。その他詳細については、今後発表される。

 なお、このオールブラックスと並ぶ伝統のあるマオリオールブラックス(またはNZマオリ)と、去年から新しく結成されたオールブラックスXV(これ以前は、時折NZA、ジュニアオールブラックス等という名称で臨時に結成したチームがあったが、準代表となる恒常的なチームはなかった)の関係については、私が以前noteの記事に書いたので、参考していただきたい。

 私個人としては、歴史あるマオリオールブラックスの実力はオールブラックスに次ぐNZ二番目だと思っているが、NZ協会の公式発表ではオールブラックスXVが「オールブラックスに次ぐチーム」としている。それでは、実力的にどうなのかということで、(メンバーがかなり重なると思うが)マオリ対XVの試合をやったら面白い。また結果は、チームの一体感の差でマオリが勝つと思う。なぜなら、オールブラックスXVは、オールブラックスのA及びBチームに入れなかった、スーパーラグビーで活躍した「Cランクの」選手で臨時に構成される「寄せ集めチーム」であるのに対し、長年マオリオールブラックスは、オールブラックス入り直前のマオリ系選手をマオリの伝統に沿って(ほぼ)毎年結成してきたという、求心力が強いチーム(ワンチーム)だからだ。両チームのロイヤリティーには、雲泥の差があると思う。

 なお、マオリオールブラックスが「マオリとしての代表チーム」であり、「NZ代表チーチーム」ではないと言うのであれば、英国内の三協会(イングランド、スコットランド、ウェールズ)のように、独立した「国」代表チームとして、RWCに出場すれば良いと思う。出場権をかけた世界予選では楽々トップで勝ち抜くだろうし、本大会ではベスト8入り確実だと思う。また、オールブラックス対マオリオールブラックスの決勝になったら、最高に楽しいと思うのだが。

(5)ガレス・アンスコムがサンゴリアスと契約


 ウェールズ代表39キャップを持つ、32歳のガレス・アンスコムは、日本のリーグワンのサンゴリアスへの移籍を発表した。二年契約。移籍の決断に際しては、エディー・ジョーンズ現ワラビーズ監督からの日本ラグビーに関する助言もあったという。

 NZ人のアンスコムは、NZのスーパーラグビーで、将来オールブラックスになれる可能性を持つSOとしてプレーしていたが、オールブラックスのハイレベルの選手たちによる序列争いから難しさを感じて、若いうちにウェールズに移籍した。その後まもなくウェールズ代表入りし、先発SOはダン・ビガーに後れを取っているが、FBもできることで貴重な選手となっている。しかし、ウェールズのラグビー選手と言うよりもNZのラグビー選手という表現の方が、そのプレー振りからも合っている。

(6)日本協会とオーストラリア協会が、パートナーシップを締結


 日本協会とオーストラリア協会は、ラグビーの15人制男女代表、セヴンズ代表、U20代表、オーストラリアA代表及びスーパーラグビーチームを含む、各レベルの交流を行うためのパートナーシップを締結したことを発表した。来年からは、ワラビーズやワラルーズ(女子代表)との試合、そしてスーパーラグビー4チームとリーグワンチームとの試合が日本で開催されることが期待される。

 なお、先にNZ協会と同様の覚書を締結しているので、オーストラリア協会とのこの契約は、(南アフリカ協会及びアルゼンチン協会とは未締結ではあるが)将来的に日本がザ・ラグビーチャンピオンシップに加入することを想定しているのではと見られる。


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